極貧の少年が貿易船に猫を連れてゆきネズミ退治に成功して巨額の富をなし、最後にはLord Mayorにまで上り詰めたという英国のおとぎ話Dick Whittington and His CatのモデルとなったRichard Whittington(ただし、当人はDick Whittington と違って貧乏の出ではなく、また、猫で財を成したという事もない)が14-15世紀に4期つとめたロンドンの中心部、金融街Cityの市長。このLord Mayorの686代目に1983年のMs.Mary Donaldsonに次ぐ2人目の女性としては英国では高名な商事弁護士のMs Fiona Woolfが指名され、11月8日から任期1年Mayorを務めることになった。
ロンドンには別途市長(Mayor of London、現在はBoris Johnson)がいて格段に強大な権限を有しており、Lord MayorはCity地区のみの長であって多分に名誉職的色彩が強いとはいえ、800年の伝統と格式のあるCity、特に最近ではロシアや中東の巨額の投資資金が流入しているCityであるから、Lord Mayerの社会的ステイタスは極めて高い。そんな中で圧倒的に男性中心のCityのLord Mayerに女性が就任するとは、英国が実力主義であることうかがわせる。
安倍首相は先般の国連演説で女性の地位向上を訴えたが、英国に関する限り、そのような配慮は無用のようだ。