大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道254

2009-09-09 19:10:04 | E,霧の狐道
「 後ろの山本さんは・・・・?」
「 そう、それで黒い影の後ろにいた山本さんなんやけど・・。
 柵の角まで行って、躊躇してる感じやったけど、結局、屋上の方に降りて来た
 わ。」
「 そうかァ。」
「 それで、山本さんは女の子と向かい合わせになって立ってたんやけど、あれ
 は、何かの相談かなァ~。
 声とか聞こえへんにゃけど・・・。
  それで、しばらくしてな、二人がフッとこっちを向いたんや。
 何か見られてる気配を感じたんやろか。
 わい、こっちに来るって思って、ビビッてな。
 クルッと向き変えたんや。
 一瞬で、女の子が瞬間移動して、ヒュッて目の前に現れたら怖いやろ。
 それで、スリッパ脱いで、急いで階段降りて逃げたがな。」
「 スリッパ?」
「 スリッパ、履いてたらパタパタって音するがな!」
「 なるほど、さすが、さすが。」
「 変なとこで感心するやっちゃな。」
「 で、追い掛けて来た?」
「 いや、来んかった。
 期待外れで、スマンのォ~。」
「 いや、それ程でも・・・。」
「 で、5階まで降りて階段の手摺からそ~っと上を覗いて様子を窺ってたけど、
 追い掛けて来てないようやなと思たんや。
  でも、もう一度、見に行くのは止めたわ。
 見たところで、どう対処していいのか分からんやろ。
 それで、貴志に知らせたろと思って、そのまま5階から4階に階段を降りようと
 したんやけどな、5階のフロアをクルッと回ったとき、エレベーターの階の表示
 が動いてるのが見えたんや。」






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