愚かしくもおぞましい話だが、このところいたるところで運動選手に対する監督などの体罰の例が報じられている。昨日からは、女子柔道連盟での監督による体罰が、選手の直訴によって明らかになった。
日本ほど人の命を重んじる国はないのに、このような暴力はどうして許されてきたのか。特に理解に苦しむのは、柔道連盟の場合、暴行した本人の謝罪によって解任もせず続投させるというとんでもない幕引きをしようとしていることである。そのような対応をするのなら、選手は監督を刑事告訴するしかない。つまり、監督たるもの、一度でも暴力をふるったら即失格である。歴史が示しているように、暴力を行使するような人間はいつまでたっても変わらない。ただ陰湿になるだけである。柔道連盟に正気が残っているのであれば、くだんの監督はただちに解任し、暴力を行使しない新しい監督を選任すべきである。柔道連盟には自薦他薦をふくめ、いくらでも人材はいる。
たまたまロンドンオリンピックで松本薫選手がルーマニアの選手を破って見事金メダルを獲得するという快挙に遭遇した。初めて掲揚された日本国旗と国歌の吹奏に松本選手のたゆまぬ努力を思って胸がいっぱいになった。同人が今回の直訴に参加しているかどうかは知らないが、あれほどの選手がいながら、その裏で暴力を振るう監督がいたとは、やりきれないでは済まない憤りを感じる。それにしても、人権が売り物の日本の新聞はこんな暴力監督の存在をなぜ隠蔽してきたのか、この新聞の体質のほうが深刻な問題である。