福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金光明最勝王經・全訳・・1/32

2020-01-01 | 諸経
金光明最勝王經・全訳・・1/32


大師の「金勝王經祕密伽陀」はじめには

[圓律師(真圓・大師の弟子)眇年にして俗を脫す。器は則ち瑚璉(尊い器)なり。江海の經論、懸河の
其の辨、國家之を屈し最妙典を講ぜしむ。公予に託して伽他を覓もとむ。余時觀暇なく匠に代わりて仁に當り、凍筆を寒燈に含んで深致を釣る。散を遠ざけ思いを凝らし、乙夜(五更のうちの二更・午後10時)に金石を沙汰す。總て十七偈を得たり。勒して一軸となし金勝王經祕密伽他と名く。
夫れ如來の說法は必ず顯密二意を具す。顯は則ち常途の所談是也。密は則ち祕藏の所論卽ち是也。顯家之趣は曆代の口實なり。密藏之旨は此土未だ解せず。今此經を見るに傍には顯義を說き、正しくは眞言を以て立宗す。所以に自宗義を擧け以って頌詞を樹つ。冀こひねがわくは博逹之士、疑怪を致すなかれ。
于時弘仁四年季冬之月也
歸命伽陀七言

帰命したてまつる。釋迦と四智佛と甚深難解金光明と 三身は本より我心裏に在り 因果倶時の妙境堺と 金龍國主心王法と 雜類諸天心數衆と 定惠表示の
男女像と 無心感應自他躬とに。
 
衆生は盲瞑にして心佛に迷ひ 自ら無盡の珍あるを知らず 我祕藏本有義に託し
 略ほぼ此の經の祕法輪を頌す 願くは有緣者をして知聞せしめ 忽ちに心中の最勝仁を見て 處處に二利行を廣行し 不證にして無垢塵を證せしめん。]とあり

更に大師の「最勝王経開題」では「心をいたして受持し心を洗ひて読誦し法の如く修行し理のごとく思惟すれば禍として消えずといふことなく、福として満ぜずといふことなく、世間の勝願・出世の妙業みなことごとく円満す。吉祥・弁才はよくその災難を抜く。金勝如意の名これによりて立り。満願了知の称これのいよりて顕はる。経の大意けだしかくの如し。」として題名を梵語で解説されたのち、「また二の意あり。一にはこの題目はすなわち三身の密号なり。初めに「金」とは法身、つぎに「光」とは応身、後に「明」とは化身にしてこれすなわち三宝等を表す。・・二には五佛の秘称を表し、五部の宝号を顕はす。初めに「金」とは金剛部なり・・「光明」とは宝部なり・・・「最」とは蓮華部なり・・「勝」とは羯磨部なり・・「王」とは佛部なり・・・いわゆる五部とはすなわち五佛なり。・・・東、阿閦佛。南、宝相佛。西、無量寿佛。北、天鼓雷音および釈迦牟尼佛これなり。この五佛をまた五智と名く・・。」とあります。大師も相当このお経を重視されていたことが分かります。
(国訳大蔵経十一巻「金光明最勝王経」の解説でも「金光明玄義」では「金」は「法身」、「光」は「報身」、「明」は「応身」を表す、とされています。)古来この経は深く信仰され、聖徳太子の四天王寺は金光明最勝王經に依り造られ、聖武天皇は此の経により国分寺を造り必ず金光明経を備えしめ、宮中に於いても此の経を講説させています。(聖武帝が写経させて全国国分寺に収めさせた金光明経は今も国宝として残っています。)



称徳帝は大極殿で一七日間金光明経を講ぜしめ国家安泰を祈らしめ、また金光明経に依る吉祥懺悔を修して五穀豊穣を祈り、これが宮中御齋会のはじめとなっています。一條院の時、清涼殿で天下泰平国家安穏祈願のため毎年陰暦五月の吉日を選んで五日間、東大寺・興福寺・延暦寺・園城寺の四つの大寺の僧を選び、金光明最勝王経一〇巻を、朝夕二回一巻ずつ講じさせた、これを最勝講といいます。先に出した修正会は正月に行われますが、この最勝講はいまは六月に行われるようです。
大師は『最勝王經開題』『金勝王経秘密伽陀』 『最勝王経略釋』 などを著され高野山に於いて十講をひらかれています。

後宇多上皇(13世紀)は、永仁2年(1294)11月15日、みずから金光明最勝王経を斎戒書写され全国に配布されています。(「永仁二載仲冬三五。堅持齋戒。奉寫既訖」とあり)で、聖武天皇の国分寺経の先例にならって諸国に班置し、鎮護国家・万民撫育を祈りました。後宇多上皇はこのときまだ28歳でした。
後宇多天皇御宸筆・金光明経
以下後宇多天皇の奥書
「永仁二載仲冬三五。堅持齋戒。奉寫既訖。
願此以典  班置諸州  以為國鎮  以為民寶
遥慕聖武  深発大悲  述脩祖業  撫育民俗
百王福田  百姓帰依  金光以照  如寶無盡
以斯功徳  遍施一切  本有金剛  五智各具
  佛子太上天皇世仁」

蒙古襲来時にも叡尊菩薩は金光明経を石清水八幡で奉読していることが八幡愚童訓にでてきます。



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