日々の恐怖 10月1日 夏休み
自宅近くの公園で友達と遊んでいたら何故か怪談になった。
その話の流れで、心霊屋敷へ行ってみようということで話がまとまった。
そこは、当時噂になっていたスポットだった。
まあ実際は、工事現場によくあるようなショボいプレハブ小屋だったらしいが、なんせ小学生だから、話に再現なく尾ひれがつき、その時点ではもはや呪怨ハウスばりの要注意物件と化していた。
この話を持ちかけてきたAによると、自転車で一時間ほどかかるとのことで、とりあえず一旦おのおの家に帰り、装備を整えてここに集合することになった。
ビビリの俺もさすがに探検隊気分だ。
ワクワクしながら自宅に戻る。
リュックにお菓子やら懐中電灯やら木刀やら詰め込んで、さあ行くぞと外へ出たんだが、何故か自転車が無い。
ついさっき玄関脇に止めて、ちゃんとカギも閉めたはずなのに無い。
これがもう、どんなに探しても無い。
母に言ったところ、
「 またカギ閉め忘れたんだろ。」
と大説教された。
母は、過去すでに二度自転車を盗まれていたオレの弁解など聞いてくれない。
結局、心霊屋敷探検は俺だけお流れになってしまった。
で、夕方。
自室で宿題やっていた(やらされていた)俺のところに母が血相変えて入ってきた。
「 お前の友達三人が、ダンプに轢かれて重体だよ!」
その晩、俺は不謹慎ながら、友人の心配より霊の祟りが恐ろしく、眠れない夜を過ごしたんだが、後で話聞いてみると、事故ったのはその屋敷に行く途中だった。
しかも、横断歩道のたびにチキンレースみたいなこと繰り返した挙げ句、最終的に皆して信号赤で飛び出して轢かれたらしい。
完全に自業自得。
三人とも意外に軽傷で、結局後遺症も無く一ヶ月ほどで完全回復した。
自転車が盗まれたことに関しては、母の、
「 ご先祖様が守ってくれたんだねえ・・・。」
という一言で納得したんだが、問題はここからだった。
同年の冬の朝、学校行こうと玄関のドア開けて外に出た途端、アタマに凄まじい衝撃を食らい気絶した。
親や警察によると、盗まれたはずの俺の自転車が、何故か真上から落ちてきたのだそうだ。
俺がぶつかった場所の真上と言ったら、二階建ての自宅の屋根の上しかない。
屋根の上を調べたそうだが、誰かが入った形跡は無し。
結局迷宮入りになってしまった。
このせいで首の骨をやった俺は、半年ほど入院するハメになった。
霊の祟りだとすれば、行かなかった俺が一番ヒドい目に合うのが納得いかないし、ご先祖様ならヒドすぎる。
今考えても、何がなんだか、ちっとも意味がわからない出来事だった。
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