福聚講

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昔の日本人は強かった

2018-08-20 | 法話
「昔の日本人は強かった」何年か前に来日したウルグアイのムヒカ前大統領のことばです。
逆に言うと,「いまの日本人は弱い」ということでしょう。

たしかにたとえば、16世紀にはフランシスコ・ザビエルが本国への報告でも「まず第1にいうべきことは、今までの交際によって知り得た限りにおいて、この国民は、私が出逢った民族の中で、最もすぐれている。‥‥日本人は一般的に良い素質を持ち、悪意がなく、交際して非常に感じが良い。彼らの名誉心は極めて強く、彼らにとって名誉にまさるものはない。日本人は概して貧しいが、武士も町人も貧乏を恥と考えている者はない。即ち金銀よりも名誉を尊重しているのである。・・日本人の交際には極めて多くの礼式がある。武器を尊び、武芸に達することを願っている。彼らは武士も平民も14歳になるとみな大小の刀を帯びている。彼らは侮辱や嘲笑に堪え忍ぶことは出来ない・・」等とのべており、古来日本人はお金よりも名誉が大切、と考えていた節があります。そしてそのさらに奥には、「武士道」で示されるように、名誉どころか命よりも大切なものがあると、考えていたのです。

ムヒカ氏はこれに対して、「最近では日本はこういう精神的バックボーンを失って、お金の事しか考えなくなって弱体化した」といいたいのでしょう。


しかし、東日本大震災では、わが身を顧みず、住民の避難誘導・救助にあたって殉職された方が消防関係262名、警察25名、自衛官2名にあわせて自治体職員、教職員、医療機関職員等で総計数百人以上(いや数千人かも)いるといわれています。こういう崇高な行為がつい最近でもとっさに澎湃とでてくる背景には、何千年にもわたって積み上げられてきた、「自分の命よりもたいせつなものがある」という日本人の精神的風土があると思われます。これはまさに利他行を説く菩薩思想そのものです。これがまさに仏教によって涵養されてきた「日本人の本来の強さ」であると思います。

ただ、明治の廃仏毀釈や拝金主義の蔓延が平成の次の世もこのまま續けばムヒカ氏の警告するように日本人の精神的基盤は崩れ去り「周辺国から侮られ續ける弱い日本」のままとなって取り返しのつかないことになるであろうと改めて感じさせられました。ふたたび緊張感を以て、日々精進しなければと思わされた次第です。
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