秘密安心往生要集・・23/42
(廿一、没後追善の用心。廿二、臨終の相を見て三悪道に堕するを別ち知る事)。
臨終の相を見て六道の生処を知るべし。故に守護国界経に曰く「地獄に堕ちる人は十五の相あり。一には自らの妻子眷属に於て悪き眼ざしにて視る。二には其の両手を挙げて虚空をかきうつ。三には善知識に随順せず。四には悲しみ号び啼泣嗚咽て涙を流す。五には大小便利の出るを覚えず知らず。六には目を閉じて開かず。七には常に顔を覆す。八には側臥して飲み噉ふ。九には口臭く穢し。十には脚膝戦掉ふ。十一には鼻梁欹側む。十二には右の眼瞤(まじろぎ)動く。十三には両目変じて赤し。十四には面を仆して臥す。十五には身を踡め、左の脇を地に著けて臥す。餓鬼道に堕する人に八の相あり。一には好んで其の唇を舐る。二には身の熱きこと火の如し。三には常に飢渇を患へて好んで飲食を説く。四には口を張って合わせず。五には両の目乾き枯れて鵰孔雀の目の如し。六には大小便少しも漏るることなし。七には左の膝先冷ゆ。八には右手常に拳る。是慳悋して物を握り固めて施さざる相なり。畜生道に堕するに五の相あり。一には妻子を愛恋して貪り視て捨てず。二には手足の指を踡む。三には遍體に汗を流す。四には麁しく渋りたる声を出す。五には口中に沫を噍む。
若し地獄の十五の相、一相も現せば早く佛眼・金輪・聖観音・地蔵菩薩等の形相を造り、或は画きて弔ひ廻向し、理趣経・隋求尊(大隋求菩薩「オン バラバラ・サンバラ サンバラ・インジリヤ・ビシュダニ ウンウン・ロロシャレイ ソワカ」)・尊勝陀羅尼・寶筐印陀羅尼・光明真言・破地獄(ナウボウ・ボボテイリ・キャリタリ・タターギャタヤ)・寶楼閣・法華経等を誦じて、追福廻向すべし。若し餓鬼道の相、八の中に一も現ぜば早く寶生如来・虚空蔵・地蔵・千手観音・檀波羅蜜菩薩等の形相を造り描き施餓鬼の法を修し十甘露陀羅尼(ノーマク ソロバヤー タタギャタヤー タニヤター オン ソロソロ ハラソロ ハラソロ ソワカー)
・雨寶陀羅尼等を念誦して回向し、又乞食に食を施し衆僧を供養すべし。若し畜生道の相、五の中に一も現ぜば阿弥陀如来・文殊・般若・金剛灯菩薩・馬頭観音の形像を造り画き、光明真言・理趣経・般若心経・光讃般若・仁王般若経等を読誦して回向すべし。若し三悪道の相、雑起して何と云ふことを知らずんば先ず為に清浄なる土砂一桶を調へて光明真言一千遍誦して加持して此の土砂を以て屍骸を埋み、或は焼く時には棺の中には此の土砂を満たすべし。又猶滅悪趣菩薩の法、光明真言の護摩等を修して回向すべし。総じて善相悪相にかぎらず加持の土砂を散ずるは恒の式なり。大日如来真言本願の善巧方便の故に。義浄三蔵の方訣(臨終方訣)にも是を出し、元暁大師も往生浄土の秘密と宣へり。造佛功徳経に曰く「仏像を造り画きて供養するものは五逆罪をも滅す」と。又地蔵菩薩因位に「聖女光目女として亡母の地獄の劇苦を救ひ玉ふは家を売り財宝を擲って佛を供養し如来の形相を画き追福し玉ふ故なり。今の人何ぞ学び修せざらんや。但し佛を造り画くには価値を還らず真実の心を以て造るべし。金銀を恪みて画きぬれば功徳なし」(「地藏菩薩本願經」「像法之中有一羅漢福度衆生。因次教化。遇一女人字曰光目。設食供養。羅漢問之欲願何等。光目答言。我以母亡之日資福救拔。未知我母生處何趣。羅漢愍之爲入定觀。見光目女母墮在惡趣受極大苦。羅漢問光目言。汝母在生作何行業。今在惡趣受極大苦。光目答言。我母所習。唯好食噉魚鼈之屬。所食魚鼈多食其子。或炒或煮恣情食噉。計其命數千萬復倍。尊者慈愍如何哀救。羅漢愍之爲作方便。勸光目言。汝可志誠念清淨蓮華目如來兼塑畫形像存亡獲報。光目聞已即捨所愛。尋畫佛像而供養之。復恭敬心悲泣瞻禮。忽於夜後夢見佛身。金色晃耀如須彌山。放大光明而告光目。汝母不久當生汝家。纔覺飢寒即當言説。其後家内婢生一子。」)といへり。
(廿一、没後追善の用心。廿二、臨終の相を見て三悪道に堕するを別ち知る事)。
臨終の相を見て六道の生処を知るべし。故に守護国界経に曰く「地獄に堕ちる人は十五の相あり。一には自らの妻子眷属に於て悪き眼ざしにて視る。二には其の両手を挙げて虚空をかきうつ。三には善知識に随順せず。四には悲しみ号び啼泣嗚咽て涙を流す。五には大小便利の出るを覚えず知らず。六には目を閉じて開かず。七には常に顔を覆す。八には側臥して飲み噉ふ。九には口臭く穢し。十には脚膝戦掉ふ。十一には鼻梁欹側む。十二には右の眼瞤(まじろぎ)動く。十三には両目変じて赤し。十四には面を仆して臥す。十五には身を踡め、左の脇を地に著けて臥す。餓鬼道に堕する人に八の相あり。一には好んで其の唇を舐る。二には身の熱きこと火の如し。三には常に飢渇を患へて好んで飲食を説く。四には口を張って合わせず。五には両の目乾き枯れて鵰孔雀の目の如し。六には大小便少しも漏るることなし。七には左の膝先冷ゆ。八には右手常に拳る。是慳悋して物を握り固めて施さざる相なり。畜生道に堕するに五の相あり。一には妻子を愛恋して貪り視て捨てず。二には手足の指を踡む。三には遍體に汗を流す。四には麁しく渋りたる声を出す。五には口中に沫を噍む。
若し地獄の十五の相、一相も現せば早く佛眼・金輪・聖観音・地蔵菩薩等の形相を造り、或は画きて弔ひ廻向し、理趣経・隋求尊(大隋求菩薩「オン バラバラ・サンバラ サンバラ・インジリヤ・ビシュダニ ウンウン・ロロシャレイ ソワカ」)・尊勝陀羅尼・寶筐印陀羅尼・光明真言・破地獄(ナウボウ・ボボテイリ・キャリタリ・タターギャタヤ)・寶楼閣・法華経等を誦じて、追福廻向すべし。若し餓鬼道の相、八の中に一も現ぜば早く寶生如来・虚空蔵・地蔵・千手観音・檀波羅蜜菩薩等の形相を造り描き施餓鬼の法を修し十甘露陀羅尼(ノーマク ソロバヤー タタギャタヤー タニヤター オン ソロソロ ハラソロ ハラソロ ソワカー)
・雨寶陀羅尼等を念誦して回向し、又乞食に食を施し衆僧を供養すべし。若し畜生道の相、五の中に一も現ぜば阿弥陀如来・文殊・般若・金剛灯菩薩・馬頭観音の形像を造り画き、光明真言・理趣経・般若心経・光讃般若・仁王般若経等を読誦して回向すべし。若し三悪道の相、雑起して何と云ふことを知らずんば先ず為に清浄なる土砂一桶を調へて光明真言一千遍誦して加持して此の土砂を以て屍骸を埋み、或は焼く時には棺の中には此の土砂を満たすべし。又猶滅悪趣菩薩の法、光明真言の護摩等を修して回向すべし。総じて善相悪相にかぎらず加持の土砂を散ずるは恒の式なり。大日如来真言本願の善巧方便の故に。義浄三蔵の方訣(臨終方訣)にも是を出し、元暁大師も往生浄土の秘密と宣へり。造佛功徳経に曰く「仏像を造り画きて供養するものは五逆罪をも滅す」と。又地蔵菩薩因位に「聖女光目女として亡母の地獄の劇苦を救ひ玉ふは家を売り財宝を擲って佛を供養し如来の形相を画き追福し玉ふ故なり。今の人何ぞ学び修せざらんや。但し佛を造り画くには価値を還らず真実の心を以て造るべし。金銀を恪みて画きぬれば功徳なし」(「地藏菩薩本願經」「像法之中有一羅漢福度衆生。因次教化。遇一女人字曰光目。設食供養。羅漢問之欲願何等。光目答言。我以母亡之日資福救拔。未知我母生處何趣。羅漢愍之爲入定觀。見光目女母墮在惡趣受極大苦。羅漢問光目言。汝母在生作何行業。今在惡趣受極大苦。光目答言。我母所習。唯好食噉魚鼈之屬。所食魚鼈多食其子。或炒或煮恣情食噉。計其命數千萬復倍。尊者慈愍如何哀救。羅漢愍之爲作方便。勸光目言。汝可志誠念清淨蓮華目如來兼塑畫形像存亡獲報。光目聞已即捨所愛。尋畫佛像而供養之。復恭敬心悲泣瞻禮。忽於夜後夢見佛身。金色晃耀如須彌山。放大光明而告光目。汝母不久當生汝家。纔覺飢寒即當言説。其後家内婢生一子。」)といへり。