小学生の僕は世界の地理に興味があった。
図書館に通い、大きな世界地図の本を何回も見た。
たくさんの国やたくさんの地名に思いを馳せ、大学ノートに
国名や首都をできるだけたくさん書き込んだ。
図書館のある駅から私鉄電車に乗り北へむかい、4つ目の駅で降りた。
ここはまた別の私鉄が接続している駅だ。
駅を降りて裏側にまわってみると、知らないもう一つ別の支線があった。
小さな電車がビューゲルを下げて休んでいた。
いつ動くともわからない小さな電車。
発車時刻表を見ると何時間も先まで発車しない。
僕はその小さな電車の先に続く線路を歩き始めた。
家の裏側を通る線路はその先で空き地のような何も無い場所に出た。
しばらく空き地や畑の中を線路は続いていたが、数百メートルも歩くと、
突然、何も無い場所で行き止まりになっていた。
線路の先は古い枕木で通せんぼされていた。
土を盛っただけの子供でも作れるようなホームが左側に確かにあった。
ホームの少し先はあまり車の走っていない大きい道が横切り、
その道を渡ってすこし先には国鉄の古い木造の駅舎があった。
誰も居ない鄙びた駅だった。
ホームのベンチでずっと待っていると遠くからディーゼル機関車が牽く
茶色やくすんだブルーの長い編成の列車がやって来た。
僕はそれに乗って帰ってみることにした。
木やオイルの匂いのする誰も乗っていない列車はゆっくり、ゆっくりと
畑の中を走り始めた。
撮影 キャノネット(初代)、ネオパン
図書館に通い、大きな世界地図の本を何回も見た。
たくさんの国やたくさんの地名に思いを馳せ、大学ノートに
国名や首都をできるだけたくさん書き込んだ。
図書館のある駅から私鉄電車に乗り北へむかい、4つ目の駅で降りた。
ここはまた別の私鉄が接続している駅だ。
駅を降りて裏側にまわってみると、知らないもう一つ別の支線があった。
小さな電車がビューゲルを下げて休んでいた。
いつ動くともわからない小さな電車。
発車時刻表を見ると何時間も先まで発車しない。
僕はその小さな電車の先に続く線路を歩き始めた。
家の裏側を通る線路はその先で空き地のような何も無い場所に出た。
しばらく空き地や畑の中を線路は続いていたが、数百メートルも歩くと、
突然、何も無い場所で行き止まりになっていた。
線路の先は古い枕木で通せんぼされていた。
土を盛っただけの子供でも作れるようなホームが左側に確かにあった。
ホームの少し先はあまり車の走っていない大きい道が横切り、
その道を渡ってすこし先には国鉄の古い木造の駅舎があった。
誰も居ない鄙びた駅だった。
ホームのベンチでずっと待っていると遠くからディーゼル機関車が牽く
茶色やくすんだブルーの長い編成の列車がやって来た。
僕はそれに乗って帰ってみることにした。
木やオイルの匂いのする誰も乗っていない列車はゆっくり、ゆっくりと
畑の中を走り始めた。
撮影 キャノネット(初代)、ネオパン