「 後ろの山本さんは・・・・?」
「 そう、それで黒い影の後ろにいた山本さんなんやけど・・。
柵の角まで行って、躊躇してる感じやったけど、結局、屋上の方に降りて来た
わ。」
「 そうかァ。」
「 それで、山本さんは女の子と向かい合わせになって立ってたんやけど、あれ
は、何かの相談かなァ~。
声とか聞こえへんにゃけど・・・。
それで、しばらくしてな、二人がフッとこっちを向いたんや。
何か見られてる気配を感じたんやろか。
わい、こっちに来るって思って、ビビッてな。
クルッと向き変えたんや。
一瞬で、女の子が瞬間移動して、ヒュッて目の前に現れたら怖いやろ。
それで、スリッパ脱いで、急いで階段降りて逃げたがな。」
「 スリッパ?」
「 スリッパ、履いてたらパタパタって音するがな!」
「 なるほど、さすが、さすが。」
「 変なとこで感心するやっちゃな。」
「 で、追い掛けて来た?」
「 いや、来んかった。
期待外れで、スマンのォ~。」
「 いや、それ程でも・・・。」
「 で、5階まで降りて階段の手摺からそ~っと上を覗いて様子を窺ってたけど、
追い掛けて来てないようやなと思たんや。
でも、もう一度、見に行くのは止めたわ。
見たところで、どう対処していいのか分からんやろ。
それで、貴志に知らせたろと思って、そのまま5階から4階に階段を降りようと
したんやけどな、5階のフロアをクルッと回ったとき、エレベーターの階の表示
が動いてるのが見えたんや。」
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