「また、八才の少沙弥の 水の流れて蟻穴に 入るを救いし功徳にて 夭死転じて長寿せり」
(目連尊者の弟子で八歳の沙弥がいたが尊者が観視したところ夭死の相あり、よって父母のもとに帰らしめたが、途中蟻の穴に雨水が入るのをみて蟻を助けるべく堤の上に泥土を盛りこれを防いだ。その後少沙弥は父母の元を辞して無事目連尊者のもとに帰ったので、尊者は驚き、改めて定に入り観相したところ少沙弥は蟻を助けた功徳により夭死の業は消え、長寿の業となっていた。)
今日,末世にありても亦、往生放生の善行等により夭死の相あるもの、難治の疾病あるもの、その業を転じて無病長寿の好果を得ることあり。
乞ひ願わくは、つとめて放生の作善を行じて現身お業病、横死の禍を除き、且つ将来解脱の勝縁を招来せられんことを希望す。豈いわんや故なくして殊更に他の禽獣魚甲の命根を奪ってもって歓楽のおもいをなすこと、その顛倒の甚だしき、その残忍黒業の罪、恐れてもまた恐るべきならずや。今時殺生を好むものにして横死する等の事績は枚挙にいとまあらず。請ふ衆人、深くこの因果応報の真理を信じてみだりに殺業をなさず、堅く十善を守り、つとめて放生・持斉等の十種の行善を奉行せらるべし。況やまた刃を以て人を殺し、呪詛して殺し、毒薬を以て殺し、あるいは胎中の児を揉殺し、堕胎せしむる等の罪悪その業報幾許ぞや。おそれつつしみて深く懺悔しすみやかに自他を勧めて無始以来の悪業を悔悛し勤めて行善をなして宿業を贖い以て自他出離生死の勝業をつとむべきなり。
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