ニコール・キッドマンが主演して来年公開される予定の映画「モナコのグレース・ケリー(Grace of Monaco)」に対して、モナコ公国が、内容が不正確であり、グレースケリーを正しく描いていない、と非難している。
早いもので、グレース・ケリーがフランスとモナコを結ぶ地中海沿いの風景の美しい道を運転中に脳梗塞に襲われ、事故死してから30年以上経つ。たまたま運転していた車が英国車ローバーだったことから、当時英国に駐在していたこともあって鮮明に記憶に残っている。また、しばらく後になるが、同じように突然事故死したことでは、英国のダイアナ妃とも印象が重なる。
グレース・ケリーの「実像」は誰にもわからない。すなわち、伝記映画のようなものを作られれば、それが、正しいのか、あるいは過度に誇張ないし歪曲されたものなのか、判断することは誰にもできない。あれほどの有名人の伝記となると映画界にとってはまたとないビジネスチャンスになるものであり、本人にとってはまことに因果なものである。
一方、女優としてのニコール・キッドマンは特にThe Hours(めぐり合う時間たち)でのバージニア・ウルフ役の好演もあって高く評価されている。この真に実力ある女優がこの映画の主役を引き受けたという事は、多分ニコール・キッドマンもグレース・ケリーと運命を共有にしようと覚悟したのではないかと思う。