キャメロン首相が、2015年の総選挙で保守党が勝利すれば、2017年にEUに残るか、脱退するかの国民投票を実施すると公式に表明した。それでなくても軋みの出てきているEUにさらに難題を突きつけたという事で、特にフランスからの反発が強い。キャメロン首相の本意が、EU脱退にあるのか、あるいは、現在のEUでの主導権確保のためのブラフなのか、もちろんはっきりとはしない。ブラフにしては危険な火遊び、という感はぬぐえない。これで保守党は分裂の危機に瀕しているし、キャメロン首相自身の足元も相当に危うくなっている。
参加の時と同様、脱退についてもイギリスは他の欧州各国とは何かが違う。今やイギリス国内では、親EUと反EUの両派が入り乱れて大激論を戦わせている。
ただ、今回、アメリカ政府はイギリスのEU残留を明確に期待している。EUの弱体化につながるようなことは何としても避けたい、というアメリカの事情によるものだが、これまでのいわば一衣帯水の英米協調に何か変化があったのか。国民投票までの5年間はいかにも長く、不確実な期間がこれだけあるという事は、少なくとも投資家にとってはリスクという事になる。そして、投資の変調は雇用へとつながってゆく。
BBCの街頭インタビューによれば、大半が脱退するべきだと回答している。ただし、「なぜ脱退しなければならないのか」と言う質問にはほとんどの回答者がまともには答えられなかった。つまり、一種の「気分」のようなものがイギリスを覆っているようだ。経済に陰りが見えるイギリス、さらにEUとの関係では(ほんのわずかな額の投資家として)マイナスの影響が懸念されるところ。