日々の恐怖 ワイの話2 アパート
ワイが現場仕事に初めて就いた時のことや。
ワイの初仕事はアパートの解体現場やったんやけど、そこのアパートがクッソ古くて家の中とかボロボロやった。
天井も床も全部剥がして家取り壊すんやけど、ワイが剥がした天井から髪の毛を白い糸みたいなんで束ねたもんが3束くらい落ちてきた。
“ 気持ち悪いなぁ・・・。”
とは思いつつ、仕事をほっぽりだすわけにもいかんから、その部屋のバラしをバタバタ終わらせた。
初めて家をバラすやつができるスピードじゃないって先輩に言われたくらい急いでバラしたんやけど、まぁバラし終わったらやることなくなる。
その日の部屋割りがワイは一部屋しかなかったから、適当にアパート裏のゴミ置場で木っ端拾いとかしとった。
そこのゴミ捨て場がかなり変わってて、ゴミ捨て場が各部屋ごとに分けられてた。
そんでワイがバラしてた402号室のゴミ捨て場の前通ったんやけど、猫の白骨死体やら日本人形やらあって、そこだけ異質な雰囲気やった。
元々心霊的なあれが苦手なワイは、さっきの髪束のこともあってすぐにそこを離れた。
アパートの裏から走って表側にある休憩所に行ったんやけど、休憩所に着いた瞬間、後ろで地響きみたいな音が聞こえた。
隣に現場監督とかワイの先輩がおったんやけど、その人らがめちゃくちゃ焦ってて、
「 どうしたんすか?」
て聞いたら足場が倒れた音やったみたいなんや。
“ あー、たしかに鉄がぶつかる音も聞こえとったな・・・・。”
とか考えながら、その人らと一緒に足場のとこ見に行ったんやけど、アパートの裏で組んだ足場が倒れとった。
しかも402号の縦並び1列の足場だけが、きれいにゴミ捨て場に向かって倒れとった。
下手したら、ワイは現場初日で死んどったわ。
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