「舟は梶といふものをもって恐ろしき浪をもしのぎ、荒き風をも防ぎ、大海をも渡るなり。人間界の人は,正直の心を持ちてあぶなき世をも、神仏の助け渡し給ふ也。この心のよるところは、冥途の旅に向はん時死出の山の道をもつくるべし。三途の川の橋をを渡すべし。大かたおきどころなきほどの宝なり。よくよく心得給ふべし。正直の心は無欲なり。無欲は後生の薬也。」「極楽寺殿御消息・北条重時」(北条重時は泰時の弟、連署となり執権・時頼を補佐する。極楽寺を創建し忍性を迎え開基とする。自身も出家し「観覚」と号す。仏教への篤い信仰を基として儒教精神や武士の質実剛健さ等を説いたその思想は、江戸時代まで広く国民各層の意識に影響を与えたとされる。)
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