かつてのギリシャが、ローマが、スペインが、大英帝国が世界における絶対的な優位性を失っていった時、その通貨も世界の中心から身を引いて行ったのが歴史の示すところであるとすれば、今の米国での政争がまさに米国の落日、そしてドルの落日を物語っている。そして、歴史から身を引いて行った過去の例と同じく、その通貨の後を引き継ぐものはまだ見えていない。歴史の示唆するところ、しばらくの混乱期間は不可避のようだ。
一度失われたものは二度と復活しない。ローマの貨幣があれだけ世界中の基軸通貨として流布したのはもう2000年ほど前になるがローマは自ら世界帝国としての地位を退くまでにそれほどの時間は必要なかった。米国議会で米国債務上限引き上げが合意されようとしまいと、この2週間の醜態からは、もはや米国の落日、そしてドルの落日は文字どり陽(火)を見るより明らかなようだ。