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2019年度日本学士院賞に藤田氏ら9人に、藤田氏は恩賜賞も受賞 

2019-03-14 | 学問
 日本学士院は、優れた業績を上げた研究者に贈る日本学士院賞に、液体に溶けた化学物質を結晶化させずにエックス線で構造解析をする技術を開発し、創薬研究に大きく貢献した東京大の藤田誠教授ら9人を選んだと発表した(3月12日)。藤田氏には恩賜賞も贈る。
 受賞者と授賞理由(敬称略)
 日本学士院賞・恩賜賞
 藤田誠:61歳。東京大教授、有機化学・錯体化学。結晶スポンジ法という、化学物質の結晶化が不要なエックス線構造解析手法を開発。
 日本学士院賞
 山崎志郎:61歳。大妻女子大教授、日本経済史。戦時統制資料を分析し、戦時日本経済の全体像を解明。
 平間正博:71歳。東北大名誉教授、天然物合成化学。魚介類を食べることで起きる食中毒シガテラについて、毒素の合成を達成、中毒治療への道を開く。
 常田佐久:64歳。国立天文台長、天文学。太陽観測衛星「ようこう」「ひので」の開発や運用を主導。
 永嶺謙忠:77歳。高エネルギー加速器研究機構名誉教授、原子核素粒子物理学・物質生命地球科学。巨大な物体の内部構造を探る手法を開発するなど、ミュー粒子による学際的科学を発展させた。
 藤野陽三:69歳。横浜国立大上席特別教授、土木工学。橋などの長大な構造物が揺れる原因を解明、振動対策につなげた。
 磯貝明:64歳。東京大教授、生物材料科学。植物に由来する新素材「セルロースナノファイバー」の製造方法を開発。
 長沢丘司:57歳。大阪大教授、免疫学・血液学・幹細胞生物学。骨髄で造血幹細胞が維持される仕組みを明らかにし、血液細胞や骨が作られる過程の解明に貢献。
 高柳広:53歳。東京大教授、免疫学。骨と免疫の相互作用に着目して新しい学問を開拓、骨粗しょう症やがんの骨転移などの治療法開発に貢献。

 藤田誠氏の授賞理由
 結晶スポンジ法(Crystalline Sponge method: 以下、CS法)と呼ぶ「結晶化を必要としないX線構造解析手法」を創出した。
 CS法は、結晶スポンジ、すなわち細孔性の金属錯体単結晶に、対象試料を溶液状態から吸蔵させ、錯体の細孔を鋳型として吸蔵試料化合物の周期配列を作り出し、そのX線結晶構造を観察する技術。X線構造解析において、これまで多大な時間と労力を必要としてきた「試料の結晶化」の工程を省くことができる画期的な技術である。この手法は汎用性が高く、分子が関与する様々な研究の現場で活用されている。とりわけ、測定に必要な試料の量をマイクログラムの大きさに下げることができるため、微少量成分の構造決定を行う天然物化学や、微量活性成分や不純物の構造決定を必要とする製薬企業の創薬研究において大きな威力を発揮している。この技術の誕生の背景には、藤田氏が過去四半世紀かけて積み上げた「配位結合駆動の自己組織化物質創製」の基礎的な研究基盤がある。
 ◆用語
 X線構造解析
 物質の結晶にX線(極めて波長に短い光の一種)を通過させると、X線の散乱(回折と呼ばれる)が起こり、散乱像(回折像)が得られる。この散乱像をコンピュータで解析し、結晶を構成していた分子の3次元構造を精密に求める構造解析技術。分子構造を決定する最も有力な方法。
 結晶スポンジ
 金属イオンと有機分子からつくられる分子サイズの細孔を有する物質。有機化合物を溶液状態からスポンジのように吸い上げる性質を有する。
 単結晶
 原子や分子の規則正しく周期的な配列で構成された固体を結晶と呼ぶが、1個の結晶内のどの部分においても原子配列の向きがまったく同一であるものを単結晶という。
 吸蔵
 固体が気体や液体を吸収して内部に保有する現象。
 X線結晶構造
 X線構造解析により得られる分子や物質の3次元構造。
 配位結合
 ここでは狭義で、遷移金属元素と有機元素(窒素原子や酸素原子)の間でつくられる化学結合をさす。
 自己組織化
 物質が、自発的に構造的な秩序を形成する仕組み。

マンモスの化石から細胞の核を採取し、マウスの卵子内で再生に成功

2019-03-13 | 生物
 近畿大の山縣一夫准教授・宮本圭講師らの研究チームは、2010年にシベリアの永久凍土からほぼ完全な状態で見つかったマンモス「Yuka:ユカ」から、筋肉や骨髄の組織を採取し、マウスの卵子内で再生することに成功したと発表した(3月11日)。成果は同日の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に発表した。
 2010年に発掘されたのは雌のマンモスの化石で、発見場所の地名にちなんで「Yuka:ユカ」と名付けられた。推定6歳ぐらいの子供で、大きさは約3.5m程。約2万8千年前に死に、ロシア極東・サハ共和国の永久凍土で、ほぼ完全な形を保ち、皮膚・筋肉・骨・毛などが残存した状態で発掘された。
 チームは、マンモスの化石の骨髄や筋肉組織からDNAが含まれる細胞核を43個抽出し、マウスの卵子に注入。うち5個でマンモスの細胞核がマウスのヒストン(DNAが巻き付くたんぱく質)を取り込んで、紡錘体を形成した。新たな細胞核のような構造を作ったものも1個あったが、それ以上の変化(細胞分裂)は見られなかった。DNAの損傷が激しく、分裂が止まった可能性があるという。
 研究は近畿大が取り組む「マンモス復活プロジェクト」の一環。マンモスの細胞核を象の卵子に移植し、マンモスの遺伝子を持つ受精卵を作製。象の子宮に移植してマンモスを誕生させる目標を掲げていた。
 チームの黒坂哲・近大講師(発生生物学)は「より保存状態の良いマンモスの発見を期待したい」と話している。

 今日の天気は晴れ。小雨が時々パラパラと降る。最高気温が12℃とあるが、風が穏やかなので春らしい気候だ。
 畑に行ったら、黄色の花、”キバナサフラン”と呼ばれる”クロッカス”が咲いている。花被片が6枚、雄しべが3本、中央の雌しべは柱頭が糸状に3つに分かれている。因みに、色々な花色を植えたが生き残ったのは黄色い花のみ、黄花品種は強いのかな。
 ”クロッカス”は、アヤメ科クロッカス属の総称で、世界に75種程ある。園芸上、春咲き種をクロッカス、秋咲き種をサフランと呼ぶのが一般的のようだ。”サフラン”を秋咲きクロッカスと呼ぶこともある。
 お花の近くに、”シャクヤク”の芽が見えた。昨年より芽の数が多く、楽しみ!。
 キバナサフラン(英: crocus)
 学名:Crocus vernus
 アヤメ科サフラン属
 開花時期は2月~4月
 色々な花色の品種がある、黄・白・青・紫・藤など
 葉は細長く、真中に白い筋が入っている


磁力が微弱でも磁気を保持する力が強いナノ薄膜磁石を開発

2019-03-11 | 科学・技術
 東北大学材料科学高等研究所(AIMR)の鈴木和也助教と水上成美教授は、新しいナノ薄膜磁石の開発に成功した(2018年12月7日発表)。本研究は、木村尚次郎准教授(東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センター)ならびに久保田均総括研究主幹(産業技術総合研究所スピントロニクス研究センター)との共同研究で行われたものである。
 人工知能技術や量子技術の開発によって、人の扱うデータ量は今後も爆発的に増大することが予想される。膨大なデータを有効に利用するさまざまな技術の開発は、持続的な社会の発展のために極めて重要な課題といえる。データを保存するメモリーの開発もその課題の1つである。
 メモリー技術が研究開発される中で、期待されているのが、物質の磁気を利用した磁気抵抗ランダムアクセスメモリー(MRAM)である。このメモリー技術では、磁石としての性質を示す導体と絶縁体からなるトンネル磁気抵抗(TMR)素子を用いる。素子を構成する薄膜磁石の磁気(磁極の向き)に1ビット情報を割り当て、磁極の向きを電気信号として読み出す、あるいは電気信号で磁極の向きを反転することで、ビット情報の書き込みを行う。永久磁石に見られるように、磁石はその磁気を保持する力を持つため、素子の保持するビット情報は電源を切っても失われない、いわゆる不揮発性を示すことから、システム全体の消費電力が低減できる。また、磁極の向きの反転は電子レベルで行われ原子移動が伴わないため、高速の情報書き込みに加え長寿命が期待されていることが、原子移動を基礎原理とする他の不揮発性メモリーと大きく異なるところである。
 さらなる研究開発の方向性として超高集積MRAMの開発が挙げられる。その技術的な課題の1つが、MRAMの情報記録の源である薄膜磁石の磁力の低減である。高集積化が進むと、ナノ薄膜磁石の発する磁力によって素子同士に干渉が起き、誤動作することが予想される。これは、磁石を用いるというMRAMのデバイスコンセプトに直結する本質的な課題ともいえる。現行のSTT-MRAMでは鉄を主成分とする材料が用いられており、その強い磁力を抑えるさまざまな工夫が研究されている。他方、これまで当研究グループでは、磁石としての性質を示しつつも強い磁力を発しない金属元素であるマンガンを成分とする材料の研究を進め、その優れた特性を実証するとともに、ナノ結晶薄膜を有する素子の開発にも成功した。
 本研究では、数原子層の純マンガンを規則合金(常磁性体)下地の上に真空スパッタリング法によって堆積し、酸化マグネシウムで挟み込んだ素子構造を作製した。この界面に挟み込まれたマンガン層は微弱な磁気を発するナノ薄膜磁石へと変化し、その磁気の強さは強磁性体である鉄の約1/70となることが分かった。これは、マンガンが界面に挟み込まれることでフェリ磁性体に変化したことに起因すると考えられる。磁気が微弱であるにも関わらず、その素子は明瞭なTRM効果を室温で発現することが明らかとなった。また、マンガンナノ薄膜磁石の磁気を保持する力(垂直磁気異方性)は磁場に換算すると19テスラを超えるほどに大きいこと、またその磁気を保持する力が素子に電圧を加えることで制御できることを見いだした。この電圧印加による垂直磁気異方性の変調効果は、鉄などの強い磁気を示す物質で観測されこれまで多くの研究報告があるが、磁気をほとんど示さないマンガン金属単体で観測された例はなかった。
 今回の研究成果は、本来磁気を示さない金属元素を用いてメモリー用のナノ薄膜磁石を創出するという新しい材料設計コンセプトを実証したものである。従って本研究は、これからのメモリー用の材料開発手法に新しい視点を与えると同時に、材料科学的観点からも意義のあるものといえる。
 ◆用語
 〇磁気抵抗ランダムアクセスメモリー(MRAM)、STT-MRAM
 磁気抵抗素子を1ビット記憶素子とする不揮発性メモリーの総称である。
 情報の読み出しは磁気抵抗効果を用い、現在開発されているほとんどのMRAMでは、磁気抵抗の変化の大きなトンネル磁気抵抗(TMR)素子が用いられる。素子をセル選択用の半導体トランジスタとナノスケールで統合することで、1ビットメモリーセルとして機能する。さらに半導体技術によって膨大な数のメモリーセルを集積することで、メモリーデバイスとして機能する。
 情報の書き込み方式として、古くは磁場書き込み、最近ではスピントランスファートルク(STT)書き込みが用いられている。さらに最先端の書き込み方式としてスピン軌道トルク(SOT)書き込みがあり、書き込み方式SOT-MRAMなどと呼ばれる。
 これらの書き込み方式では電気信号のうちの電流をその駆動原理として用いる。電圧書き込みと呼ばれる書き込みでは、電気信号のうち電圧を用いるため、書き込みに要するエネルギーをさらに低減できる可能性があるため、電圧書き込みMRAMの基礎技術開発が進んでいる。
 〇トンネル磁気抵抗(TMR)素子
 磁石の性質を有する導体薄膜で絶縁体薄膜を挟み込んだ積層型の素子で、各層は数ナノメートル程度の厚みである。絶縁体の上下の導体に電圧を加えると量子力学的トンネル効果により電流が流れる。上下の2つの磁石の磁化(磁極の向き)が平行な場合と反平行な場合で素子の電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗(TMR)効果を発現するため、TMR素子と呼ばれる。
 〇不揮発性メモリー
 デジタルビット情報を記憶した状態を保つためにエネルギーを消費しないメモリーを指す。MRAMの他に、抵抗変化メモリー(ReRAM)、相変化メモリー(PRAM)、強誘電体メモリー(FeRAM)などがある。ReRAM、PRAM、FeRAMでは、記憶するビット情報が変化する際に、物質中の原子移動が伴うところがMRAMと大きく異なる。
 〇強磁性体、反強磁性体、常磁性体、フェリ磁性体
 磁気の源であるスピンが物質の中で平行に配列しているものが強磁性体であり、一般的には強い磁気を示すことが知られている。スピンが反平行に配列している物質を反強磁性体と呼び、スピンの配列がランダムに熱振動している物質は常磁性体と呼ばれ、これらは磁気を有することはない。フェリ磁性体とは、異なる大きさのスピンが反平行に配列している状態で、微弱な磁気を示すものである。
 〇垂直磁気異方性
 薄膜状の磁石の磁化(磁極の向き)を薄膜面から垂直に向け、その磁気を保持する力。この特性によって膜の面に磁極が現れているものを垂直磁化膜といい、垂直磁気異方性が強い材料ほどこの状態が安定になる。垂直磁気異方性の大きさは、エネルギー密度(単位:J/m3)あるいは磁場の大きさ(単位:T)で表現され、これらは磁気の強さ(単位:A/m)を用いると、磁場の大きさ=2Xエネルギー密度/磁気の強さ、の関係にある。
 〇電圧印加による垂直磁気異方性の変調
 垂直磁気異方性が電気(電圧)によって変化する現象。例えば、厚さが数原子層程度の鉄と絶縁体を積層したコンデンサー構造に電圧を加えることでその現象が観測されることが知られており、非常に多くの研究がこれまで報告されている。この現象を応用し、電圧によって磁極の向きを反転できることもすでに実証されており、電圧書き込み型MRAMの重要な要素技術である。

 今日の天気は、朝から雨。
 東日本大震災から8年となりました。
 全国各地から沢山の支援をいただきました。ありがとうございます。
 東日本大震災は、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害およびこれに伴う福島第一原子力発電所事故による災害である。大規模な地震災害であることから大震災と呼称される。
 この地震により、場所によっては波高10m以上、最大遡上高40.1mにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害が発生した。また、巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種インフラが寸断された。
 2018年(平成30年)9月10日時点で、震災による死者・行方不明者は1万8,432人、建築物の全壊・半壊は合わせて40万2,704戸] が公式に確認されている。震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上、停電世帯は800万戸以上、断水世帯は180万戸以上 等の数値が報告されている。復興庁によると、2018年2月13日時点の避難者等の数は約7万3,000人となっており、避難が長期化していることが特徴的である。
 津波による浸水面積 - 561km2
 津波被害農地 - 2万1,476ha(宮城14,341、福島5,462、岩手725等)
 漁船被害 - 2万8,612隻
 漁港被害 - 319港
 日本政府は震災による直接的な被害額を16兆円から25兆円と試算している。この額は、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県の県内総生産の合計に匹敵する(阪神・淡路大震災では兵庫県1県の県内総生産の半分ほどであった)。世界銀行の推計では、自然災害による経済損失額としては史上1位としている。

ナノワイヤを用いて微生物を目視による色の変化で特定

2019-03-10 | 科学・技術
 名古屋大学馬場嘉信教授、安井隆雄准教授らの研究グループは、九州大学柳田剛教授、大阪大学川合知二特任教授との共同研究で、「微生物を簡単に破砕し、微生物の種類を特定する技術」を新たに発見した(2月14日発表)。
 微生物は細胞壁を持っているため、動物細胞に比べて外部からの刺激に対する抵抗力が大きい。微生物内部のDNAを調べて微生物の種類の特定は可能であるが、効率的かつ簡単に微生物を破砕する技術がないために、特定には専門家が特殊な薬剤を用いる必要があった。
 本研究では、ナノスケールの棒(酸化スズのナノワイヤ)を用いて、微生物を簡単・効率的に破砕する新しい技術を構築した。このナノワイヤで破砕可能な微生物は、大腸菌や枯草菌だけでなく、酵母にも適用可能である。さらに、ナノワイヤで破砕した微生物内部のDNAを調べる機構と組み合わせることで、目視による色の変化で微生物を特定できる技術も開発した。
 成果の意義
 微生物が含まれる溶液を採取し、検査薬を混ぜた後にポンプにセットしてスイッチを入れるだけで、O-157のような菌の有無を、家庭などでも検査することが可能となると考えられる。
 本技術の活用によって、危険な微生物の水際での簡易検出が可能になり、本技術を用いた微生物の特定法、微生物由来の感染症の予防にもつながると期待される。
 ◆用語解説
 〇ナノワイヤ
 数10~100ナノメートルの大きさから構成される一次元の棒状ナノ構造体。
 1ナノメートルとは、長さを表す単位で、1メートルの10億分の1を表す単位のこと。
  1m=10^9nm
 〇大腸菌
 環境中に存在する細菌(バクテリア)の主要な種の1つ。
 本検出で大腸菌(200個)を検出、大腸菌があると溶剤がオレンジから緑に変色する。
 〇枯草菌
 土壌や植物に普遍的に存在する細菌(バクテリア)の種の1つ。

 今日は暖かい。天気は晴れ。最高気温16℃とか。風も弱く、春ウララ・・かな。
 アセビ”に釣鐘のような小さな花が咲いている。始めに白花が開き、次いで赤い花が咲く。”アセビ(馬酔木)”の花は基本的に白色だ。赤い花に、園芸種に、より赤みが強い花の”アケボノアセビ(曙馬酔木)””ベニバナアセビ(紅花馬酔木)”があると言う・・見たい。
 ”アセビ”は、葉・花・樹皮に強い毒(神経毒-アセボトキシン)を持つ有毒植物である。”アセビ”を「馬酔木」と書くのは、牛馬が葉などを食べると麻痺(酒を飲んだ様な酩酊状態)するからと言う。名(アセビ)の由来にも、足廃(あしひ、あしい)や悪実(あしみ)からなどの説がある。足廃(あしひ)とは足が病気になった状態で、これも誤食による麻痺から。
 アセビ(馬酔木)
 別名:馬酔木(あしび)、馬酔木(ばすいぼく)
 学名:Pieris japonica
 ツツジ科アセビ属
 原産地は日本
 常緑広葉樹低木・中高木
 開花時期は3月~5月
 秋に花穂ができ、翌春に花が咲く、蕾から~開花までは期間が長い


子供の「大人になったらなりたいもの」、男の子は「サッカー選手」、女の子は「食べ物屋さん」

2019-03-09 | 世相
 第一生命保険は、第30回「大人になったらなりたいもの」の調査結果を発表した(3月8日)。
 アンケート調査は毎年行っているもので、対象は保育園・幼稚園児および小学校1~6年生の全国の幼児・児童1000人。
 男の子1位は「サッカー選手」、2位は「野球選手」、3位は「学者・博士」、7位には急浮上した「陸上選手」が初ランクイン。女の子1位は「食べ物屋さん」、2位は「保育園・幼稚園の先生」、3位は「看護師さん」。
 注目したいのは、男の子の「陸上選手」「消防士・救急隊」「ゲームやおもちゃをつくる人」がベスト10に入ったこと。
 第30回「大人になったらなりたいもの」(2018年)
   カッコ内は前回の順位
 男の子
 1位「サッカー選手」(3)
 2位「野球選手」(2)
 3位「学者・博士」(1)
 4位「警察官・刑事」(4)
 5位「大工さん」(6)
 5位「食べ物屋さん」(8)
 7位「お医者さん」(4)
 7位「陸上選手」(36)
 9位「消防士・救急隊」(7)
 10位「ゲームやおもちゃをつくる人」(36)
 10位「自動車屋さん」(21)
 10位「電車・バス・車の運転士」(9)
 10位「パイロット」(21)
 10位「料理人」(9)
 女の子
 1位「食べ物屋さん」(1)
 2位「保育園・幼稚園の先生」(3)
 3位「看護師さん」(2)
 4位「学校の先生」(5)
 5位「お医者さん」(4)
 6位「美容師さん」(11)
 7位「飼育係・ペット屋さん・調教師」(8)
 7位「デザイナー」(9)
 9位「歌手・タレント・芸人」(6)
 10位「ピアノ・エレクトーンの先生・ピアニスト」(12)

 今日は朝から晴れ。風も弱く穏やかだ。
 玄関は道から少し離れ、比高さが1.5m位ある。数段の緩やかな階段が道から玄関まで続いている。
 その階段に鉢が幾つかあり、サクラソウの花が咲いている。花茎を長く伸ばして段状にたくさんの花を付けている。早春の花となっている。
 品種は”プリムラ・マラコイデス”かな。
 ”プリムラ・マラコイデス”は、中国雲南省・四川省に分布するサクラソウの仲間。多年草であるが、園芸では一年草として扱うことが多いようで、秋にタネをまいて翌春の花を楽しむのが一般的と言う。日本へはヨーロッパ経由で明治末に渡来した。葉や茎に白い粉が付くので、ケジョウザクラ(化粧桜)の和名がある。
 プリムラ・マラコイデス
 別名:オトメザクラ(乙女桜)、ケジョウザクラ(化粧桜)
 学名:Primula malacoides
 サクラソウ科サクラソウ属
 分類:一年草(本来は多年草)
 原産地:中国
 開花時期:2月~4月
 花径は2cm~3cm、花色はピンク・白・赤


病害に強く倒伏しにくい飼料用サトウキビ新品種「やえのうしえ」を育成

2019-03-08 | 農業
 農研機構は、黒穂病抵抗性が極強で耐倒伏性に優れる飼料用サトウキビ2)新品種「やえのうしえ」を育成した(3月6日発表)。
 肉用牛の繁殖経営が盛んな南西諸島では、畑の面積が限定されることや、台風や干ばつなどの被害を頻繁に受けることが粗飼料確保の上で課題となっている。
 これまでに農研機構は、南西諸島で普及している既存の飼料作物(牧草)であるローズグラスよりも多収となる飼料用サトウキビ「KRFo93-1」「しまのうしえ」を育成し、普及を進めてきた。しかし、「KRFo93-1」はさび病類の発生、「しまのうしえ」は収穫時期が遅れた際の倒伏が課題となっていた。また、特に沖縄県についてはサトウキビ最重要病害である黒穂病の発生地帯であるため、罹病した株からの黒穂病菌が他のサトウキビ畑へ拡散する懸念は常にある。こうしたなかで両品種とも黒穂病への抵抗性をさらに高めることが求められていた。
 これより、今回、耐病性と耐倒伏性に優れる飼料用サトウキビ新品種「やえのうしえ」を育成した。「やえのうしえ」は母(種子親):製糖用サトウキビ品種「農林8号」、父(花粉親):黒穂病抵抗性が極めて高い国内自生のサトウキビ野生種「西表いりおもて8」とする品種である。黒穂病やさび病などの主要病害に強く、収穫時期に倒伏しにくいことが特徴であり、機械収穫に要する時間が短縮されることが期待できる。
 栽培適地は南西諸島全域であり、現在沖縄県南城市で栽培が開始されている。
 因みに、栄養価を示すIVDMD(インビトロ乾物分解率)は、育成地では「KRFo93-1」および「しまのうしえ」と同程度である。沖縄でのIVDMDは「しまのうしえ」よりもやや低い値となるが、肉用繁殖牛への給餌において「やえのうしえ」は「しまのうしえ」と同様に利用できる。
 その他の特徴と栽培上の注意点、としては
 1.新植時の初期生育がやや遅いので、除草剤を使用する等雑草害を受けないように気を付ける必要がある。
 2.葉鞘(ようしょう)の毛群(もうぐん)が多いため、手刈り収穫には適さない。
 3.飼料用であり製糖用原料としては利用できない。
 ◆用語解説
 〇黒穂病(正式名称:サトウキビ黒穂病)
 黒穂病菌(Sporisorium scitamineum)の寄生によって起こる植物の病気で、サトウキビ最重要病害である。
 病気が発生すると茎の先端から薄い灰色の膜につつまれた黒色の鞭状物を抽出し胞子を飛散させる。感染した株は枯死するため大幅な減収をもたらす。胞子の飛散による被害の拡大を防ぐためには、株の抜き取り作業を行う必要があり多大な労力が必要となる。
 〇飼料用サトウキビ
 牛の飼料専用に開発されたサトウキビで、これまでに「KRFo93-1」と「しまのうしえ」の2品種が育成されており、「やえのうしえ」は3番目の品種となる。
 〇さび病類
 さび病は葉身に鉄さびが付着したような病徴を示すサトウキビの重要病害である。2種類のさび病菌によって褐色を呈する場合と黄色を呈するものがあり、両者を併せてさび病類としている。さび病による病斑の密度が高くなると葉は枯れる。
 〇株出し栽培
 前作の収穫後に再生する萌芽茎を仕立て、再度、収穫する栽培法のこと。
 〇多回株出し栽培
 複数回にわたり株出し栽培を実施する栽培法。
 〇モザイク病(正式名称:サトウキビモザイク病)
 アブラムシ類の媒介によって発病するウイルス性病害であり、サトウキビ栽培地帯では広範囲にみられる病気の種類である。モザイク病が広がるとかなり減収となる。病徴はウイルスの種類やサトウキビの品種により異なるが、一般には緑色の葉に淡黄色や濃緑色をした、長さが不揃いな病斑を生じる。
 〇種間交雑
 同属異種間の植物を人工的に交配し雑種をつくること。
 「やえのうしえ」は「農林8号」(Saccharum spp. Hybrid)と「西表8」(Saccharum spontaneum)を交配した雑種から選抜・育成された。
 〇IVDMD(in vitro:インビトロ)
 乾物分解率の略語で栄養価を示す。
 インビトロとは生体の機能や反応を試験管内で行う試験や実験の総称。牛の第一胃の胃液を用いた培養法で乾物サンプルの消化のしやすさを測定する。
 〇葉鞘の毛群
 葉の基部が鞘状になり茎を包む部分(葉鞘)に生えている細かい毛のこと。生育旺盛期に多くみられる。

2019年のプリツカー賞は磯崎新氏に

2019-03-07 | 社会・経済
 2019年のプリツカー賞は磯崎新氏に。
 「プリツカー賞」は「建築界のノーベル賞」とも言われる建築賞であり、今回で46回目となる。2019年3月5日に受賞者の発表が行なわれた。
 磯崎新は日本人としては、2014年の坂茂以来8人目の受賞者となった。
 審査員は磯崎を「建築史と理論の深い知識を持ち、前衛芸術を取り入れ、現状を複製することは決してなかった。彼が手掛けた建物に今日まで反映されている意義深い建築を探求する姿勢は、様式の分類を超えて、進化し続けている」と評価。さらに「磯崎は東洋が西洋文明に強く影響を受けている時代に、日本国外で建築を手掛けた最初の日本人建築家の1人であり、真に国際的な建築家」「見せかけやコラージュのような方法ではなく、新たな方法で東洋と西洋を結びつけた」と評している。
 磯崎新は1931年、大分生まれ。東京大学工学部建築学科を卒業後に丹下健三に師事し、1963年に磯崎新アトリエを設立。ポストモダン建築の旗手として国際的に活動する。これまでに手掛けた作品は国内外で100以上におよぶ。代表作に大分県立大分図書館やつくばセンタービル、ロサンゼルス現代美術館など。
 ◆プリツカー賞 (The Pritzker Architecture Prize)
 1979年にアメリカ人実業家でハイアットの事実上の創業者であるジェイ・プリツカーと妻のシンディによって設立された。「建築を通じて人類や環境に一貫した意義深い貢献をしてきた」存命の建築家を対象とする。国籍・人種・思想・信条を問わず、原則として1年に1人・1組を表彰している。副賞として10万ドルとブロンズのメダルが授与される。メダルの意匠はルイス・サリヴァンの作品を模したもので、ウィトルウィウスの言葉が刻まれている(1986年以前はヘンリー・ムーアによる彫像であった)。
 ◆日本人の歴代受賞者
 1987年 丹下健三
 1993年 槇文彦
 1995年 安藤忠雄
 2010年 妹島和世・西沢立衛 (パートナーのため、2人同時受賞)
 2013年 伊東豊雄
 2014年 坂茂
 2019年 磯崎新(現在87歳、歴代3番目の高齢者)

高入出力特性と高エネルギー密度を両立した蓄電デバイスの実用化

2019-03-06 | 科学・技術
 エネルギー回生システム用の蓄電デバイスには二次電池や電気二重層キャパシターがあげられる。二次電池は体積あたりのエネルギー密度が高いものの、蓄電メカニズムに化学反応を用いるため、高入出力特性を実現することが不可能であり、現行の液型リチウムイオン電池は発火事故のリスクを完全には払拭できない。
 活性炭を用いる電気二重層キャパシターは、優れた入出力特性を有し効率的に減速エネルギー回生が行えるが、体積あたりのエネルギー密度が低いためにユニットサイズを大きくせざるを得ない点が課題になっている。
 このように、既存の蓄電デバイスにはそれぞれ克服すべき課題があり、減速エネルギー回生システムに適した安全性の高い蓄電デバイスの開発が望まれていた。
 JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)は、産学共同実用化開発事業の開発課題「ナノ結晶化チタン酸リチウムを用いたハイブリッドキャパシタ」の開発結果を成功と認定した。
 開発課題は、東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門直井勝彦教授らの研究成果を基に、平成25年8月から平成30年7月にかけて日本ケミコン株式会社に委託して、同社にて企業化開発を進めていたもの。
 本開発では、負極にキャパシター向けに調整したチタン酸リチウムを用いたハイブリッドキャパシターを開発し、電気二重層キャパシターに対して大幅なエネルギー密度の向上を実現するとともに、薄膜塗工電極などの技術によりキャパシターセルの内部抵抗を低減することに成功した。これにより安定した充放電サイクル特性を持ち、減速エネルギー回生システムに適した蓄電デバイスを実用化した。
 具体的な開発内容。
 1.負極用ナノ結晶化チタン酸リチウム(LTO)の合成技術
 今回開発したキャパシター用チタン酸リチウムは、1次粒子サイズが数十nmオーダーの微細構造であり、結晶端部に高導電性のマグネリ相酸化チタン(Ti407)を有した複合材料である。
 このナノ結晶化チタン酸リチウムは、Cレート特性評価において、高レート側でも高い実容量を持っており、材料レベルで高い入出力特性を持っている。
 2.ハイブリッドキャパシターとしての特性
 調整したナノ結晶化チタン酸リチウムを用いたハイブリッドキャパシターの巻回セルにて、高容量・低抵抗を実現した。体積あたりのエネルギー密度は、自社従来品の電気二重層キャパシターに対して191%に相当する。
 充放電によるセルの容量劣化は、10万サイクルで10%以内であり、長期にわたり安定した特性を維持することを確認した。
 期待される効果。
 本開発により減速エネルギー回生ユニットの大容量化がなされ、アイドリングストップ時間の延長やオルタネーターでの発電が減ることによるエンジンへの負荷の低減が実現できる。その効果として、燃費改善やCO2の排出抑制に寄与することが期待される。さらに、車載油圧機器の電動化、先進運転支援システム(ADAS)などの新たな電装機器のピークアシスト・バックアップ用自立電源としての活用も期待される。
 ◆用語解説
 〇減速エネルギー回生システム
 走行中の車両が減速時に捨てていた運動エネルギーを電気として回収し、再利用できるように蓄電するシステム。蓄えられた電気はエアコン、カーナビゲーションシステムなどの電装品の電力として使用する。アイドリングストップ時間の延長のほか、オルタネーターの発電停止によるエンジン負荷の軽減により、燃費向上やCO2排出低減に寄与する。
 〇電気二重層キャパシター(EDLC)
 電極と電解液の界面に形成される電気二重層を利用したキャパシター。電極に表面積が大きい活性炭を用いることで大容量を実現している。二次電池に比べて高出力、長寿命であるが、電極内部を使用しないため体積あたりのエネルギー密度が低い弱点がある。
 〇ハイブリッドキャパシター
 電極のいずれか1つに電気二重層を利用し、もう一方の電極に酸化還元反応を利用した蓄電デバイス。電気二重層キャパシターの高出力、長寿命といった利点を継承しつつ、体積あたりのエネルギー密度を高めている。
 〇Cレート特性
 蓄電デバイスを定電流放電させたとき、60分で放電終了となる電流値で放電したときを1Cとして、各放電速度(時間)での容量特性をまとめたもの。
 〇巻回セル
 電気二重層キャパシターのセル構造の1つ。巻回セルは電極とセパレーターを重ね合わせて巻き芯軸で巻き取った円筒形の構造のこと。

 今日の天気は曇り。寒さは余り感じない。
 散歩道は暑くもなく、寒くもない、散歩には適当だ。
 道沿いの梅に花が咲き出している。白梅だ。
 各地で梅の開花の知らせを聞くが、目の前での開花を見ると感激!!。
 ”ウメ”が満開となると、次の開花は桜(吉野桜)だね。”ウメ””サクラ”、どちらも花見は良いね。
 奈良時代に「花」と言えば梅(の花)。別名も、風待草(かぜまちぐさ)・好文木(こうぶんぼく)・春告草(はるつげぐさ)・・などと多い。平安時代中頃から、梅より桜(の花)が好まれるようになり、江戸時代以降は花といえば「桜」となる。
 ウメ(梅)
  梅の果実も梅と言う
 学名:Prunus mume
 バラ科サクラ属、落葉高木
 原産地は中国、奈良時代の遣隋使か遣唐使が持って来たと言う
 開花時期は1月~4月
 種類により開花期が異なる
 梅には300種以上の品種があり、野梅系・紅梅系・豊後系の3系統に分類される


加齢でオートファジーが低下するのは、たんぱく質「ルビコン」が増えるから

2019-03-04 | 健康・病気
 大阪大学の吉森保教授及び中村修平准教授のグループは東京都医学総合研究所の鈴木マリ主任研究員、大場柾樹大学院生(芝浦工業大学)らと共同で、細胞の新陳代謝を行い細胞の健康維持に必要な機能であるオートファジーが加齢に伴い低下してしまう現象のメカニズムを明らかにした(2月19日発表)。
 オートファジーは、細胞内の不要なたんぱく質を分解して再利用する。生活習慣病やがんなどの病気とも関わりがあると注目を集め、大隅良典東京工業大栄誉教授が仕組みを解明し、ノーベル生理学・医学賞を受けた。
 オートファジーは加齢に伴って低下することが知られている。研究チームはオートファジーを抑える”ルビコン”と老化の関係を線虫やハエ、マウスで詳しく調べ、ルビコンは加齢に伴い約1.5~2倍に増えた。”ルビコン”を働かなくした線虫やハエは寿命が約20%延びた。老化による運動機能低下も改善した。
 マウスで”ルビコン”を働かなくすると腎臓の組織が硬くなる線維化が抑えられた。パーキンソン病を起こす実験では病気の原因たんぱく質の塊が大きくならなかった。人でも同様の仕組みがあるとみている。
 ”ルビコン”が増えるのを抑える物質が、自立して生活できる健康寿命を延ばせると期待する。寿命も延びる可能性がある。
 2019年度にスタートアップを設立し、健康寿命を延ばす医薬品や食品の開発を目指す。
 スタートアップを立ち上げる吉森教授は「役に立つか分からない基礎研究から大きなイノベーションが生まれることを自ら実証したい」と話す。
 ◆用語説明
 〇オートファジー
 細胞内に存在するタンパク質や構造体を二重膜で包み込み、ライソゾーム(多種の消化酵素をもつ細胞小器官)と融合することで包み込んだ内容物を分解する機構。オートファジーが開始すると、細胞質内に隔離膜が出現する。隔離膜は伸長して分解対象物を取り囲み、オートファゴソームを形成する。オートファゴソームはライソゾームと融合してオートライソゾームとなり、ライソゾーム内の消化酵素により分解対象物は分解される。オートファジーは、細胞内の不要物を分解することにより浄化作用を持つ。近年、様々な疾患においてオートファジーの機能が低下していることが確認されており、細胞内浄化作用が抑制され細胞内に不要物が溜まることが疾患の発症につながる可能性が考えられている。2016年に大隅良典博士がノーベル医学生理学賞を受賞されて以来大きく注目されている。
 〇ルビコン(Rubicon:Run domain Beclin-1 interacting And cysteine-rich containing protein)
 本研究グループの吉森教授らにより2009年に発見された、オートファジーを抑制する働きを持つタンパク質。オートファジーの最終ステップであるオートファゴソームとライソゾームの融合を抑制し、細胞内のRubiconが増加するとオートファジー機能が低下することが知られている。
 〇RNAi(RNA interference)法
 人工的にRNAを導入することにより、目的とする遺伝子の発現を抑制する方法。
 〇易凝集性タンパク質
 異常凝集を作りやすいタンパク質のことで、神経変性疾患ではこれらの蓄積が発症原因と密接に関わっている。例えば神経変性を来すハンチントン舞踏病等のいわゆるポリグルタミン病は、通常より長いポリグルタミン鎖を含むために細胞内で凝集するようになった異常タンパク質(PolyQ)の発現により発症する。

糖尿病の高齢者は特に筋肉が減少してしまう

2019-03-03 | 医学
 神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門小川渉教授らの研究グループが、「糖尿病になると筋肉量が減少するメカニズムを解明した」と発表した(3月1日)。血糖値が上昇すると2つのタンパク質の働きを通じて筋肉量を減少させるという。
 高齢者の筋肉が減少して身体機能が低下する状態は「サルコペニア」と呼ばれ、特に糖尿病患者はこの状態になりやすいとされていた。
 研究グループは、マウスを実験的に糖尿病にするとそのマウスは筋肉量が減って“KLF15”というタンパク質が筋肉で増えることを発見した。”KLF15”がない糖尿病マウスをつくって調べたところ筋肉は減らなかった。
 これらの実験データを分析した結果、血糖値の上昇が”KLF15”の分解を抑制してしまい筋肉に蓄積することや、”WWP1”という別のタンパク質が”KLF15”の分解を促すなど重要な働きをしていることが明らかになった。
 糖尿病はインスリンというホルモンが体の中で十分に働かなくなることによって起こる。インスリンは血糖値を整えるだけでなく、細胞の増殖や成長を促す働きがあるためにインスリンの作用が足りなくなると筋肉細胞の増殖や成長が妨げられて、筋肉が減少するのではないか、という仮説も提唱されていた。小川教授らは、2つのタンパク質の役割を突き止めて血糖値の上昇自体が筋肉の減少を引き起こすことを明らかにした。
 現在、筋肉の減少に対する薬はない。研究グループによると、この2つのタンパク質が関連する筋肉減少のメカニズムは人間にもあり、”WWP1”の働きを強めたり、”KLF15”の働きを弱めることができる薬を開発できれば、糖尿病患者だけでなく、多くの高齢者の筋肉減少対策に役立つ可能性がある、と言う。

 今日の天気は晴れ。最高気温が10℃以上と思われ、風も弱いので、春が来たのかな、と思うほどだ。
 3月3日は桃の節句、雛祭り。耳(みみ)の日(昭和31年に日本耳鼻咽喉科学会制定)でもある。
 ★日本の五節句
 1月7日 人日(じんじつ)の節句      七草の節句
 3月3日 上巳(じょうし、じょうみ)の節句 桃の節句、雛祭り(女子の節句)
 5月5日 端午(たんご)の節句       菖蒲の節句   (男子の節句)
 7月7日 七夕(しちせき、たなばた)の節句 七夕祭り
 9月9日 重陽(ちょうよう)の節句     菊の節句
 因みに、日本人形協会では昭和天皇の即位以来、男雛を向かって左に置くのを「現代式」、右に置くのを「古式」としている。
 写真は、先日”パトナ”での雛飾り。

強い毒を持つヒアリも、ワサビの辛みには勝てない

2019-03-02 | 生物
 強い毒を持つ外来種のヒアリも、ワサビの辛み成分には勝てないらしい。
 兵庫県立大の橋本佳明准教授(アリ学)らがその実態を突き止め、日本応用動物昆虫学会の英字誌オンライン版に発表した。日本への侵入を防ぐのに役立つ可能性があるという。
 橋本さんらは、ヒアリが定着した台湾で、ワサビの辛み成分「AITC:アリルイソチオシアネート」を入れたカプセルを練り込んだ「ワサビシート」を使って防虫効果を検証した。
 ワサビシートとえさを入れたわな、カプセルの入っていない「ワサビ抜きシート」と餌を入れたわなを10個ずつ、巣の近くに40分間しかけた。ワサビシートのわなにかかったアリはゼロだったが、ワサビ抜きの方は一つのわなに平均157匹がえさに群がった。
 ワサビの臭いでアリがえさを見つけられない場合もあると考え、餌にアリをたからせた上で、ワサビシートと一緒にしたわなも10個作った。1つのわなに平均0.9匹いたが、全て死んでいた。
 ワサビシートで積み荷などを覆うことでヒアリの紛れ込みを防ぎ、他国に拡散させるリスクを下げられる可能性がある。橋本さんは「世界中でヒアリの拡大防止に役立ててもらえるよう、技術開発を急ぎたい」と話している。
 ◆ヒアリ
 ヒアリ(学名:Solenopsis invicta、英語名:Red imported fire ant、別名:アカヒアリ、火蟻)は、南米大陸原産のハチ目(膜翅目)・アリ科・フタフシアリ亜科に属するアリの一種。
 世界の侵略的外来種ワースト100選定種で、特定外来生物にも指定されている。
 主にアルカロイド系の毒と強力な針を持つが、人間が刺されても死ぬことはまれで、痛み・かゆみ等の軽度の症状や、体質によりアレルギー反応や蕁麻疹等の重い症状が出る場合もある。命の危険があるのは、アレルギー症状の中でも特にアナフィラキシーショックが起きる場合で死亡することもある。そのため殺人アリと呼ばれることもある。
 日本では、2017年(平成29年)以降中国から運び込まれるコンテナなどで毎年見つかり、7月16日までに6都府県で8回発見されている。このうち2件は内陸部(愛知県春日井市および茨城県常陸太田市)で発見されている。
 忌避方法はワサビ成分入りシートを用いるもので、環境省も、2019年2月から自治体向けの「ヒアリ講習会」でこの手法を紹介する。
 因みに、ワサビの辛み成分「AITC:アリルイソチオシアネート」は弁当用の防腐剤や車のエアコンのカビ、悪臭防止などにすでに活用されている。

 3月に入ると何か春が近づいて来た、ような気がする。日ごとに最高気温も上がる・・。
 畑を見たら、道横の雑草に花が咲いている。”ホトケノザ:仏の座”の花だ。
 名(ホトケノザ:仏の座)の由来は、対生する半円形の葉が茎を囲む様子を蓮華座(れんげざ)に見立てたことからと言う。花が付く茎の上では葉が茎を抱いて葉柄がないが、下の方の葉は長い葉柄がある。葉が段々と付いているので、三階草(さんがいぐさ)とも呼ばれる。
 ホトケノザ(仏の座)
 別名:三階草(さんがいぐさ)
 シソ科オドリコソウ属
 一年草あるいは越年草
 古い時代にヨーロッパから渡来した帰化植物と考えられている
 開花時期は2月~6月(秋にも咲く)
 上部の葉脇に長さ2cmほどのピンク色で唇形状の花を付ける
 白色の花色もあり、シロバナホトケノザと呼ばれる


微小な重力の測定が可能な小型低雑音重力センサーを開発

2019-03-01 | 科学・技術
 物理法則は、量子力学と呼ばれるミクロ世界と一般相対性理論と呼ばれるマクロ世界の法則の2つで説明される。しかし、両理論が確立されて以来100年近くとなるが、理論の統合ができず1つの理論であらゆる物理法則を説明できない。これは、相対性理論で説明できる重力が、量子力学で説明できないからである。
 物理学には4つの相互作用がある。強い相互作用はグルーオン、電磁相互作用は光子、弱い相互作用はウイークボソンとよばれるゲージ粒子の交換によって発生すると考えられている。しかし、最後の重力相互作用をもたらすと言われる重力子の作用は極めて小さいため、統合に向けた検証実験はいまだ実現していない。
 これまで測定されたもっとも小さな重力源の質量は90gで、原子干渉計・ねじれ振り子・光格子時計などによるものである。もっとも重い量子状態を実現した物体は40ngである。両者のスケールには10桁という大きな隔たりがある。重力と量子の実験スケールの統合には、微小重力やゼロ点振動の観測が可能な変位測定系の構築が必要だ。
 東北大学学際科学フロンティア研究所・電気通信研究所の松本伸之助教、東京大学大学院理学系研究科の道村唯太助教、国立天文台重力波プロジェクト推進室の麻生 洋一准教授、東北大学電気通信研究所の枝松圭一教授らの研究グループは、石英の細線で懸架された7mgの鏡の振動を1秒の測定時間で10^(-14)m程度の分解能で読み取れる測定器を開発した(2月20日発表)。これは、100mgの物体が懸架鏡から数mm離れたところで振動したときの重力変化を捉えることができる性能である。
 重力と量子の実験スケールを統合するために、微小重力やゼロ点振動の観測が可能な精密な変位測定系の構築が課題となっている。研究グループは、懸架鏡(7mgの鏡を直径1μm、長さ1cmの石英の細線で吊るしている)の変位を1秒の測定時間で10^(-14)m程度の高い分解能で測定することに成功した。
 懸架鏡は重力波検出器と同様に光共振器の一端を担っている。共振器によって懸架鏡は光学トラップされており、さらにフィードバック冷却により基底状態付近まで冷却可能である。重力測定の原理は極めて単純で、懸架された鏡の振動は光共振器の反射光量を変化させるため、その変動は光検出器で測定でる。鏡の隣に重力源を設置し、両者の重力相互作用で生じる懸架鏡の揺れを光で検出することで重力が観測される。例えば、懸架鏡の4mm程度隣で質量100mgの物体が、(光学トラップされた)懸架鏡の周期で1mmの振幅で振動すれば、重力相互作用によって懸架鏡は10^(-14)m程度揺らされる。このわずかな揺れを、研究グループの開発した光共振器の応答から測定することで微小重力が観測可能となる。
 測定の雑音を低減するために、光共振器は真空容器内に設置した多段防振装置上に構築している。同じ防振板上に設置したレーザー光の強度・周波数安定化システムによりレーザー光は安定化されている。雑音低減の結果、図示される変位測定の結果を得た。この結果から、mgスケールにおける重力測定が可能であることを実証することに成功し、さらにmgスケールにおける量子状態制御が将来的に可能であることを示した。
 ◆用語
 〇量子状態
 原子や電子などは我々の直感に反するさまざまな振る舞いを示す。例えば、我々の身近にあるボールはある軌跡を描いて運動することは誰もが知っているが、ミクロなボールだと考えられていた原子や電子はぼやけて運動しており、特定の軌跡を描かない。このような現象を巨視的なスケールで実験的に検証する試みが長年の間進められている。
 〇フィードバック冷却
 振動子の揺れ(変位)を観測し、ネガティブフィードバックすることで振動子の速度(つまり運動エネルギー、温度)を低減すること。例えば、振り子が左に動いていることを観測した場合、右向きに力を加えると振り子の振動振幅は低減する。変位と速度は微分積分の関係があるため、観測した変位信号を微分してフィードバックすれば振り子に働く(速度に比例する)減衰力が増大することになり、振動振幅と速度を低減できる。観測した変位信号を微分しないでフィードバックすると、振り子に働く復元力が増大(振動子の共振周波数が増大)するため振動振幅は低減する。前者は「冷却(クーリング)」と呼ばれ、後者は「トラップ(ばね効果)」と呼ばれる。
 〇重力波検出器
 一般相対性理論から導出される重力波(時空の変動が光速で伝搬する波)を検出するための装置。懸架された数十Kgの鏡(振り子)の間の距離の変動をレーザー光で読み取る装置。2015年にアメリカの検出器LIGOが世界で初めて重力波の検出に成功し、2017年にノーベル賞を受賞した。現在、日本の検出器KAGRAは2019年中の稼働を目指して開発が進んでいる。
 〇光共振器
 合わせ鏡の間の距離と光の波長を合わせることで、光は合わせ鏡の間で共振する。共振のピークが鋭ければ鋭いほど(合わせ鏡の間の光の往復回数が多ければ多いほど)、鏡の揺れに対する光の応答は敏感になり、測定器の感度は向上する。共振状態からわずかに合わせ鏡の間の距離をずらすと注5で説明する光ばねを生成することが可能である。
 〇光学トラップ(光ばね)
 光の圧力によって生成されるばね。光の圧力はレーザー光量が高いほど強くなる。従って、懸架鏡が共振器長を伸ばす向きに動いた時に共振器内の光量が減る(反対に懸架鏡が共振器長を短くする向きに動いた時に共振器内の光量が増える)ように調整すれば、光の圧力でばねが生成される。
 〇ブラウン運動
 ブラウン運動はさまざまな多体系で見られる。例えば、空気中に置かれた振り子は酸素や窒素原子と衝突することで力(熱的な揺動力)を受ける。酸素や窒素原子の運動を観測しないで振り子の運動を観測すると、振り子はランダムな運動をしているように観測される。このような運動をブラウン運動と呼ぶ。