(未曽有因果経で須臾の間でも十善を保つと功徳があるとされていることに対して波斯匿王(はしのくおう)が問います)
王曰く、「世尊の説きたまふがごとく三時を限って(朝起きてから朝食まで・各食事の間
・百歩歩く間、の三時)十善行を保持つはその功徳甚だ少なし。いかにしてか福を生ぜん?」
仏、王に告げて曰く「(十善戒は)少時保つといえどもその果報無量なり。たとえば人あり、百年の中に於いて薪草を積集して、火を以てこれを焼かんに須臾にして滅して尽きん。この故にまさに知るべし。少時、善を修するに能く無量の悪業重罪を滅す。・・火の力、よく天下の草木・叢林を焼き傾け尽してすなわちやむ。大王まさに知るべし。人十善を修せんことも此の如し。須臾の功徳、よく無量の悪業・重罪を滅して行者をして菩提の芽を起こさしむ。萌芽成ずるがゆえに漸漸増長して仏果を成ずるに至る」と。
王之を聞き終わりてさらに起きて礼をなし甚だ大いに欣慶して未曽有なることを得、世尊に白して言さく「弟子、いま大いに善利を得たり。ゆえいかんとなれば、世尊の説きたまふを聞くに、十善道を修する功徳因縁、能く衆生をして菩提の芽を成せしむ。弟子今菩提を志願う、まさに勤めて修行して心を退却せざるべし」と。
王に随従するもの群臣・吏民・後宮・四部の弟子・天・竜・鬼神・人・非人等五千、皆無上菩提の道意をおこしき。云々(ここで未曽有因果経引用終り)
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