福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

三昧發得記

2024-07-05 | 諸経

拾遺黒谷上人語燈録
三昧發得記

(法然が自らの宗教体験である三昧発得の事情を書き綴ったもの。初めは別時念仏をしていると明相を見るに及び、順に水想観、地想観、瑠璃相、宝樹、宝池、宝殿、瑠璃壺などが現出し、鳥の声、琴、笛、笙の音を聴き、その後勢至菩薩、阿弥陀仏の面像を拝し、ついには三尊の大身の出現が記されている。)



建久九年正月朔日(建久九年1198年正月一日
予赴山桃法橋教慶之請。(予、山桃法橋教慶の請に赴く
歸菴之後未刻正月一七箇日恒例別時念佛始之。(歸菴之の後、正月一日未の刻より七箇日恒例の別時念佛之を始む)
初日光明少現(初日光明少し現ず
第二日水想觀自然成就。(第二日、水想觀自然に成就す。(水想観とは『観無量寿経』十六観の一つで水と氷の清らかさによって極楽を観想するもの。

又瑠璃地相少現(又、瑠璃地相少し現ず
至第六日後夜瑠璃地及宮殿相現。(第六日後夜に至って瑠璃地及び宮殿相現ず。)
二月四日早晨復瑠璃地現。其相分明。(二月四日早晨に復た瑠璃地現ず。其相分明なり
同月七日復瑠璃地現。(同月七日復た瑠璃地現ず
凡上來種種相自正月朔日至二月七日三十七日之間現。(およそ上來の種種相は正月朔日より二月七日に至るまでの三十七日の間現ず)
顧我平生課念佛六萬遍不退勤修。由此今此等相現歟。(顧みて我が平生課すところの念佛六萬遍の不退勤修、此によりて今此等の相現ずか)
二月二十五日目出如赤嚢物。又出如瑠璃壺物。(二月二十五日、目に赤嚢物のごときもの出る。又た瑠璃壺物のごときもの出る)
前則閉目見之開目即失。今則開閉倶見。(前は閉目すれば之を見、開目すれば之を失う。今は開閉倶に見る。)
同月二十八日少有病惱。由暫減念佛。或一萬遍或二萬遍隨意勤修(同月二十八日、少しく病惱有りて暫く念佛を減ず由。或は一萬遍、或は二萬遍隨意に勤修す)

其後右眼有白光。現光端青色。又出瑠璃光。其貎如壺。内有紅華。状如寶瓶。
又日沒後出望四方。各方有赤青色寶樹。高下無準。或四五丈或二三十丈。其相宛如經
中所説。(其後、右眼に白光有り。光端青色を現ず。又瑠璃光を出す。其貎壺の如し。内に紅華有り。状寶瓶の如し。又日沒後四方に出望す。各方に赤青色寶樹有り。高
下無準なり。或四五丈或二三十丈。其相は宛も經中所説の如し。


同年七月下旬所勞乃復。八月朔日日課念佛六萬遍如初勤行。(同年七月下旬に所勞乃ち復す。八月一日には日課念佛六萬遍初の如く勤行す)
同月二日座下四方一歩許變爲瑠璃地。(同月二日、座下の四方が一歩ばかり變じて瑠璃地となる)
同年九月二十二日早晨復瑠璃地現。周圍可七八歩朗然映徹。(同年九月二十二日早晨には復た瑠璃地現ず。周圍七八歩ばかり朗然として映徹す)
同二十三日後夜至曉復瑠璃地現(同二十三日後夜、曉に至って復た瑠璃地現ず)
案地觀文。
爲未來世一切大衆欲脱苦者説是觀地法若觀是地者除八十億劫生死之罪(未來世の一切大衆の為に苦を脱せんと欲する者は是の觀地法を説け。若し是の地を観ずる者は八十億劫生死之罪を除き
捨身他世必生淨國心得無疑。(他の世に捨身しても必ず淨國に生まれ心に無疑を得る。)
釋曰。願行之業已圓命盡無疑不往。依經釋文往生無疑也。
正治二年二月之頃。地想等五觀坐臥隨意任運顯現。(正治二年二月の頃、地想等五觀が坐臥して隨意任運に顯現す)

建仁元年二月八日後夜。聞極樂衆鳥并笒笛等音。其後日聞種種音聲。(建仁元年二月八日後夜、極樂衆鳥并びに笒笛等の音を聞く。其後日、種種音聲を聞く。)

同二年正月五日佛殿勢至菩薩像後即彼菩薩丈六許頭面三度現。(建仁二年正月五日、佛殿勢至菩薩像の後に即ち彼の菩薩の丈六許の頭面三度現る。)
又彼菩薩丈六許眞身現。(また彼の菩薩の丈六許りの眞身現る)
想彼菩薩因地以念佛三昧入無生忍故。(想うに彼の菩薩の因地は念佛三昧を以て無生忍に入る故なり
今爲念佛者示現其身不可疑也。(今、念佛者の為に其身を示現するは疑うべからざ也。
同十二月二十八日午時。高畠少將來訪謁於佛殿。(建仁十二月二十八日午の時に高畠少將來訪して佛殿において謁す)

法話之間念佛如常。(法話の間、念佛は常の如し
阿彌陀佛形像之後即彼佛丈六許頭面透徹障褚而現。少時而沒。(阿彌陀佛の形像の後に即ち彼の佛、丈六許り頭面が障褚を透徹して現じ少時にして沒す。)

元久三年正月朔日勤修恒例七日念佛。至第四日念佛之間阿彌陀佛觀音勢至三尊共
現大身。五日復現(元久三年正月一日、恒例の七日念佛を勤修す。第四日に至り念佛の間に阿彌陀佛觀音勢至三尊共大身を現ず。五日復た現ず。

三昧發得記 源空自筆にて之を記す」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は浄土真宗の学僧島地大... | トップ | 今日四天王寺では栄西禅師忌 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

諸経」カテゴリの最新記事