・遍路は私がかって実行したものであり、私の奇病が全快する機縁となったからである。私のものの考え方の基本はなにかあのときの体験に負うところがあるように思う。千百年前の昔、弘法大師が歩かれた三百六十里の道を一歩一歩あるいた人は天の導きといったものを感じるだろうし、人間は決して一足飛びに進歩するものではないことも良くわかるだろう。・・・人の道を踏み外しては何事も出来ない。私が「嘘をつかず」「正しくあれ」と念願しているのはなによりもこうした天命というか、道というか、目に見えない力の導きに対して謙虚であり、誠実であり正直でありたいと思うからに他ならない。(池田隼人)
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