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日々の恐怖 10月15日 運送業

2013-10-15 18:09:07 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 10月15日 運送業



 私は長距離トラックドライバーの仕事をしています。
大体関西から関東、東北へと仕事へ行っています。
 約3年ぐらい前に栃木まで荷物を運び、帰りは埼玉のとある工場から関西へ運ぶ仕事がありました。
大体埼玉の工場で積み込みが終わるのが20時くらいで、そこから関越~上信越~中央道~名神のルートを通っていました。
 金曜日の日だったと思うのですがいつものように埼玉で積み込みをし、その荷物が月曜日に卸す荷物だったので高速でゆっくり帰っていました。
 途中のパーキングで同僚と会い、そこから2台連なって走っていました。
上信越はいつもながら車が少ないですがその日は特に少なく、私たち以外はほとんど走っている車はありませんでした。
 上信越にある長いトンネルに差し掛かりました。
ここのトンネルは結構長いので、いつも通るときに少し息苦しい感じがします。
 出口付近に差し掛かった時、前を走っている同僚が急に障害物を避けるような動きをして車線変更しました。
車間をあけていたとはいえ、私もびっくりして慌てて車線変更しました。
しかし、障害物などなく故障車などもありませんでした。
 すぐに同僚から電話がかかってきました。

「 おい、今人が3人ぐらい歩いていなかったか?」
「 いや、なにもなかったよ、疲れてんじゃないの?」
「 いや、確かに歩いてるように見えたんだけど、見間違いかなぁ。」

 とりあえずパーキングに入ってあーだこうだ話をしましたが、そいつのトラックに何かぶつかった跡もなく、多分疲れててトンネルの光の具合で人がいるように見えたんじゃないのってことになり、二人とも疲れていたのでそのパーキングで仮眠することになりました。
 同僚の車は寝るスペースが運転席の後ろにある普通のタイプのトラックなんですが、私のトラックはキャンピングカーの上に寝るスペースがあるタイプで、上の寝るスペースには緊急時の脱出用にサンルーフがついていて、私はカバーをはずして星空を見ながら横になりぼーっとしてました。
 少し眠くなりかけたぐらいでしょうか。
外でなにやら数人の人が話す声が聞こえました。

「 このトラックか・・・いや・・・どうだろ・・・・。」

私は一瞬で目が覚めて外の声に耳を傾けていました。
 警察でも来て何か調べてるのかな?と思ってふとサンルーフに目をやると、なんと少女らしき女がこちらを覗いてるではありませんか。
急な出来事に、私は硬直状態になり声を出すこともできませんでした。

「 違うよ~。」

と言ったように思うのですが、とにかく声が聞こえ少女はサンルーフから姿を消しました。
 気を取り直した私は、慌ててサンルーフを外して屋根を見渡しましたが誰もいませんでした。
一瞬夢か?と思いましたが、サンルーフには手形らしき跡が残っています。
怖くなり、慌てて外に出ると同僚が何か脅えた様子で外にいました。

「 今、車の中に誰か数人入ってきて、この人じゃないって言って、消えていった。」

私も今起きた状況を説明し私たち二人は慌ててそのパーキングを出発し、帰りもなるべく携帯で話をしながら会社まで戻りました。
 会社に帰るとベテランの同僚がいて話をするとその人は、

「 ああ、多分昔の事故のやつだよ。」

と、昔あの場所で起きたことを教えてくれました。
 昔あのトンネル付近で乗用車とトラックが絡む事故があって、乗用車に乗ってた家族3人が亡くなってしまったらしい。
事故原因はトラックの運転手の言い分が通って乗用車の運転ミスということになり、その運転手はお咎めなしになったらしい。
実際のところ事故原因は分からないが、多分あの場所で自分たちを殺したトラックを探してたんだと思うとのこと。
 私はこれまで霊とかその類の話は信じないほうでしたが、まさか自分が体験するとは思いませんでした。
サンルーフについた手形を会社の連中にみせたらみんなびびってしまい、社長が祈祷師かなんかに私のトラックをお祓いしてもらいました。
現在も上信越のその場所は通りますが、あれ以来見たことはありません。












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