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Mikuのブログ

国際貿易が政治問題化する理由~自由貿易と保護貿易の狭間で~

2012-11-01 10:18:19 | 政治・国防・外交・経済

[HRPニュースファイル443]国際貿易が政治問題化する理由〜自由貿易と保護貿易の狭間で〜

◇政治問題化しやすい国際貿易

今回は、政策の中でも最も扱いが難しい国際貿易を扱います。

政治家は、国内有権者の特定産業を保護する必要性から、関税や輸入割り当てなどの保護貿易に訴える誘因を持ちます。

例えば、日米間で繊維交渉から自動車、半導体に関する一連の通商交渉では、日本側の輸出攻勢からアメリカ国内産業を守るための様々な保護貿易が行われてきました。

保護貿易論は、19世紀のJ・ミルが提唱して以来、政府の関税や補助金などの貿易政策を正当化するために使われてきました。

下記に見るように、保護貿易は発展途上国の専売特許ではなく、先進国でも農業分野を中心に根付いています。

近年では、日本やドイツなどの貿易黒字国の輸出を意図的に減らすために為替の切り上げ(例:円高ドル安)を強要して貿易赤字国の輸入を促進する政策もとられました。

一方、戦略的貿易政策が悪用されるなど、保護主義には官僚や利害関係を持つ政治家たちを虜にする魔力を持っています。それ故に、政治問題化しやすいと言えましょう。

◇通商交渉はゲームのルール設定の場

そして、現在の日本ではTPP(環太平洋経済連携協定)が国論を二分するほどの議論が起こっています。

日本では、JAを筆頭とした農業保護が長年行われています。

JA以外には日本医師会が強固な反対論を唱えていますし、保守派の中にもさらなる「開国」は必要ないという意見もありますが、裏にはアメリカによる一極支配に対する恐怖と過度な誤解があるように思えます(実際、アメリカによる不条理な要求があるのは事実だが)。

実際は、必ずしもアメリカの一人勝ちとなっているわけではありません。

例えば、アメリカ政府が日本政府に要求した自動車の輸出自主規制を見てみましょう。

1981年、日米間では貿易摩擦の真っ最中。交渉は難航し、最後は日本政府がアメリカ政府の過度な保護主義を恐れて自動車販売の輸出自主規制をのみました。

輸出台数は当初168万台でしたが、1984年から1985年には法改正されて制限台数は185万台に増加。85年には合意は失効するはずでしたが、日本政府は輸出規制を継続する意思を示し、日本側は高品質の大型高級車の販売を伸ばしました。

その結果、アメリカにおける日本車の価格が上昇。皮肉にも、交渉ではアメリカが勝利しても、輸出自主規制の経済効果はアメリカにマイナス、日本側にプラスとなったのです。

輸出自主規制や輸入自主拡大政策にせよ、貿易政策には各国の官僚や政治家、関連業界の利害が絡む政治ゲームとなっています。

TPPは、そうした中で交わされる貿易と投資に関わるゲームのルールを設定する場です。

ルール設定には、参加各国間の同意が必要とされ、交渉期間は10年程度の猶予期間を設けています。よって、必ずしも一つの国が利益を全部かすめ取る(Winners take all)とはなりません。

◇通商交渉の真の狙いとは

TPPなどの各種通商交渉の真の狙いは、貿易と投資の自由化を通じて参加国の富を増やし、効率的な資源配分を促進するものです。

しかし、現実は政治ゲームです。その裏には貿易に対する誤解や偏見が蔓延しているのも事実です。

例えば、「国際競争力」という概念は広く通商交渉にも登場します。

既存産業が「中国やベトナムなどの低賃金国とはまともに戦えない」というような内容はよく耳にするでしょう。

実際、輸入品と競争している産業にとっては死活問題であるのは事実です。なぜなら、輸入が拡大すれば失業者を出し、場合によっては倒産に追い込まれるからです。

このように、国内においては勝者と敗者が生まれるのは事実ですが、国際貿易の原則は双方が勝つ取引です。いわゆるWin-Winの関係にあります。

輸出だけを重視するという考え方は、経済学の父と呼ばれたアダム・スミスが痛烈に批判した「重商主義」の考え方です。

輸出国は、支払いが輸入国から入り、輸入国は、国内で生産したら割高な製品やサービスを安く購入できるというメリットがあります。

要するに、輸出がプラスで輸入がマイナスではなく、自発的な交換の利益が双方にもたらされるからこそ、貿易は成り立っているのです。

◇方向性としては正しい

現実の世界は、経済学の教科書通りに自由貿易が最適ではいないかもしれません。

環境汚染などの「市場の失敗」や知財権が絡むと国際的な独占産業が生まれやすくなります。農業のような保護産業は補助金によって成り立っています。

ただし、認識しなければいけない点があります。

それは、保護主義は国民に負担を押し付けるだけではなく、一部の業界が国民の犠牲のもとに既得権益を温存させているということ。よって、TPPが進めている貿易の自由化や投資の促進を進めることで打破することができます。それ故に、方向性は正しいのです。

ノーベル経済学者のM・フリードマンが主張した『資本主義と自由』にも同様の内容が書かれていますが、それは「自由からの繁栄」を目指す幸福実現党の政策理念と一致するものです。

保護主義は形を変えた社会主義です。関税は増税であり、貿易制限は規制そのものだからです。

一方、貿易の自由化は減税や規制緩和と同様の効果をもたらし、経済成長を促進する一つのエンジンにもなるのです。 (文責・中野雄太)

 

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日銀、9年半ぶりの2ヶ月連続緩和も、妖しい本気度

2012-11-01 10:03:14 | 政治・国防・外交・経済

日銀、9年半ぶりの2カ月連続緩和も、怪しい本気度
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5087

日本銀行は30日、金融政策決定会合を開いて追加の金融緩和策を決めた。国債などを買い入れる基金を11兆円ほど増額し、91兆円程度にする。また、銀行の貸出し増加を促すための基金を新たに創設し、銀行が貸出しを増加した分に応じて無制限に資金供給をする。

日銀の金融緩和は9月に続いて2カ月連続。日銀にとっては、2カ月連続での追加緩和は9年半ぶりとなる異例の事態だ。
日銀が同日に公表した展望レポートでは、2014年度の消費者物価指数上昇率の見通しは0.8%と、日銀が目標とする1%に届いていない。それだけにもう一段の金融緩和が必要とされるわけだが、日銀の"本気度"はかなり怪しい。

その理由はまず、常に小出しに緩和するという"兵力の逐次投入"体質が相変わらずであること。
また、日銀の緩和策が実際は"骨抜き"になっていることも大きい。産経新聞の編集委員・田村秀男氏によると、日銀は「基金の枠内にある資産は増やすが、基金外の日銀資産は減らし、資産全体の増加を抑えるという、一種の帳簿操作」をしているという。
そして何よりも、白川方明・日銀総裁本人が「世界で日銀はまだやっていない金融政策はない」などと、打つべき手はすべて打ったとして、これ以上の努力を事実上放棄しているからだ。

実際、せっかくの緩和であるにもかかわらず、株式市場の反応はいま一つ。要するに、「期待外れ」だったわけだ。
日銀が"インフレ嫌い"であることは金融関係者にとっては公然の秘密だ。
今年1月に幸福の科学で収録した白川日銀総裁の守護霊インタビューでも、「『インフレ』っていう言葉を聞いただけで、じんましんが出る」などと述べている。
本音の部分でインフレを拒絶している以上、日本経済がどのような状態に陥ろうと、もっともらしい理屈をこねながら、"これが精いっぱいの金融緩和"と言い張り続けるだろう。
しかし、白川総裁の任期はあと半年。もはや新総裁に本気の金融緩和論者が就任することを祈るしかないのかもしれない。(村)

【関連記事】
2012年2月14日付本欄 日銀が物価上昇1%目指すと明示 だがその本気度は疑問?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3817

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福島は日本原発技術の高さの証明だ 原発輸出大国への道

2012-11-01 10:00:52 | 政治・国防・外交・経済

フクシマは日本原発の技術の高さの証明だ 原発輸出大国への道
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5086

日立製作所は30日、イギリスの原子力発電事業会社のホライズン・ニュークリア・パワーを6億7千万ポンド(約850億円)で買収すると発表した。

日立はホライズン社の計画を継いで、イギリスで130万キロワットの原発を4〜6基建設し、1基目を2020年代前半に稼働させる予定。日立が世界で唯一稼働実績を持つ第3世代の原子炉である、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を建設する見込み。

今年3月に、ホライズン社の株主であるドイツのRWEとイーオンが売却を発表した。RWEは欧州の経済危機により建設のための資金が集まりにくくなったことと、福島原発事故後にドイツが脱原発を表明したため、同社の収益が悪化したことを理由に挙げている。買収先には中国の国営企業も候補に上ったが、イギリス政府が警戒感を示し、日立に打診してきたという。

イギリス政府は原子力をエネルギー政策の中心に据えており、古い石炭火力発電所などを原発に置き換える計画を持っている。イギリスは現在、全発電量の約2割を原発で賄っており、老朽化した原発の建替需要も予想される。

福島第一原発事故の影響でドイツの脱原発表明など、世界の原発事業が後退しているかのような印象を受けるが、実際は今後も、中国やインド、中東、東欧など新興国を中心に需要は伸び続けるという。昨秋の国際原子力機関(IAEA)の予測によると、2030年に、世界の原発発電量は2011年実績の最大1.8倍になる見込みだ。

そんな中、世界最高の原発技術を誇る日本の3社のうち、日立は今回のイギリスのほか、リトアニアではほぼ受注が確定し、ポーランドでの受注も目指している。東芝は来年には中国で建設した原発が稼働するほか、今年から米国で新規建設に取り掛かかっており、そのほかトルコやベトナムでの受注活動を活発に行っている。また、三菱重工はヨルダンやフィンランドでの受注を目指している。

一方で中国やロシアは自国内に大きな需要をもち、強い原発推進の姿勢を示している。国内での原発の新設が滞っている日本は、海外に積極的に出て行かなければ、原発技術の主導権を他国に奪われる恐れもある。日本は「フクシマ」の原発被害が死者を一人も出していないことを内外にPRし、日本の原発技術が世界一であることの証明だと誇りをもって伝えるべきだ。(居)



【関連記事】
2012年10月27日付本欄 脱原発を進めるドイツで賦課金5割増 日本がとるべき道は「原発推進」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5071
2012年6月号記事 軽薄短小から重厚長大へ - 弱電の凋落で日本の製造業は沈むか - Newsダイジェスト
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4206

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