福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

大方廣佛華嚴經普賢菩薩行品第三十一

2020-06-24 | 諸経
大方廣佛華嚴經卷第三十三東晋天竺三藏佛馱跋陀羅譯 
普賢菩薩行品第三十一
爾時、普賢菩薩摩訶薩、諸菩薩に告げて言く「佛子よ、向の所説の如きは是れ微少の説なり。何以故に。一切如來應供等正覺は化を受ける者の為に隨應説法すればなり。愚癡の衆生は
諸纒に纒はれ、我・我所を計し、吾我の見に著し、常に顛倒に随ひ、邪見の惑を生じ、邪の虚妄を起こし、縛の為に所縛せられ、生死を流轉し、如來道に遠ざかる。如是等の諸衆生の為の故に如來應供等正覺は世に出興したまふ。佛子よ、若し菩薩摩訶薩が一の瞋恚の心を起こさば、一切惡中に此の惡に過ぐるものなし。何以故。佛子よ、菩薩摩訶薩、瞋恚心を起さば則ち百千の障礙の法門を受けん。何等をか百千となすや。所謂、菩提を見ざる障・正法を聞かざる障・不淨國に生まるる障・惡道に生まるる障・八難處に生まるる障・多疾病の障・多く謗毀せらるる障・闇鈍趣に生まるる障・正念を失する障・少智慧なる障・眼耳鼻舌身
意等の障・惡知識に近ずく障・惡伴黨に近ずく障・惡人に近ずく障・惡人と同止する障・賢善と事を共にするを楽はざる障・正見に遠ざかる障・外道の家に生まるる障・佛の正教を離るる障・魔境界に入る障・善知識を見ざる障・諸善根を生ぜざる障・不善法を増ずる障・
惡家に生まるる障・邊地に生まるる障・惡人の中に生まるる障・天の貧窮生まるる障・諸龍夜叉乾闥婆阿脩羅迦樓羅緊那羅摩睺羅伽羅刹中に生まるる障・佛法を樂はざる障・童蒙の法を習ふ障・小乘を楽ふ障・大乘を楽はざる障・多く驚怖を生ずる障・生死を楽ふ障・三界に著する障・佛法を護らざる障・佛自在神力を聞くを楽はざる障・菩薩の清淨諸根を離るる障・菩薩行を離るる障・菩薩の深心希望を離るる障・正念を攝せざる障・一切智心を發起せざる障・施行を浄めざる障・業を浄めざる障・報を浄めざる障・諸力を成長せざる障・智慧根を斷ずる障・菩薩の諸行を受持せざる障・佛法を誹謗する障・菩提を遠離する障・佛境に入らざる障・諸魔界に堕す障・求佛法を求むること能はざる障・諸菩薩の大莊嚴事を聞きて恐怖を生じる障・菩薩と共に住するを楽はざる障・菩薩の善根業を求むるを楽はざる障・邪見蓋疑の障・愚癡を増益する障・菩薩戒を捨て破戒に隨順する障・如來の戒を信ぜざる障・佛の諸持戒者を讃歎すを聞きて瞋恚心を生ずる障・忍辱を離れ常に懈怠を楽ふ障・諸菩薩の不退精進を謗ずる障・三昧の慧を捨つる障・般若波羅蜜の巧方便を誹謗する障・是處・非處の方便を知らざる障・衆生を度脱する方便を知らざる障・菩薩の諸深智に入らざる障・菩薩諸道を出生せざる障・菩薩十種眼に於いて生盲なる障・菩薩法に於いて無礙の法流を出生する能はざる障・無礙の耳鼻の障・相好を具せざる障・無礙の舌障・衆生の音聲を別知すること能はざる障・衆生中に於いて懈怠心を生ずる障・狂亂業の障・三種の戒を離るる障・無礙諸入の障・口の四過の障・意の惡業の障・増上の貪恚邪見を生ずる障・正法を求めざる障・菩薩法に於いて懈怠する心の障・菩薩精進法中に疑惑する心の障・菩薩の決定法を捨離する障・菩薩の智慧門を損減する障・正念を損減する障・佛法を遠離する障・菩薩の離生法を習はざる障・菩薩の謙下心の障・聲聞縁覺の離生法を遠離する障・三世の諸佛菩薩に順ぜざる障を受けん。
佛子よ、菩薩摩訶薩は一の瞋恚心を起こさば、如是等の百の障法門乃至百千の障礙法門を受けん。何以故。佛子よ、我、一の惡法も菩薩の一瞋恚心に出過すること有るを見ざればなり。佛子よ、是故に菩薩摩訶薩は、疾やかに菩薩行を具足せんと欲せば、應當に十種正法を修習すべし。何等を十と為すや。所謂不捨一切衆生。諸菩薩に於いて如來の想を生じ、常に一切佛法を誹謗せず、諸佛刹に於いて無盡智を得、菩薩の所行を恭敬信樂し、虚空法界に等しき菩提之心を捨てず、菩提を分別し、佛力を究竟して彼岸に到り、菩薩の一切諸辯を修習し、衆生を教化して心に疲厭無く、一切世界に於いて受生を示現し而も樂著せず。佛子よ、菩薩摩訶薩は、如是の十種の正法に安住せば則ち能く十種の清淨之法を攝取す。何等をか十と為すや。所謂る、甚深法に於いて究竟すること清淨、善知識に親近すること清淨・能く諸佛の正法を護ること清淨・悉く能く空界を分別すること清淨・善く法界に入ること清淨・智慧を以て諸菩薩の心行を了すること清淨・諸菩薩の善根をして清淨ならしめ、心常に諸劫に著せずして清淨に、智慧を以て三世を觀察すること清淨・諸佛の種姓を成就すること清淨なり。佛子よ、菩薩摩訶薩は、如是の清淨の正法に安住せば、則ち能く十種正智を具足す。何等をか十と為す。所謂、衆生の心心行を分別する智・衆生の諸業報を分別する智・一切諸佛法を普照する智・諸佛の法に於いて方便次第を得る智・一切總持門を具足する智・一切の文字辯を成就する智・衆生の一切語を善知する智・一切世界身を示現する智・一切衆生を具足普照する智・一切趣に於いて一切を得る智なり。
佛子よ、菩薩摩訶薩は、如是の十種の正智に安住せば、則ち十種の巧隨順入に入る。何等を十と為すや。所謂、一切世界は一毛道に入り、一毛道は不可思議刹を出し、一切衆生身は
悉く一身に入り、一身に於いて無量諸身を出す。不可説劫は悉く一念に入り、一念をして不可説劫に入らしむ、一切佛法は悉く一法に入り、一法をして一切の佛法に入らしむ、一切の諸入は一入に入り、一入をして一切諸入に入らしむ。一切諸根は一根に入り、一根をして一切諸根に入らしむ。一切諸根は非根の法に入り、非根の法は一切諸根に入る。一切の諸相は
悉く一相に入り、一相は一切諸相に入る。一切語音は一語音に入り、一語音は一切語音に入る。一切の三世は悉く一世に入り、一世をして一切三世に入らしむ。

佛子よ、菩薩摩訶薩は、如是の十種の入法を分別せば則ち能く十種の直心に安住す。何等をか十と為す。所謂、一切世界の語言・非語言・法直心に安住し、正念一切衆生の直心に安住し、虚空界の直心に安住し、法界無量無邊の直心に安住し、一切佛の順正法の直心に安住し、甚深の善法不壞の正法直心に安住し、一切疑惑を除滅する直心に安住し、三世の法を等觀する直心に安住し、三世諸佛平等の直心に安住し、諸佛の無量力直心に安住す。
佛子よ、菩薩摩訶薩は如是の十種直心に安住せば則ち諸佛の十種の巧方便法を得。何等をか十と為すや。所謂、巧方便を得て一切諸佛の深法を普照し、巧方便を得て諸佛甚深勝
法を出生し、巧方便を得て一切諸佛莊嚴之法を分別演説し、巧方便を得て一切佛の平等法に深入し、巧方便を得て別相の一切佛法を分別し、巧方便を得て不可壞の諸佛の正法に入り、巧方便を得て一切佛の諸莊嚴法に入り、巧方便を得て一方便を以て一切佛法に入り、
巧方便を得て佛の無量なる諸方便法に入り、巧方便を得て一切佛法に於いて心に自在を得て而も不退轉なり。佛子よ、是を十種の巧方便法と為す。
佛子よ、是の故に菩薩摩訶薩は、應當に一心に恭敬して是の法を聽受せよ。何以故、菩薩摩訶薩は、是の法を聞くことを得れば少方便を以て、阿耨多羅三藐三菩提を疾得し、三世の佛と等しからむ」。
爾時、佛神力の故に、法如是なるが故に、十不可説億那由他佛刹の微塵に等しき世
界は六種に震動す。諸天に出過せる一切華の雲雨・妙香雲雨・末香雲雨・衣蓋幢幡・衆寶莊嚴具の雲雨・妓樂の雲雨・諸菩薩の雲雨・不可説の佛を讃歎する雲雨・不可説の讃歎善哉の雲雨・佛音聲滿法界雲雨・不可説淨世界雲雨・不可説長養菩薩功徳雲雨・不可説光明雲雨・不可説種種神力自在雲雨、を雨らせり。此の如き世界の四天下に佛は道場に坐したまひて、
如是等の種種の雲雨を雨ふらし諸法を演説したまひしが如く、十方世界も亦復た如是なり。

爾時、佛神力の故に、法如是なるが故に、十不可説世界微塵に等しき刹を過ぎて十佛世界微塵數の菩薩摩訶薩あり。此土に來詣して十方に充滿す。如是の言を作さく「善哉善哉、佛子よ。能く如是の諸佛如來の最大誓願・授記の深法を説けり。我等も同號にして皆普賢と名け、
諸の普勝世界の諸の普幢自在如來の所より、此土に來詣し、一切世界にも亦た此の法を説けり。如是の句身味身一切の諸行は増減有ることなし。是の故に此に来たりて汝が為に作證す」と。如是に十佛世界微塵數の菩薩摩訶薩は、此に來りて作證す。一切十方の諸如來の所にも亦復た如是なり。
爾時、普賢菩薩摩訶薩は、佛神力と自善根力とを以て、十方及び諸法界を觀察し、諸菩薩行・諸佛菩提を明かさんと欲し、大願を説かんと欲し、一切世界の諸劫を分別せんと欲し、
佛の出世間の隨時示現なるを明かさんと欲し、衆生の根に随ひて悉く化を受けしめんと欲し、如來諸所の説法に虚妄有ることなきを明かさんと欲し、善根を種うるに随ひて果報は虚しからざることを明かさんと欲し、欲明菩薩の清淨法身は妙音聲を出して衆生を覺悟し菩提心を起こさしむることを明かさんと欲するが故に、偈頌を以て曰く
一切の衆は歡喜し 諸陰蓋を除滅し
一心に恭敬して 菩薩の諸願行を聽け
三世の菩薩の 所行の諸願行に随ひて
我れ當に次第に 菩薩の勝妙の法を説かむ。
一切諸劫の數 及び世界の業數に
我は「無等等の 應化が世に興る」と説く
過去諸佛を見たてまつりて 彼において大願を發し
衆生の類を饒益して 一切苦を除滅せり
菩薩論師の王は 所行斷絶すること無く
無等等の法と 一切智の諸境界を得たり。
菩薩は過去 一切諸導師の
大光明網を放ちて 十方界を普照するを見たまひて
如是の大願を發す 「我、世間の燈と為り
功徳を以て身を莊嚴し 十力智を具足せむ。
一切諸群生は 貪恚癡は熾然なり
我當に爲めに 無量惡道苦を除滅せん」と。
如是の誓願を発し 堅固不退轉なり。
具さに菩薩行を修し 無礙力を究竟す
如是の誓願已りて 世間の行に轉ぜられず
所行は虚妄無く 論王の法を究竟せり。
一賢劫中に於いて 千佛世に出たまふ
彼の佛の正法に随ひて 次第分別して説かむ。
此の賢劫佛の如く 無量劫も亦た然なり
未來諸佛の法も 我當に次第して説くべし
一佛刹中の如く 無量の刹も亦た然なり
一切の佛國の性を 我悉く分別して説かむ
諸佛、次に世に興り 願に随ひ、 名號に隨ひ、
彼の所得の記に随ひ、 其の壽命する所に随ひ、
所修の正法に随ひて 專ぱら無礙道を求めしめ
所化の衆生に随ひ 正法を世に住せむ。
所淨の佛刹・ 衆生及び法輪・
説法時と非時とに随ひて 次第に群生を清めむ。
彼の衆生行の 種種諸の業性は
上中下の差別に随ひ 化を受ける所に隨應す
如是の甚深智を以て 菩薩は是の行に入り
普賢業を修習し 智慧輪を具足す
身業は無障礙にして 口業は悉く清淨
意業は亦た無礙にして 三世の法に通達す
菩薩は如是に行じて 普賢道を究竟し
淨智の日を出生し 諸法界を普照す
不可説劫と 及び一切佛刹とに於いて
菩薩は一念に知り 彼において著する所なし
行者は如是の 奇特甚深の地
菩薩妙法中に入る 我當に少分を説かむ
智慧は無邊際にして 佛境界を究竟し
善く一切處に入り 不退轉を成就す
普賢の淨慧を具し 普賢の願を満足せる
菩薩の究竟行は 深く無等智に入る
一微塵中に於いて 悉く一切刹を入れ
彼の無量の佛を見 具さに法を演説するを聞く
一微塵中の如く 一切塵も亦た然り
刹及び諸佛を見る 是れ不思議の智なり
一一微塵中に 三世の法を普現し
五趣生死の道を 皆な悉く分別して知る
一一の微塵中に 無量の佛刹あり
一の中に無量を知り 無量の中に一を知る
如是の法界に等しき 一切諸佛土の
同性及び異性を 皆な悉く能く了知す
深く微細智に入り 諸世界を分別す
一切劫の成壞を 悉く能く分別して説く
諸劫の修短を知るに 三世は即ち一念にして
同行と不同行とを 皆な悉く分別して知る
深く諸世界の 清淨と不清淨とに入り
身中に無量の刹あり 一刹に無量の身あり
一切十方中の 無量の諸世界の
種種の無數の性を 一切悉く能く知る
一切三世の中の 無量の佛國土を
甚深智を具足して 悉く彼の成敗を了る。
十方諸世界に 成あり或は敗あり
普賢は悉く深入して 一切能く了知す
淨慧眼を以て 無量の諸佛土を見
分別して諸業を知り 隨ひて行ずるが故に清淨なり。
菩薩摩訶薩は 善く衆生の行を知る
諸惡業を以ての故に 而も不淨土を得る
無量無邊の刹は 即ちこれ一刹なるを知る
如是に諸刹に入り 一切能く知る莫し
一切諸世界を 一刹中に入らしめ
世界積聚せず 亦復た離散せず
或は伏し、或は仰あり 或は高、或は復た下、
世界の衆生相をも 菩薩は皆な悉く知る。
或は翻覆(転覆)の刹あり 無量の諸佛土は
種種も是れ一なるを知り 一も是れ種種なるを知る
普賢は眞佛子なり 不思議智を以て
難思議の刹を知り 無邊際に了達す
諸世界の化と 刹化と衆生化とを知り
諸法の化を了知し 諸佛の化を究竟す
甚深の世間法と 種種莊嚴の事と
衆生の無量の報とは 皆な心業莊嚴なり
眞佛子は善く 甚深妙法界を学び
自在神力を具して 十方刹に充滿す
衆生に等しき諸劫 常に世界の法を説き
一切能く知ること莫し 唯し等正覺を除く
世界及如來の 種種の諸名號は
無量劫に演説すとも 猶ほ能く究竟すること能わず
何況んや心境界の 三世諸佛の法と
眞實妙法界と 諸佛の一切地をや
清淨無礙の念は 無礙智を具足し
分別して法界を説き 智慧は彼岸に到る
如是の諸世界は 無量業の莊嚴なり
菩薩は一念中に 悉く三世の刹を知る
彼の世界中に於いて 諸最勝行を行じ
等正覺を究竟して 自在力を顯現す
如是の未來世の 一切世界中に
諸佛は次いで世に興ることも 菩薩は悉く能く知る
彼の行と諸妙願と 境界に功徳を修め
劫に隨いて正覺を成ずを 菩薩は分別して知る
亦た彼の壽量と 及び所化の衆生とを知り
方便法門に随て 衆の為に法輪を轉ず
菩薩は如是に知りて 普賢の行地を具し
一切智を成就して 諸如來と等し。
十方界の 無量諸佛土を現在し
此の世界に深入し 諸法界に通達す
彼の世界中に於いて 現在の無數佛と
無礙の論山王とは 自在法を究竟す
淨土及び衆を知り 應化の自在力を以て
無量億劫を盡し 常に是事を思惟すべし
調御世間の尊は 自在力を成就し
菩薩は究竟して度し 智慧藏に深入す
菩薩は具さに  無礙の眼耳身と
無礙の廣長舌を出生して 衆をして悉く歡喜せしむ
最勝無礙の心は 無量にして普く清淨なり
甚深無礙智は 悉く三世の法を了す
善く一切化と 刹化と衆生化と
能化と世間化とを學び 化の彼岸を究竟す
種種の業莊嚴を以て 諸世間を嚴飾す
佛智慧を成就して 善く一切の相を知る
一一の如來の身は 無量の方便を以て
 其の應化する所に隨ひて 無量の衆を度脱す
 智境界に深入せる 出世間の慧日は
所行不退轉にして 遍く一切の刹に遊ぶ
諸世間の 如夢如幻化なるを深解し
一切衆生界は 悉く如電なりと了達す
虚妄の劫と 及び一切世間とを取らず
善く非眞實なるを解し 彼において無所著なり
無量無數劫も 之を解するに即ち一念なり
念を知れば亦た念に非ず 世間は實の念なし
本座を動ぜずして 一念に十方に遊び
無量無邊劫に 常に諸衆生を化す
不可説諸劫は 即ち是れ一念の頃なり
亦た劫を短ならしめずして 刹那の法を究竟す
一切諸世間 及び諸衆生心とは
非一亦た非二なるを 菩薩は悉く了知す
衆生と世界と劫と 諸佛及び佛法とは
皆悉く幻化の如くして 法界に二有ることなし
普く十方の刹に於いて 無量の身を示現し
虚妄の身を取らず 法界に無所著なり
無二の智慧の中より 人師子を出生して
不二の法に著せず 一二無きことを知るが故なり
菩薩は諸法の 如焔・如電光
如響亦如夢 如幻・如變化なるを知る
如是に隨順して 一切佛境界に入り
平等智を成就して 深法界を普照す
無量の大悲を以て 諸衆生を觀察し
染著心を遠離して 清淨に世間を觀ず
廣淨無盡の身は 方便地に深入し
菩薩は常に 論師子の妙法を正念す
世衆の苦惱を見て 無量大願を發し
所行皆清淨にして 諸法界に普遍す
諸佛及菩薩と 佛法と世間とを
菩薩は方便觀にて 通達するに無差別なり
清淨の法身藏と 一切諸世間と
世間及法身は 二つ倶に無所著なり
譬へば淨水中に 影を見るも無所有なるが如く
法身は十方に至るも 而亦た至る所なし
此の如く無所著なれば 世間の清淨身は
身と雖も身に非ず 諸法は無生なるが故なり
無盡の身に深入せば 生に非ず亦た滅に非ず
常に非ず無常に非ずして 諸世間に示現す
惡邪見を除滅し 正見を成就し
平等に諸法を觀じ 我・我所に著せず
譬ば工みなる幻師の 種種の幻を示現するも
本從來する所なく 去るも亦た至る所なし
幻も亦た有量に非ず 亦復た無量に非ずして
彼の大衆中において 量・無量を示現するが如し
此の寂滅心を以て 諸善根を修習し
諸佛の法を出生するも 量に非ず、無量に非ず
量有と無量とあるは 皆な悉く是れ妄想なり
一切趣を分別して 量・無量に著せず
諸佛甚深の法は 寂滅にして最深妙なり
甚深無量智は 甚深の諸趣を知る
菩薩は愚癡を離れ 心意淨くして無量に
諸善根を修習して 無量の願を具足す
無量の衆生を度して 安隱の處に至らしめ
平等に法界を觀じて 彼において無所著なり
眞實際を深解せば 諸法は無所有なり
諸世間を覺悟せば 諸法は無生滅なり
一切法を深知し 應化の衆生に随ひて
普く甘露の法を雨ふらし 諸世間に充滿せしむ
無量の衆生を化して 菩提心を發せしめ
菩薩行を捨てずして 皆な不退轉を得しむ
佛の正法に隨順して 究竟じて法身を得
悉く世間の 一切衆生の身を了知す
諸衆生及び一切佛刹を分別し
智慧海に深入し 十方海に通達す
如來の淨身中に 普く衆生身を現じ
菩薩の明淨眼は 悉く皆な能く覩見る
無量億劫中に 如來身を讃歎す
一切劫を窮盡するも 猶尚ほ究竟せず
菩薩摩訶薩は 佛涅槃後に於いて
能く念念中に於いて 諸舍利を分布す
如是に未來世に 佛道を求むる者あらば
無量菩提心の 決定智を以て能く知る
如是に三世中に 諸佛は世に出て
普賢行に安住するを 皆な悉く分別して知る
如是に分別して 無量の諸行の地を知り
堅固の智を成就して 能く不退轉を轉ず
無量の深智慧は 如來の境を究竟す
普賢の明淨智は 不退轉に深入す
一切の最勝尊は 妙境界に深入し
不退轉を究竟し 無上菩提を得る
無量無邊の心と 一切種種の業とは
諸想行を修習し 能く一念において知る
染汚・不染汚 學心・無學心
菩薩は一念中に 無量心を覺悟す
一二に非ず 穢に非ず亦た淨に非ず
亦復た積集に非ず 皆な因縁より起ることを了知す
如是に分別して 一切衆生心を知れば
世間と諸佛刹とは 悉く皆な是れ虚妄なり
如是の妙方便を以て 菩薩行に深入せば
皆な普賢と等しく 如來の法より化生す
一切の衆生の類は 善惡想不同なり
或は天上に生まれるあり 或は諸惡道に堕するあり
菩薩は世間を見るに 皆な業縁より起り
常に虚妄の想に著して 生死に流轉せり
十方の諸衆生は 虚誑の網の所覆なるも
菩薩は一念中に 方便もて解脱せしむ
如是の諸根入と 眼耳鼻舌身と
分別して意業を知るに 世間の想は不同なり
一一の眼境界は 無量の眼を出生し
種種の相は不同にして 無量にして邊あることなし
衆生の所行の 一切の善惡業に随ひ
彼において果報を得る 像類は悉く不同なり
普賢の清淨眼は 諸地力に深入す
一一の眼境界は 無量智を出生す
如是の諸世間を 悉く能く分別して知り
一切行を究竟し 不退轉を逮得す
佛説と菩薩説と 刹説と衆生説と
三世一切の説とを 菩薩は分別して知る
過去は是れ未來 未來は是れ過去
現在は是れ去來なりと 菩薩は悉く了知す
如是の無量世に 覺悟の相不同なり
方便究竟の行は 諸佛智を具足す。(以上)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 我々は有限の中にも無限の中... | トップ | 秘密曼荼羅十住心論に説く十... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

諸経」カテゴリの最新記事