秘密曼荼羅十住心論に説く十悪の果報４、（（妄語の果報））

秘密曼荼羅十住心論に説く十悪の果報４、（（妄語の果報））
又た其の邪婬によるが故に皆な妄を發言す。今身に若し妄に衆生を苦惱せば、死して則ち當に啼哭地獄に墮し、遐劫中に於いて諸苦惱を受く。受苦既に畢って餓鬼中に堕し、此に在って苦惱し無量に生死す。本因縁を以て若し微善に遇ふて劣（たまた）ま人身に復すせば諸疾病多く、尪羸虚弱（おうるい・瘦弱）（こにゃく）にして頓乏楚痛（とんぼうそつう・痛み苦しむ）す。自ら苦毒に嬰（かか）り、人愛念せず。當に知るべし、此の苦は皆な妄語によって生ずる也。
故地持論云（ここでも華厳経のこと）「妄語之罪は亦た衆生をして三惡道に堕す。若し人中に生じても二種の果報を得る。一は多く誹謗さる。二は人の為に誑かさる」と。何の故に妄語は地獄に堕すや。其の妄語は不實にして人をして虚爾として生苦せしむる、是を以って身死して地獄の苦を受く。何が故に妄語は出でて畜生と為るや。其の欺妄は人の誠信に乖（そむ）くを以て、ゆえに出獄して畜生の報を受く。何が故に妄語は復た餓鬼と為るや。其の妄語は皆な同じく慳欺による、慳欺の罪の故に復た餓鬼と為る。何が故に人の為に多く誹謗せらるや。其の妄語は誠實ならざるが故なり。　何が故ひ妄語は人の為に誑かさるや。其の妄語は人を欺誑するを以ての故なり。當に知れ妄語は四大苦也。