「我等の生涯の最良の年」、何となく恥ずかしくなってしまう様な仰々しいタイトルながら、戦勝国アメリカの復員兵3人のその後の人生を穏やかにまとめ上げている秀作映画。
1946年という戦後すぐにこの様な社会派ドラマが世の中に出るというのも米国の国力のなせる業、こんな国でもレッドパージがあったとは信じがたい。
(と言ってもつい最近の米大統領も'とんでも'だったが)
さてこの映画、最も高齢の軍曹が社会的地位の高い銀行員、一番階級の高い若い空軍大尉が元軽食スタンドの店員という対比の面白さや、過去にはあこがれた米国的ホームドラマでありほのぼのとしたラブストーリでありハッピーエンドであることも良い。
なおこの映画はアカデミー賞8部門を取っているらしい(さすがワイラー監督)、170分の長尺が気にならなかったのもそんな作品だからかもしれない。
でも、それほどの肩の張る大河ドラマと言う訳でも無い。
〔内容〕
アル(マーチ)は昔通り、銀行の要職に迎えられるが、今度は退役者相手の融資担当で色々と悩みも多い。フレッド(アンドリュース)は軍務の他ついたことがなく、再就職がなかなか困難で、出征前に結婚したばかりの妻(メイヨ)は家出してナイトクラブで働いていた。
若い水兵ホーマー(ラッセル)は戦傷で両腕を失くし、鉤のついた鉄の義手をはめて、恋人や周囲にコンプレックスを持つ。やがて、フレッドはアル夫妻(妻はM・ロイ)の娘(ライト)と恋仲になるが分かれて町を出る決心をする。
観たことのある役者はかすかにキャシー・オドネル(ベン・ハーの妹役)だけ、だからこそ先入観を持たずに観れた様な気がする。