第266代ローマ法王が選出された。今回は非ヨーロッパ地域からの法王ということで難題に直面しているカソリック教世界の今後のかじ取りが注目される。
新法王選出過程はシスチナ礼拝堂の煙突からの煙の色によってわかる仕組みになっているが、世界中のテレビ局が中継するため、今回から化学物質を添加することにより、より黒々(未決定)と、あるいは白々(決定)とした煙になるようにしたという事である。バチカン当局によれば、黒い煙の場合には過塩素酸カリウムとコールタールの成分、硫黄などを、 白い煙のためには塩素酸カリウム、乳糖およびクロロフォルム樹脂をくわえて、より判別しやすい様に配慮したとしている。
どうりで今回、TVで中継された黒煙はまさに黒々としていた。これまでバチカンは、煙を黒くするために、濡れた藁を燃やして最後の不完全燃焼の際に発生する黒煙を用いていたが、それでは黒色が判然とせず、前回の2005年の法王選出の際には煙の色の判読に混乱が起きたとの指摘を受けていたため、バチカンは従来の伝統を変えて近代科学を活用するとともに、燃焼させるストーブを2つにすることにより、煙を排出する前に黒煙を混合させたとしている。TVでの中継を前提とするコンクラーベの煙の色の変化はそのまま時代の変化を物語っている。