・翳障(えいしょう)の軽重、覚悟の遅速の若きに至っては、 機根不同にして、性欲(しょうよく)即ち異なり。遂じて、二教輙(あと)を殊じて、手を金蓮(こんれん)の場に分ち、五乗、くつばみを並べて、蹄を幻影の埒(らち)にあがつ。その解毒に随って薬を得ること、即ち別なり。
(真実を見通す眼をおおい隠す眼病になどにも、重い・軽いがあるように、さとりを得るにつけても速い・遅いがある。機根はすべての人が同じでなく、性格ややる気も違う。そこで、密教では、金剛界と胎蔵(界)という両部の教えがあって、修行者があとをたどれるようになっている。華厳宗・三論宗・法相宗・声聞と縁覚の二乗・天台宗という五つの教えは、おのおの馬に鞍をかけて幻や影のような仮の教えの柵の中でひずめをかがめている。
いま病気の程度によって薬が違うように、教えにも相手によりそれぞれ違いがあるのである。弘法大師「般若心経秘鍵」)
(真実を見通す眼をおおい隠す眼病になどにも、重い・軽いがあるように、さとりを得るにつけても速い・遅いがある。機根はすべての人が同じでなく、性格ややる気も違う。そこで、密教では、金剛界と胎蔵(界)という両部の教えがあって、修行者があとをたどれるようになっている。華厳宗・三論宗・法相宗・声聞と縁覚の二乗・天台宗という五つの教えは、おのおの馬に鞍をかけて幻や影のような仮の教えの柵の中でひずめをかがめている。
いま病気の程度によって薬が違うように、教えにも相手によりそれぞれ違いがあるのである。弘法大師「般若心経秘鍵」)