この映画は、
ハンガリーは、ブダペストの、イルディコー・エニェディ(Ildikó Enyedi)(監督・脚本家)と言う、
女性の華麗なるデビュー作で、
4Kレストア版として、2019年、リバイバル上映された作品~
この作品は、1989年に、
カンヌ国際映画祭で、カメラドール(新人監督賞)を受賞した、
デビュー作にし、世界的に注目を浴びたものだそう~
20世紀末に、
19世紀から20世紀を迎える当時を舞台に映画を製作し、
21世紀に、再び美しい映像として、再公開。
久しぶりに、モノクロの映画を見たが、
美しい女優さんが、1人で美しいままを生かし、三役をこなし、
それが、それぞれの役柄において、美しさで人々を魅了し、
そして、女性の作品ならではかもしれないと思うような、
夜空や動物達を何気に登場させ、
ちょっとファンタジックな雰囲気で、全体を柔らかく包み込んでくれている。
内容は、新しい世紀に突入する瞬間の当時の雰囲気、
双子の主人公達とある魅力ある男性との、つかの間の恋愛劇~を、
様々な事の対比を表現し、
素敵に描いている物語でした~
双子(リリとドーラ)の主人公と、その若く美しい母親を演じるのは、
ドロタ・セグタ。
そのままの美しさを生かし、それぞれの雰囲気を、わかりやすく演じていたと思った。
以前、サスペリアのリメイク版を記事にした事がありますが、
この時は、ティルダ・スウィントンが、
名振付師であるマダム・ブラン(勿論女性)と、
年老いた心理療法士・クランペラー氏(男性)、
バレエ団の創設者とされる不気味なあの女性、
・・・と言う、全く異なる、
キャラクターを演じたと言う事で、
とてもキャラクター作りのメイク他、大がかりだったよう~。
・・・話それました~(苦笑)
20世紀の幕開け・・・、遠い昔のような~、
人類にとっては、近い過去のような感じですが、
19世紀後半は、エジソンが、
電球や発電機、映写機を発明した時期で、
これらと平行に、物語は、進行して行き、
その発明が、人々に、どのような新しく素晴らしいものをもたらしたか、
20世紀への華麗なる幕開けと、それらを重ねている感じだった。
暮らしが、その発明により、少しずつ便利で豊かさをもたらす中、
女性達の考え方も、変化して行ったのであろうな~と、
清々しく、美しく、可愛らしい~、女性の作品らしい、ENDだった~
物語は、
1880年、アメリカ、メンローパークにある、エジソン研究所で、
白熱電球のお披露目で、人々が沸き立っているシーンから、始まる。
白黒ゆえ、その光と影の表現が、幻想的かつ、人々の期待の高まりを感じ、
初っ端から、素敵な雰囲気を醸し出していた。
夜に、明るさを放っていた。
(今では当たり前の事だが、当時は、すごい事だったと想像する。)
同時期、
ハンガリー、ブダペストで、
庶民のご家庭でしょう~、
双子の姉妹が誕生する。
美しい母の子供達。
二人は、リリと、ドーラと名付けられる。
その後、二人は、孤児となってしまう。
暗く寒い冬の街の路上で、
マッチ売りの少女達・・・であった。
今では、童話でしか聞かないですが、
当時は、本当にあったのでしょうか~、
マッチ売りをしていた~。
そして、2人は、クリスマス・イヴの夜に、
それぞれ別々の男性に、引き取られて行った。
時は流れ、1900年の大晦日に、シーンは、移る。
成長した双子達は、
それぞれ・・・、
華麗なる詐欺師(ドーラ)と、
気弱な革命家(リリ)になっていた。
本来持ち合わせたものは、似た者同士だと思うが、
全く違う人物像になっていた。
やはり、それぞれの育った環境の影響があったのでしょうか~。
そして、二人は、偶然同じ、オリエント急行(←レトロ感、雰囲気ある)乗り合わせる。
ドーラは、美しく着飾り、食堂車で、豪華な食事、それなりの男性達との時間を楽しみ、
リリは、満員の車両で、革命の同志から渡された伝書鳩(←時代を感じる)を抱え、不安な時間を過ごす。
そして、それぞれ、ブダペストで降りる。
そして、世界中を飛び回る、謎のダンディな男性に、双子のそれぞれが、別々のシーンで、出会ってしまう。
男性に対する接し方や考え方の違いも、出会った場所やそれぞれの様子で、とてもわかりやすい違いがあった。
リリは、図書館で、男性と目があってしまい、男性慣れしていない初心な彼女は、それだけで、男性に惹かれる自分がいた。
男性もそれに何か感じ、帰り道、ぎこちなく、一緒に歩く。そして、流れで、動物園デートをする。
ドーラは、この男性と、豪華客船で、出会う。
慣れた感じで、男性を見つめ、男性もそれに答えるかのように、部屋を教える。
そして、男性に目をつけたドーラは、男性を一夜の遊び相手として楽しむ。
そんな2人を、男性は、何かが?なんだけれど、同一人物と思い、
恋をしてしまう。
そして・・・。
女性と男性・・・においても、考えさせられました~。
印象に強く残っている事の1つに、
今の世の中であったら、
大勢の女性に向けての講義で、大炎上しそうな発言をしている哲学者?である男性がいて、そのシーン、インパクトあり。
”女性は、母か娼婦かどちらかである”なんて今なら大変な問題発言を、当時の設定で、堂々と語るシーンが、強烈に印象に残っています~。
(映画の中でも、発言にざわつきと罵声も飛び、怒って出て行く女性もいた)
発明による、人工の光が、夜のない世界を生み出し、
科学が、魔法のように感じられた時代の、不思議な世界感が、素敵に感じられました~
・・・と同時に、その後世の中が、電気技術の躍進により、発展して行くだろう明るい期待感も感じられた~
そして、女性の生き方や考え方に、良い意味の変化が見えて来た・・・そんな事も感じられた~
人生100年時代と言われる、今世紀日本~
そして、
世界規模で、急激に変化している世の中を、
昔にも目を向けつつ~、
考えるプチな機会にも、なりました~
イルディコー・エニェディの最近の作品としては、
2017年に「心と体と」で、
ベルリン国際映画祭 金熊賞(最高賞)受賞等の功績がある。
「私の20世紀」から、時を経て、
又どんな素敵な作品なのだろう~と感じたので、
又、こちらも観る機会があったらな~と思いました~