今年のG8 Summitは英国を議長国として、北アイルランドの景勝地Lough Erneで6月17-18日に開催される。ゴルフリゾートとしても著名であり、近隣には世界的にも有名な素晴らしいコースもある(ゴルフ好きのObama大統領にとっても魅力的)が、この近くではかつて、北アイルランド紛争時に最悪の爆弾テロの一つが発生したこともある。このような背景を持つ場所でG8 Summitを開催するという事は、キャメロン首相の言うような現地の産業振興や外資誘致のみならず、英国が、北アイルランド問題を克服したことを世界に訴えたいという意向もあるのではないかと思う。
今回のSummitの議題としては、現在世界が直面している問題の解決のために、世界貿易の拡大、国際税制法令遵守(脱税の防止)の強化および一層の透明性の確保があげられている。なお、G8 Summitに先立って恒例の外相会議がロンドンのランカスターハウス(1984年と1991年の2回のSummitが開催された邸宅)で開かれ、5月にはG7財務相会議もロンドンで開かれる。外相会議については、今回のSummitの議題に関連して、これらは各国の政治的安定性と平和的な国際関係が前提となる、とヘイグ外務大臣が発言している。日本を意識しているものとは思えないが、毎年のように出席者(菅直人は2回出席したが)が代り、かつ、韓国・中国との政治的緊張関係にある日本には耳の痛い話である。
7月の参議院選挙直前の安倍政権にとって極めて重要な国際会議であることは言うまでもない。これが安倍首相にとって7年ぶり2回目だが最後のSummit出席、とならないことを切に祈るのみである。
1990年代初頭、まだIRAが爆弾テロを頻発させていた当時ロンドンに駐在した経験からは、北アイルランドでG8 Summitが開催されるという事は想像もできず、時代の変化を象徴していて感慨深いものがある。ただ、当時Cityの勤務先の近くのビルが爆破され、その爆風で事務室の窓のほとんどが半開きになった時の恐怖と衝撃はいまでも忘れられない。