修瑜伽 者用心ー大御室(性信入道親王)作・・・続
十八、昼夜の行法、ことにことにもって先師の骨法を写し学ぶべし。いわんや佛法の行儀においておや。つらつらこの教えの流伝を思うに以心伝心の教迹、一代にして絶えず、唯佛与佛の秘訓、一人にして欠けず、よってかの末流を汲むの輩、もっぱら遺風を慕うべきなり。
十九、短慮の門弟ありて、失錯におよぶといえども、過去の事において、瞋恚を発せず、堅く心に誓って、向後も、その事にふれるべからず。
二十、物に触れて欲心あるべからず。
二十一、もっぱら観法、座禅を修すべし。
二十二、ことに教相を学ぶべし。
二十三、袈裟を着せずして人に謁すべからず。およそ末世の比丘は多く戒律を持せざるの類あり。しかれば相い構えて、放逸の威儀を現じて人の誹謗を蒙ることなかれ。
二十四、同法といえども事相の書籍においては、堅く秘すべし。
二十五、余宗において偏執あるべからず。ただしさることなくして他宗の僧と交わりを好むべからず。ややもすればたがいに自是非他の気あり。すこぶる無益の事か。
二十六、白地といえども女人に近ずくべからず。
二十七、恩家の勝劣に執すべからず。出家の体はもっぱら本意を忘るべからず。
二十八、雑芸を学ぶといえども修学をさしおくべからず。
二十九、短慮をもって人の才を判ずべからず。
三十、出世間の事については、善悪両辺の心、ならびに起こらば左右なく、善につくべし。是非の思惟におよぶべからず。
三十一、本家を守り、かりそめといえども、異様の衣を着すべからず。不調の形儀もととしてこれより生じるなり。
三十二、事に触れて人のために労心あるべし。
三十三、得意、知音を好むべからず。いわんや悪友においておや。
三十四、訴陳、対決を好むべからず。ただし、法流、聖教など非分の儀に及ばば、制の限りにあらず。
三十五、好んで人の祈祷を修すべからず。
三十六、事相、教相の明匠、他流の人たりといえども深く貴敬すべし。
三十七、弓馬の道においては一切口入に及ばず。いわんや自身、好んでたずさわるにおいておや。
三十八、ことごとに人の意見を問うべし。
三十九、好友といえどもそのとがを隠すなかれ。悪人といえどもその失を語るなかれ。およそ人の過失を談ずることはなはだしかるべからず。
四十、人のため隠密のことあらば尋ね聞くべからず。
四十一、蜜事にあらずといえども閑談の席に望むべからず。
四十二、耳目に触れるところ左右なく人に語るべからず。
四十三、交衆の席において意に叶わざることありといえども、群意に違うべからず。いっわんや師匠主人などの命においておや。
四十四、真俗について秘計追従を好むべからず。
(終わり)
十八、昼夜の行法、ことにことにもって先師の骨法を写し学ぶべし。いわんや佛法の行儀においておや。つらつらこの教えの流伝を思うに以心伝心の教迹、一代にして絶えず、唯佛与佛の秘訓、一人にして欠けず、よってかの末流を汲むの輩、もっぱら遺風を慕うべきなり。
十九、短慮の門弟ありて、失錯におよぶといえども、過去の事において、瞋恚を発せず、堅く心に誓って、向後も、その事にふれるべからず。
二十、物に触れて欲心あるべからず。
二十一、もっぱら観法、座禅を修すべし。
二十二、ことに教相を学ぶべし。
二十三、袈裟を着せずして人に謁すべからず。およそ末世の比丘は多く戒律を持せざるの類あり。しかれば相い構えて、放逸の威儀を現じて人の誹謗を蒙ることなかれ。
二十四、同法といえども事相の書籍においては、堅く秘すべし。
二十五、余宗において偏執あるべからず。ただしさることなくして他宗の僧と交わりを好むべからず。ややもすればたがいに自是非他の気あり。すこぶる無益の事か。
二十六、白地といえども女人に近ずくべからず。
二十七、恩家の勝劣に執すべからず。出家の体はもっぱら本意を忘るべからず。
二十八、雑芸を学ぶといえども修学をさしおくべからず。
二十九、短慮をもって人の才を判ずべからず。
三十、出世間の事については、善悪両辺の心、ならびに起こらば左右なく、善につくべし。是非の思惟におよぶべからず。
三十一、本家を守り、かりそめといえども、異様の衣を着すべからず。不調の形儀もととしてこれより生じるなり。
三十二、事に触れて人のために労心あるべし。
三十三、得意、知音を好むべからず。いわんや悪友においておや。
三十四、訴陳、対決を好むべからず。ただし、法流、聖教など非分の儀に及ばば、制の限りにあらず。
三十五、好んで人の祈祷を修すべからず。
三十六、事相、教相の明匠、他流の人たりといえども深く貴敬すべし。
三十七、弓馬の道においては一切口入に及ばず。いわんや自身、好んでたずさわるにおいておや。
三十八、ことごとに人の意見を問うべし。
三十九、好友といえどもそのとがを隠すなかれ。悪人といえどもその失を語るなかれ。およそ人の過失を談ずることはなはだしかるべからず。
四十、人のため隠密のことあらば尋ね聞くべからず。
四十一、蜜事にあらずといえども閑談の席に望むべからず。
四十二、耳目に触れるところ左右なく人に語るべからず。
四十三、交衆の席において意に叶わざることありといえども、群意に違うべからず。いっわんや師匠主人などの命においておや。
四十四、真俗について秘計追従を好むべからず。
(終わり)