(この写真の場合、運転手は時速5キロぐらいに落として続行し信号までに停車していた。
京王は現在、ATC化を行ったので外の信号機が消滅した。これは最後の信号機を撮ろうと思った写真。)
東急東横線の衝突事故は実はかなり衝撃的な事故だ。
深夜であったのと外出を控える人が多い大雪の日だったので、
衝突した5050系も衝突されたY500系(横浜高速所有)も乗客が非常に少なかった。
これが早い時間だったらと思うと、ゾッとするような事故だったろう。
入院した人は居なかったようなので、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
おまけに、乗入する東武や西武、メトロの車両でも無かった。
ぶつかったのは東急、停まっていたのは横浜高速鉄道所有だが、実質は丸投げ会社だ。
しかし、謎がまだまだ多い事故だ。
運転席の後ろに立っていたわけではないので、想像の域を出ないが、
ATCが正常に稼働していたので、車内信号は鳴りっぱなしだったのだろう。
600m手前で80km/h走行中から40km/hまでしか減速できなかったなんて、
余程の緊急事態だ。
最高速の110km/hでも600mあれば停止するのだから。
同じ日の夕方、同じ区間を通勤特急に乗車していた。
勿論、運転席の後ろだった。
かなりの雪だったが元住吉の通過線での速度は110km/hの最高速だった。
まだ、徐行の指令は出ていなかった。
あの雪で110km/hなんて、東急はすごいなと感心すらしていた。
意気地の無いJRはすぐに徐行や間引き、運休するのに、東急は滅多に停めない。
そういう意味で東急を大いに評価しているのだが、今回は想定外だったのだろう。
あの日の夕方時点で5分の遅れだった。
ただし、どこかの駅でオーバーランをして戻っていたので、ブレーキは効かなかったのは
明らかだ。
運転手には仕方が無かったとしか言えない。
結果論からすれば徐行をするべきだったと言えるが、客のために飛ばしてくれたのだから、
文句も言えない。
耐雪ブレーキのスイッチを入れたかどうか、視界はどうだったか、80km/hという速度はどうか、
きっちりと解明しないといけない。
毎日乗ってるしね。
しかし、最近の電車はある意味やりづらいだろう。
なんでも自動化されていて、運転手の力量の部分が減っている。
究極は目黒線・南北線・三田線や横浜市営、都営大江戸線などのATOだ。
運転手は座ってるだけでも運行可能である。
あまりに自動なので、夜間にマニュアル運転に切り替えたりしている。
もう一つは、前後にTc車を配置している編成のことだ。
最近の電車は先頭と最後尾はモーター無しの付随車(Tc)であることが多い。
これはもし衝突した場合、モーター無し電車だとコストが大幅に安いためもある。
JRは筆頭だ。モーター車はセンターに集中させている。将棋の矢倉囲いみたいなもんだ。
先頭車にモーター付きを配備する私鉄もある。
電車は押せば脱線しやすい。牽くものだ。
Nゲージやプラレールでバックさせるとすぐに脱線するので、判りやすい。
東急の5050系はモーター無しのTc車だから、運転席の後ろではちょっと寂しい。
モーター音がしないからだ。
京急が雨の日に派手に空転するとよく言われるのは、先頭車が必ずモーター車だからわかることだ。
(阪急も編成の両端にモーター付きを必ず配している思想。)
東急の運転席の後ろでは空転を経験できない。
運転手はあらゆる状況をモニターで見ている。
空転もわかるだろう。
でもずっとモニターを見てるわけではない。前方を見ていることがほとんどだ。
だから、空転してるとか、蛇行してるとかは体で感じないといけない。
それがやりにくい付随車はFFでもFRでもましてや四輪駆動でもないトレーラーでしかないのだ。
環境としてかわいそうに思える。
静かだけどね。
人間はお尻を押されるより、自分で引っ張るほうが気持ちがいいに違いない。
僕は欧米のプッシュプル方式なんて信じられないのだ。
あの機関車が後ろから押す方式で平気で160km/hとか出している。
信じ難いのだ。
そして、京浜東北線の233系が誤って侵入した工事用車両に突っ込んで脱線横転した。
あんな小さな工事用車両に負けている。
幸いにして回送だったし、乗務員の2名は軽傷だった。
工事用車両にATCが反応しないのはそもそもまずいよな。
信号をマニュアルで赤にしてから工事するという。
やはりTc車は軽量だから簡単に転覆しているし、ぺしゃんこだ。
特に京浜東北線の233系は大宮側(北行)の先頭2両は付随車(モーター無し)だ。簡単に脱線する。
乗客が居たら大変だ。
いや、乗客の重さで安定が取れていたかもしれないが。
工事業者は反論している。
JRに責任があるのか、調査は続く。
最近の鉄道はATC化などの恩恵か、基本動作ができていない気もする。
機械に任せっきりだ。信号も車内にあるので、前方の目視がおろそかになるか。
運転手は命を預かっていると思い、自分の目で耳で確認しないといけない。
いつか、京王の女性運転手が遅延時に停車して運転席の真ん中まできて前方を確認していた。
鉄橋の手前では電車を完全に停車することも行っていた。
遠くを目測で見ようとし、鉄橋からの転落も防ごうとしたのだろう。
そういう動作が必要だ。
人間は楽をしてはいけないのだ。