福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

第九、 両部曼荼羅章(真言宗各派聯合法務所編纂局 1916)等より・・10

2019-01-10 | 頂いた現実の霊験

第九、    両部曼荼羅章(真言宗各派聯合法務所編纂局 1916)等より・・10

(密教の教えは胎蔵曼荼羅(究極の真理・衆生の身体、をあらわす)と金剛界曼荼羅(真理を覚るための智慧・衆生の精神、をあらわす)で表現される。)

 

胎金両部の曼荼羅といふは、諸仏理智(真理と智慧)の体性、衆生色心の実相なり。

大日如来究竟じて自心の源底を覚知して金剛界の曼荼羅を現じ、実の如く自身の数量を証得して胎蔵の曼荼羅を現じたまふ。是れ即ち秘密荘厳心の境にして九種住心(十住心のうち最後の秘密荘厳心以下の心)の及ぶところに非ず。大日如来すでに本有の性徳を開顕し終わりてまた能く一切衆生の長眠を驚かして本有の性徳を悟らしめんがためのゆえに両部大経の中に広くこの曼荼羅の実義を示し給へり。この故に善無畏三蔵釈していはく「佛、平等心より無尽荘厳大曼荼羅を開発し已って還って用ひて衆生平等心地の無尽荘厳大曼荼羅を開発したまふ」(大毘盧遮那成仏神変経疏巻一に「佛從平等心地。開發無盡莊嚴藏大漫荼羅已。還用開發衆生平等心地。無盡莊嚴藏大漫荼羅」とあり)。しかるに図画に依りてこれを示すにあらざれば其の甚深幽玄の理を了知すること難し。この故に其の至要を取りて十界輪円の差相を略図す。是を八祖相承現図の曼荼羅といふ。この故に高祖大師の御請来録にいはく「密蔵は深玄にして輪墨に載せ難し。更に図画を仮て悟らざるに開示す」と。

           

 

 

 

 

 五     四       三

 四印会    一印会     理趣会

 五      六        七

  

  六        九         二

供養会     羯磨会      降三世会

 四       一       八

 

  七        八          一

微細会     三昧耶会     降三世三昧耶会

三       二        九  

 

 

之を金剛界九会曼荼羅とす。九会各々に右上と左下に数字を配せり。右上の順番で降・降・理・一・四・供・微・三・羯と次第するは真言行者の断惑証理・従因至果の次第なり。左下の順で、羯・三・微・供・四・一・理・降・降と次第するは法身如来の大悲化他、従果向因の次第なり。

まず仏辺につきてこれを説かば、第一羯磨会といふは三十七尊色相荘厳曼荼羅にしてこれすなわち大日如来所具の大曼荼羅なり。このところに三・法・羯の三種の曼荼羅同時に具われり(大曼荼羅・三昧耶曼荼羅・法曼荼羅・羯磨曼荼羅はセットで四種曼荼羅)。これを開きて第二の三昧耶会、第三の微細会、第四の供養会とす。以上の四会は四曼の別徳を示す。

次にこの四曼(大曼荼羅・三昧耶曼荼羅・法曼荼羅・羯磨曼荼羅はセットで四種曼荼羅)を同所に安置して各々不離の義を示したる、これを第五の四印会といふ。次に四曼の聖衆、皆悉く六大一実(地水火風空識という六大は一つである)の本源、独一法身(独一無二の六大法身にして、無量の仏身の根本総体なり、金剛界一印会の大日如来これに当る)の三昧に住し給ふ。これを第六の一印会といふ。

以上の六会は粗より細に入り、別より同に帰する次第なり。

次に一印会の大日、大悲化他の為に金剛薩埵の三摩地に入りて正法を演説し給ふ。これを第七の理趣会といふ。次に剛強難化の大自在天を降伏せんがために更に降三世明王忿怒の三摩地に入り給ふ。この中先ず明王の身を現じ給へるを第八の降三世羯磨会といひ、次に明王の三昧耶形なる弓箭となりて大悲の本誓法界に通ずるを第九の降三世三昧耶会といふなり。もしこの九会を摂すれば大日所具の自性輪身・正法輪身・教令輪身の三徳となる。自性輪身といふは端厳寂静の佛相なり。

正法輪身といふは柔和慈悲の菩薩相なり。教令輪身といふは忿怒可畏の明王相なり。この三つはたとへば次の如く皇帝・大臣・将軍の如く然り。九会の中において第六会(一印会)は、これ自性輪身、第七会(三昧耶会)は是れ正法輪身、第八・九会は教令輪身なり。法身如来の万徳はこの三輪身に摂し尽くさずといふことなし。

次に行者辺について之を明かさば、凡そ真言行者無上菩提を得んと欲はば、先ず降三世明王の三昧に住して根本無明を断ずべし。その三昧に住する相は先ずその三形を観じ、津語彙に尊形を観ず、この時行者の挙体、明王となる。一、二会の両会(羯磨会、三昧耶会)この義を表す。既に明王の三昧に入りて根本無明を断ずるがゆえに不生の妙理を覚りて未曽有の歓喜を生ず、之を第三の理趣会といふ。自証すでに円極するがゆえに大日覚王の位に登りて法界の頂に坐す、之を第四の一印会といふ。次に大日法身より四佛を現じて五智ここい円満す、之を第五の四印会といふ。次に四印会より三十七尊を現ず、現ずる所の諸尊は皆、供養門の三昧に入りて互いに法楽を受く、之を第六の供養会といふ。次に供養の儀式終わりて,三十七尊皆微細定に住し、全身法曼荼羅となる。之を第七の微細会といふ。次に法曼荼羅を変じて三形となりて内証本誓を表す、之を第八の三昧耶会といふ。次に三形変じて仏身円満し、大悲の万徳を荘厳す、之を第九の羯磨曼荼羅といふ。九会曼荼羅の二重の次第此の如し。

 

胎蔵曼荼羅について

(真ん中の)中台八葉院。大日如来は中央に、宝憧・開敷華・無量壽・天鼓雷音の四佛は四方に、普賢・文殊・観音・弥勒の四菩薩は四隅に住し給ふ。四佛四菩薩は大日の四智四行の徳にしてこの中台八葉の九尊(宝憧・開敷華・無量壽・天鼓雷音の四佛と普賢・文殊・観音・弥勒の四菩薩と大日如来)は一毘盧遮那の全体なり。故にこの一院(中台八葉院)を胎蔵曼荼羅の根本総体といふ。これを囲繞する前後左右の十二院(「中台八葉院」「遍知院」「金剛手院」「持明院」「蓮華部(観音)院」「釈迦院」「文殊院」「除蓋障院」「虚空蔵院」「蘇悉地院」「地蔵院」「外金剛部院(最外院)」)の十二院はこの総体に具する無量の差別智印より現ずるなり。この故に中台八葉院に東に位置する遍智院は四魔降伏の徳より生じ、北に位置する観音院・地蔵院は大悲の徳より現じ、南に位する金剛手院・除蓋障院は大智の徳より生じ、遍智院の東にある釈迦院は真言教を善く六道に流布せしめんがために現じ給へる、変化法身釈迦牟尼の曼荼羅なり。西に位する持明院は折伏摂受の徳より現じ、その西にある虚空蔵院及び釈迦院の東にある文殊院は二利(自他二利)の事業妙成就の徳より現ず。最外の四方にある外金剛部院は随類応化の徳より現ず。以上合して十二院あり。この上に四大護院を加ふるときは十三大院となる。但し現図はこれを四門の相向守護天に摂して別に開かず。

上来両部曼荼羅建立の大綱を説きおわんぬ。これを総説せば金剛界を五部の曼荼といひ、胎蔵を三部の曼荼といふ。佛部・蓮華部・金剛部これを三部といひ、佛部より宝部と羯磨部をひらきたるこれを五部といふ。金剛界は五部(佛部・蓮華部・金剛部・宝部・羯磨部)五智(法界体性智・大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)を示し、胎蔵界は三部(佛部・蓮華部・金剛部)三密(身・口・意)を主とす。金剛界の諸尊は悉く月中の蓮に住し給ひ、胎蔵の諸尊は悉く蓮中の月に住し給ふ。金剛界の月中の蓮は智が中の理にして、心即色の義なり。胎蔵界の蓮中の月は理が中の智にして、色即心の義なり。(金剛界曼荼羅は大日如来の金剛不壊の悟りの智慧の働きを示し、胎蔵曼荼羅は大日如来の悟りが慈悲により展開する理を示す)

この如く理蓮、智月、各々内外の不同あるは是れ即ち六大一実両部不二の深旨なり。また尊数をい数ふるに金剛界は千四百六十一尊、胎蔵は四百十四尊なり。これ無量眷属を兼ぬるのみ。

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