神社仏閣で読経するとき、その読経は神仏も周囲の眷属もさらにその周りの善霊・悪霊・先祖霊もその内容をきいています。従って読経には絶対の功徳があります。以下その例証をかきだしておきます。
・「法華経陀羅尼品」には「(お経を)受持し、読誦し、義を解り、説の如く修行せば、功徳はなはだ多し」とあります。
・「大無量寿経」には阿弥陀様の四十八願の第二十九願として、「得弁才智の願」があり、「たとひわれ仏 を得たらんに、国 中の菩薩、もし経 法 を受 読 し諷 誦 持 説 して、弁才智慧 を得ずは、正 覚 を取らじ。 (わたしが仏になった以上は、人々がお経を読誦したり、ひとびとに説き聞かせたりすれば、必ず自在の弁才智慧を得られるのだ。)」とあります。
・お大師様の「般若心経秘鍵」には「誦持講供すれば則ち苦を抜き楽を与え、修習思惟すれば則ち道を得、通を起こす。」とあります。(読誦すれば抜苦与楽し、意味を考えれば覚りを得、真理を体得できる。即ち現世利益も覚りもともにいただけるということです。)
・玄奘三蔵が印度への求法の旅の途中で悪鬼に襲われたとき般若心経を唱えて救われたとあります(大慈恩寺三蔵法師傳)
・「金剛般若経」には「さて、スブーティよ、女子にせよ、男子にせよ、朝のあいだにガンジス河の砂の数に等しい(自己の)身体を喜捨し、同様に、間にもガンガー河の砂の数に等しい身体を喜捨し、夕刻にもガンガー河の砂の数に等しい身体を喜捨するとしよう。このようにして、百・千のコーティ・ニユタという多くの劫のあいだ、身体を喜捨しつづけるとしよう。他方、この法門を聞いて、(それを)謗らないものがいるとしよう。(両者のうちで)後者こそが、そのことによって、より多くのはかりしれない無数の功徳を集積するであろう。まして(この法門を)書写して把握し、記憶し、読誦し、理解して、さらに他の人々にくわしく説明するものはいうまでもない。」とあります。
・理趣経にも「若し能く受持して日々に読誦し作意思惟せば、即ち現世において一切法平等の金剛の三摩地を証して、一切の法に於いて皆自在を得、無量の滴悦歓喜を受け、十六大菩薩生を以て如来と及び執金剛の位を獲得す。」「この般若理趣を聞いて日々の晨朝に或は誦しあるいは聞くものあらば彼、一切の安楽と悦意と大楽金剛不空三昧に究竟の悉地を得、・・」等とあります。
・宝亀4(773)年には疫病が蔓延したので「告示」が出されました。「それ摩訶般若といっぱ諸仏の母なり。天下これを念ずれば兵戈災害も国中におこらず、庶民これを念ずればすなわち疾疫霊癘鬼も家内に入らず。この善利によって・・よろしく天下に告ぐべし摩訶般若を念ぜよ。」(般若心経を念ずれば国には平和が訪れ、庶民は病気や不祥事から逃れることが出来る。般若心経を念じなさい。)というものです。その後疫病はたちまち止んだといいます。
・塙保己一は34才で『群書類従』の出版を決心した時、北野天満宮に『般若心経』100巻を千日間あげて完成を祈願しました。そして41年かけて見事、文政2年(1819)74才で『群書類従』全670冊を刊行しています。
・妙極堂教戒(浄厳)は「なぜに般若をもって法楽となすや、かの如来などはみな般若の威力によって生ずるが故に、諸天などはみな般若の威力によって生ずるがゆえに、般若を聞くときに往恩を報ぜんがための故にきたりて護持をなすなり。」といっています。佛菩薩神々みな般若心経によって法楽を得るので心経を唱えるところには必ず来てくださり助けてくださるということです。
・白隠禅師も「(観音経は)場所を選ばず、時節を嫌わず、馬上にても枕上にても、行住坐臥の間において、間断なく唯読み得るを貴しとする由」(辺鄙以知語)と説いています。
・白隠禅師の弟子である東嶺禅師も「看経論」の中で、読経の功徳として、「1、三昧を助く。 2、障礙を滅す。3、病患を除く。4、心願を満たす。5、諸天を歓ばす。6、幽魂を救う。7、見聞を益す。8、天地畜類を利す。」と言っておられるようです。
・読経は単に読むのでなく「我々の一念一念の中に未来際を尽くして説法を続けておられる佛の声を聞くこと」(玉城康四郎東大名誉教授)であります。
・「お経を唱える時、先ず下腹部の所に上に向かって蓮華が開いており、其の上に法螺貝があって、その口より朗々と声が湧き出て、それがそのまま喉を通り口から出てお経の声になると心に深く観じておとなえせよと言われています。随ってその声を聞いて仏様が歓喜してお受け取りくださると信じて唱えていただきたいのです。(三井英光「理趣経の講話」)」
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