福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「入定弘法大師像」

2019-07-11 | 法話
高野山霊宝館で展示中の「入定弘法大師像」(江戸時代・金剛峯寺蔵)を拝しました。
大師は草庵に坐しておられる不思議な図柄です。
大師のお姿については水原堯栄「弘法大師御影」に大体十一に整理されています。
一、一八歳求聞持悉地を得られて阿波高越寺に安置されたという御影(高越寺私記)。二、三一歳入唐求法に際し告面行為孝自写されたという御影(南海流浪記)。三、三一歳入唐求法に際し海蔵庵に安置されたという御影(太宰管内誌)。四、三八歳東長寺に安置されたという御影(筑前國続風土記)。五、四二歳厄除御影(奥の院不動堂安置)。六、四四歳高貴寺求聞持堂に安置されたという御影(高貴寺縁起)。七、五五歳如意尼の為に自刻されとという御影(甲山神呪寺(かぶとやまかんのうじ)安置)。八、六一歳水鏡御影(紀伊続風土記)。九、御年六二歳御入定前日の廿日大師御影(高野山清浄信心院ご本尊)。十、入唐御帰朝後淡路三原郡檪田村願海に安置されているという御影(淡国通記)。十一、即身成仏現証の御影(高野山善集院))しかしこの金剛峯寺の「入定弘法大師像」はまだこの中に整理されていませんでした。
このお像の上には「我昔遇薩埵偈」が書かれています。
「我昔遇薩埵 親悉傳印明 發無比誓願 陪邊地異域 晝夜愍萬民 住普賢悲願 肉身證三昧 待慈氏下生
(我昔 薩埵 と遇い親しく悉く印明を伝ふ 無比の誓願を発して 辺地異域に倍す 昼夜に万民をあわれんで 普賢の悲願に住す、肉身に三昧を證し 慈氏の下生を待つ)」
「我昔遇薩埵偈」については弘法大師全集には
「この二行の偈頌の文、雲居寺の膽西上人所持の大師御筆の金剛般若経の奥に此の文有り云々。深賢記の説此れに同じ。しかるに要集第六巻扶桑略記を引いて重ねてこの偈を出し延暦十二年天皇法服を贈賜し時、大師定中より勅文に答し之語、且つ疑いを存して決せず。續年譜第三、三十八亦両説を出して決せず。且ついわく、遺告釈疑も亦此頌を載すと。」とありました。しかし読めば読むほど筆舌に尽くし方有難さがこみ上げてきます。
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