大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道236

2009-06-19 20:07:45 | E,霧の狐道
 龍平が俺に顔を近付けて言った。

「 それより、音がするで・・。」

耳を澄ますと、遠くから鞠をつく音が、田中爺のいびきの途切れ途切れの隙間に、小さく聞こえて来る。

“ てんてんてん、てんてんてん、てんてんてん。”

俺は龍平に言った。

「 来た・・・。」
「 そうらしいな・・。」

俺は由紀ちゃんのお守りを握り締めた。

「 ゴホン!」

山本爺が、咳を一つした。

「 山本爺、起きてるな。」
「 わいもそう思う。
 あの音、聞こえてるんやろか?」
「 おそらく・・。」

 山本爺の布団は大きく盛り上がっている。
布団を被って座っているのだろう。

“ う、ぐぐぐぐぐ、ぐっ!
 ・・・・・・・・・。”

田中爺のいびきが、突然、止んだ。
龍平が俺に訊いた。

「 死んだ?」
「 生きてるよ。」




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