回顧と展望

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ユーロの蹉跌ー基軸通貨としてのー

2013年01月04日 17時03分07秒 | 日記

IMFのレポートによれば、発展途上国の外貨準備に占めるユーロのシェアーが2009年の30%から、2012年の第三四半期に急落して24.7%と2002年以来で最低となっている。これは、ユーロ圏の信用力がギリシャのみならず、スペインやイタリア、はてはフランスにまで疑問が出てきたからにほかならない。そのために、このところ外貨準備を急増させてきたアジアの発展途上国が外貨準備の中のユーロ国債への配分を減少させているからだ。一方、各国中央銀行の英国ポンドへの投資額がこのところ980億ドルにまで急伸している。これはスイス中銀が自国通貨スイスフランの高騰をおさえるためスイスフランを売って他の通貨(ポンドも含む)を買うという大胆な操作を行ったことが主因であるが、このことは輸出振興を図るためにポンド安を目指しているBOE(英蘭銀行)の方針に真正面から衝突するものであり、いわゆる通貨戦争と言う一面もある。ただし、ドル、ユーロ、ポンドなどどの通貨が良いか、というよりも、どの通貨が比較的問題が少ないかと言う消極的な動きともいえるものである。

ユーロ発足以降発展途上国によるユーロ建債への積極的な分散投資はユーロの高騰をもたらし、欧州主要国の国際競争力を大きく下げた。したがって、このところのユーロ安は欧州企業の競争力強化に役立っているといえる。ドルとの関係でいえば、このところユーロは一時的にドルに対して強含んでいるが、これは米国に比してユーロ諸国の信認が高いというよりも、自己資本規制達成のため、欧州民間銀行が手持ちの債券投資を減少させている結果でもある。したがっていずれドルに対しては下降に転じるのではないかと思われる。

かつて、フランスのドゴール大統領はアメリカドルの基軸通貨としての覇権を法外な特権であり我慢できないとしていたがユーロを世界の基軸通貨にするという夢はユーロ圏諸国にとっては法外な負担を強いるものになっていたようだ。

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