銀行閉鎖が更に延長されるなど、迷走をつづけるキプロス救済劇。ロシアのガス権益狙い、地中海へのロシア海軍進出の思惑も加わって、いまや経済問題から政治問題へと次元が変化してきた。ただ、相次ぐ救済劇の混乱にいわゆる北欧、ドイツなどの北ヨーロッパEU諸国の不満は爆発寸前だし、彼らの忍耐にも限界が近づきつつある。
実際には泥縄式、にわか仕立てとしか言いようのない今回の預金徴収税案だが、もしこの案が崩壊するようだと、キプロスが銀行問題でユーロ圏から離脱を余儀なくされる最初の国になるかもしれない。その際、国際金融市場がそれを甘受できるのか、ドミノ式の「ミニリーマンショック」のような様相を呈するのか、今のところは不明だ。ユーロ各国財務相の緊急電話会議における狼狽ぶりを見ていると、誰かが初めてのユーロ圏離脱国になる時が近づいてきている。