観音経には「或値怨賊繞 各執刀加害 念彼觀音力 咸即起慈心 或遭王難苦 臨刑欲壽終
念彼觀音力 刀尋叚叚壞 或囚禁枷鎖 手足被杻械 念彼觀音力 釋然得解脱。(賊に囲まれたとき観音様を念ずれば慈悲心が突然芽生えて救われる。刀で切られようとしたとき観音様を念ずれば刀は粉々に折れる。鎖で繋がれたとき観音様を念ずれば脱出することができる)」とあります。
この観音経の刀杖難に関する霊験は無数にあります。
1、平家物語。西国霊験記等には、鎌倉幕府の命により、平家の主馬盛久が 由比が浜で処刑されようとしたが突然眩しい光が現れたために切れなかったとあります。由比ヶ浜の碑には
「盛久ハ主馬入道盛國ノ子ニシテ 平家累代ノ家人ナリ 然ルニ平家滅亡の後 京都ニ潜ミ 年来ノ宿願トテ清水寺ニ参詣ノ帰途 北條時政 人ヲシテ召捕ヘシメ 鎌倉ニ護送シ 文治二年六月 此地ニ於テ斬罪ニ處セラレントセシニ奇瑞アリ 宥免セラレ 剰ヘ頼朝其ノ所帯安堵ノ下文ヲ給ヒシト言フ 昭和十年三月 鎌倉町青年團建」とあるようです。
2、日蓮上人もこの由比ヶ浜で観音経の奇瑞がそのまま現れ、斬首をまぬかれたことは有名です。
3、昭和62年、当時の三井物産・マニラ支店長の若王子信行さんが身代金目当てに誘拐され、137日間監禁された事件がありました。朝日新聞には若王子さんが帰国後、苦しかった倉庫での監禁生活の様子を次のように述べておられます。「私は昔から浅草の観音さまによく行っていた。倉庫の片隅に観音さまがおられると想像して毎日祈っていた」と。又「浄土」1987年6月号にも「三井物産マユラ支店長若王子信行氏が、フィリ ピンで百三十七日間誘拐され、陽のあたらない陰気な弧独な所に幽閉され、不安と強迫の連日に耐え、生還されたが、そのお話に、「つねに信仰していた観世音菩薩のお姿を想起しては、なにくそ、と耐えしのんでいた」とありましたがまさにこれは正しい信仰の力であろう。」と記録がありました。
4、私自身も25年10月初め、「刀杖難」に遇いそうになり絶体絶命のピンチを迎えましたが、ちょうど江戸33観音巡拝で護国寺にきて如意輪観世音様を拝んだ後、すっかり「難」はおさまりました。
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