秘密安心往生要集・・12/42
(十、来迎往生の粧の事)
次に十種の行と者、経に曰く、未来世の諸の衆生等、弥勒菩薩大悲の名称を聞きて(一)、形相を造立し(二)、香(三)、華(四)、衣服(五)、繒葢(六)、憧幡(七)、燈明(八)、を以て供養し礼拝し(九)、繫念(十)せば此の人、命終の時に弥勒菩薩眉間白毫大人相の光を放ちて諸の天子と共に、曼荼羅華を雨して此の人を来迎し、須臾に即ち内院に往生することを得て、弥勒に値遇し、頭面に礼敬して頭未だ挙がらざる頃に便ち法を聞くことを得て、即ち無上道に於て不退転を得。未来世に於て恒河沙等の諸仏如来に値ひ奉ることを得、と。(これは下品三生の往生の相なり)。又、曰く、若し弥勒菩薩摩訶薩の名を聞きて歓喜し恭敬し礼拝する人は命終して弾指の頃に即ち内院に往生することを得、と。(中品三生の人)。又曰く、但し、弥勒の名を聞きて合掌し恭敬する人は、五十劫の生死の罪を除却す、若し弥勒を敬礼する者は百億劫の生死の罪を除却すと。又曰く、若し一念の頃をも弥勒の名を称せば、この人は千二百劫の生死の罪を除却すと。佛是を説き玉ふ時、無量の大衆坐より起きて仏を礼し、弥勒のみ足を礼して佛及び弥勒を遶ること百千匝して、誠実の誓願を起こして兜率天に上生せんことを願ふ。世尊記し玉はく「汝等及び未来の修福持戒の者、皆當に弥勒菩薩の前に往生すべし」(「佛説觀彌勒菩薩上生兜率天經」「無量大衆即從坐起。頂禮佛足禮彌勒足。遶佛及彌勒菩薩百千匝。未得道者各發誓願。我等天人八部。今於佛前發誠實誓願。於未來世値遇彌勒。捨此身已皆得上生兜率陀天。世尊記曰。汝等及未來世修福持戒。皆當往生彌勒菩薩前爲彌勒菩薩之所攝受。」)と。又心地観経に曰く「末法の中に於いて善男子ありて一搏の食を衆生に施すも、是の善根を以て弥勒を見奉り當に菩提究竟の道を得べし」(「大乘本生心地觀經卷第三報恩品第二之下」「我今弟子付彌勒 龍華會中得解脱於末法中善男子 一摶之食施衆生以是善根見彌勒 當得菩提究竟道」)と。此れ皆下品三生の人の行因なり。ありがたいかな我等無始の罪障須弥山の如くなるに暫くも懺悔し礼拝し弥勒の御名を聞きて称念すれば即ち罪障を滅して内院に往生し、不退転地に至ることを得。五十六億七千万歳の後に俱に此の地に下生して翅頭末城龍華三會の暁に頓に聖位を証すべし。(弥勒下生経では、「閻浮提が平穏になり人寿が八万四千歳になったころ超巨大な城郭「翅頭城」が存在し、そこは衣食足り平和な理想郷である。そこに弥勒は下生する、とされる。」)是れ十一種の行具足するにもあらず、或いは二三四五を修し、或いは大乗経典を読誦し、真言陀羅尼を誦する功徳に依りて往生する也。臨終十念の要期にもあらず、兼ねて修することなければ豈に易修易行にあらずや。況や法華の第八の巻には「即兜率天上の弥勒菩薩の所に往くべし。弥勒菩薩に三十二相ありて、大菩薩衆に共に囲繞せられ、百千萬億の天女眷属有りて而して中に於いて生ず」(「妙法蓮華經・普賢菩薩勸發品第二十八」「若有人受持讀誦解其義趣。是人命終爲千佛授手。令不恐怖不墮惡趣。即往兜率天上彌勒菩薩所。彌勒菩薩有三十二相。大菩薩衆所共圍繞。有百千萬億天女眷屬。而於中生。有如是等功徳利益。是故智者應當一心自書若使人書。受持讀誦正憶念如説修行)。)と説き玉へり。
(十、来迎往生の粧の事)
次に十種の行と者、経に曰く、未来世の諸の衆生等、弥勒菩薩大悲の名称を聞きて(一)、形相を造立し(二)、香(三)、華(四)、衣服(五)、繒葢(六)、憧幡(七)、燈明(八)、を以て供養し礼拝し(九)、繫念(十)せば此の人、命終の時に弥勒菩薩眉間白毫大人相の光を放ちて諸の天子と共に、曼荼羅華を雨して此の人を来迎し、須臾に即ち内院に往生することを得て、弥勒に値遇し、頭面に礼敬して頭未だ挙がらざる頃に便ち法を聞くことを得て、即ち無上道に於て不退転を得。未来世に於て恒河沙等の諸仏如来に値ひ奉ることを得、と。(これは下品三生の往生の相なり)。又、曰く、若し弥勒菩薩摩訶薩の名を聞きて歓喜し恭敬し礼拝する人は命終して弾指の頃に即ち内院に往生することを得、と。(中品三生の人)。又曰く、但し、弥勒の名を聞きて合掌し恭敬する人は、五十劫の生死の罪を除却す、若し弥勒を敬礼する者は百億劫の生死の罪を除却すと。又曰く、若し一念の頃をも弥勒の名を称せば、この人は千二百劫の生死の罪を除却すと。佛是を説き玉ふ時、無量の大衆坐より起きて仏を礼し、弥勒のみ足を礼して佛及び弥勒を遶ること百千匝して、誠実の誓願を起こして兜率天に上生せんことを願ふ。世尊記し玉はく「汝等及び未来の修福持戒の者、皆當に弥勒菩薩の前に往生すべし」(「佛説觀彌勒菩薩上生兜率天經」「無量大衆即從坐起。頂禮佛足禮彌勒足。遶佛及彌勒菩薩百千匝。未得道者各發誓願。我等天人八部。今於佛前發誠實誓願。於未來世値遇彌勒。捨此身已皆得上生兜率陀天。世尊記曰。汝等及未來世修福持戒。皆當往生彌勒菩薩前爲彌勒菩薩之所攝受。」)と。又心地観経に曰く「末法の中に於いて善男子ありて一搏の食を衆生に施すも、是の善根を以て弥勒を見奉り當に菩提究竟の道を得べし」(「大乘本生心地觀經卷第三報恩品第二之下」「我今弟子付彌勒 龍華會中得解脱於末法中善男子 一摶之食施衆生以是善根見彌勒 當得菩提究竟道」)と。此れ皆下品三生の人の行因なり。ありがたいかな我等無始の罪障須弥山の如くなるに暫くも懺悔し礼拝し弥勒の御名を聞きて称念すれば即ち罪障を滅して内院に往生し、不退転地に至ることを得。五十六億七千万歳の後に俱に此の地に下生して翅頭末城龍華三會の暁に頓に聖位を証すべし。(弥勒下生経では、「閻浮提が平穏になり人寿が八万四千歳になったころ超巨大な城郭「翅頭城」が存在し、そこは衣食足り平和な理想郷である。そこに弥勒は下生する、とされる。」)是れ十一種の行具足するにもあらず、或いは二三四五を修し、或いは大乗経典を読誦し、真言陀羅尼を誦する功徳に依りて往生する也。臨終十念の要期にもあらず、兼ねて修することなければ豈に易修易行にあらずや。況や法華の第八の巻には「即兜率天上の弥勒菩薩の所に往くべし。弥勒菩薩に三十二相ありて、大菩薩衆に共に囲繞せられ、百千萬億の天女眷属有りて而して中に於いて生ず」(「妙法蓮華經・普賢菩薩勸發品第二十八」「若有人受持讀誦解其義趣。是人命終爲千佛授手。令不恐怖不墮惡趣。即往兜率天上彌勒菩薩所。彌勒菩薩有三十二相。大菩薩衆所共圍繞。有百千萬億天女眷屬。而於中生。有如是等功徳利益。是故智者應當一心自書若使人書。受持讀誦正憶念如説修行)。)と説き玉へり。