日々の恐怖 10月7日 タヌキ(2)
姉貴が買い替えたのかなと思ったんだが、晩飯の時ニコニコして報告した。
自転車屋で修理してもらおうと店員に見てもらっていたんだが、結構修理代がかかるらしい。
新車か修理かという深刻な悩みの最中に、お婆さんが自転車を押してやって来た。
店員との話を聞いていると、自転車の処分をお願いしている。
最近弱ってきたので、高齢者専用住宅に入居する事になったらしい。
自転車に乗るのも危なくなってきたので、持って行っても乗らないとの事だった。
店員は、
「 中古の販売はやらないので、処分料2,500円をもらえれば処分します。」
と言っている。
姉貴は喜んで、
「 私がもらっても良いですか?」
とお婆さんにお願いし、自分の自転車を処分して帰ってきたのだという。
転んだけどケガしなかった、なんて事はしょっちゅうある。
ちょっとした事で妙に運が良い。
それが、先週の土曜日に、その理由がわかったような気がした。
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