福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

高齢者は「俗界の勝者」でなく「霊性の勝者」を求めよう

2018-09-17 | 法話
滝田栄という信仰深い俳優が「人間が目指すべき目標として、マハーラージャー(物欲界の勝利者)とヨギラージャ(霊性の勝利者)がある」という趣旨の話をされていました。
ここにあります。



似た話は仏本行集経にもあります。仏本行集経では、お釈迦様の誕生を阿私陀仙(アシタ仙人)が予言して、「 この子は王位を継げばインドの理想の王(転輪聖王)になり、出家すれば精神世界の王(覚者)となり衆生 を救済するであろう。 」 といったあり、「転輪聖王」が俗界の勝者、「覚者」が精神世界の勝者とされています。


御大師様も「転輪聖王」について書いておられます。「叡山の澄法師理趣釈を求むるに答する書」で「・・求道の志は己を道法に忘る。なおし輪王の仙に仕えし如し(お釈迦様が前世で法を求めるために転輪聖王の位を棄てて仙人に仕えたように)」 と書いておられて、「転輪聖王」は「仙人」よりも下とおっしゃっています。ましてや「覚者」とは比べ物にならないとおっしゃっているのでしょう。

団塊の世代が後期高齢者となり高齢者問題が深刻化しているように報じられますが、組織・俗世をリタイヤした高齢者はすべからく俗世の物質的価値固執者から精神的価値の追求者と生活を切り替えるべきでしょう。まさにオーバーに言えば俗界の勝者(転輪聖王やマハーハーラージャ)をいつまでも未練たらしく追い求めないで、霊界の勝者(聖者やヨギーラージャ)を目指すべきでしょう。昔の高齢者はみなそうして「ご隠居」と呼ばれ、世間の信頼を集めていたものです。いまの高齢者は脂ぎっていてなかなかそうはなれません。しかしそろそろ目覚める時ではないでしょうか。さもないと本当に救いようのない醜悪な老後になります。老人ホームの入居者を見てその感を深くする昨今です。
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