羽田空港国際線発着枠の配分は、ANA11往復、JAL5往復で決着した。ドイツ(2往復)、ベトナム、フィリピン、インドネシアおよびカナダ便はANAのみ配分を受けた。JALが公的資金によって再生したことを理由とした政治家決着である。このことはいまだにJAL憎し、の感情が残っていることを思わせる。一時の人を人とも思わぬ傲慢なJALの印象が拭い去れていない。先日亡くなった山崎豊子の「沈まぬ太陽」のお蔭でもある。
もちろん、利用者からみれば、競争によって利便性が向上すれば良いだけだ。ANAに傾斜配分することで財務面での調整がなされ、より競争が確保されるという理屈なのだろうが、実際のところ、国際線でのJALのサービスはANAより格段に良い。これからは、羽田発の国際線ではJAL便の席は争奪戦になるだろう。JAL便のないところでは、JALの利用者はANAではなく、One World加盟の外国航空便に移るだろう。また、ANAにとっては発着枠を消化しなければならず、採算の悪化をもたらすだろう。
企業の財務内容や税制の違いを発着枠に反映させるという発想は、乗客不在、かつ、結局外国航空会社を利するものになる。