大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道239

2009-06-28 19:26:55 | E,霧の狐道
その声に女の子はこちらをゆっくり見る。

“ ちょっと、ヤバイかな・・・。”

 俺と龍平は少し体を引いて低くした。
でも、女の子はすぐに首を回して、病室の扉の方に顔の向きを変える。
そして、そのまま扉に向かって、黒い影と半透明な山本爺を後ろに従え進んで行った。

“ 出て行きそうだな・・・。”

扉が“ギッ!”と言う音と共に開いた。
 スルスルと三人はそのまま扉から出て行く。
扉が閉まって、俺は龍平の方を向いて言った。

「 出て行ったな。」
「 今日のところは、そうやな。」
「 ホラ、黒い影がムクムクだろ。」

龍平は、少し震えながら俺に返した。

「 黒い影なんてもんやないで・・・。
 グチャグチャに潰れた男や・・・。」
「 えっ、俺には黒い影しか見えないけど・・・。」
「 あ~、強烈なものを見てしもた・・・。」
「 龍平には、そう見えるのか・・・。」

俺は龍平ほど鮮明に見えなくて良かったと正直思った。



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