高校卒業式の翌日親方の家に行った。
江戸時代の文献や巻物に登場する燃料商の末裔。
長男なのに勘当されて叔父たちの力で渋谷に近い大橋に店を構えた。
住み込みだったから親方の子達は今でもお兄ちゃんと呼んでくれる。
自分も東京の家族で親方夫婦は親とも思ってる。
不義理をしてるが親方のダイヤモンド婚式と米寿の祝いに呼んでもらった。
料理長も一緒に。
彼も魚野川に来て35年以上になる。
彼が一番目に発した言葉は社長ぼけたかだ。
おいおい、と思ってると親方がボケないよ、お前こそその腹はなんだ、垂れてるぞといつもの会話。
三連休の中日は厳しいと思う反面少しわくわく。
高速バスで行った。
東京は暑くなるとテレビで言ってたがこちらは涼しかったので長袖。
缶ビールでも飲みながらと言ったら、いきなり500缶。
朝からこれかいと言ったら彼も楽しみにしてたようだ。
ゆっくり寝ていこうと思って耳栓やアイマスクを持って行ったのにバスの旅を楽しんだ。
発車のアナウンスや音がけたたましい電車に比べて優雅なこと。
貧乏を棚に上げて豊かさを楽しんだ。
遅れると困るので余裕を持ったら1時間半も時間が余った。
神宮の森に近い店だから森で暑さをしのいでた。
新聞を敷いてのんびりやぶ蚊とデート。
路上ライブも楽しんだ。
席は親方の隣。
懐かしい説教。
前から言ってるけど美味い物をつくれ。
お前の味じゃないんだよと。
心にしみた。
親方に誓った。
今日からちょっとだけ心を入れ替えてちょっとだけ始めますと。
ヴァカやろうと続くお説教は心が濡れた。
久しぶりにうまい料理。
でも帰ってきてからインスタントラーメンとそうめんが夕飯。
キノコの酢の物が残ってたのでそれも。
台湾一周自転車の旅の応援も頼んだ。