仕事で訪れた都市では、時間があればまず教会、寺院そして美術館、博物館を訪れることにしている。特に、教会・寺院は、まずもって安全なことが言える。欧州ではキリスト教の大寺院といわれる、ローマのサンピエトロ寺院、ロンドンのセントポールカセドラル、スペインコルドバの聖マリア大聖堂にも足を運んだ。十数年の欧州駐在の間に数えきれないほどの寺院を訪れたが、印象に残っているひとつにワルシャワの聖十字架教会がある。ここには、パリで客死したショパンの心臓(魂は心臓に宿るから)を彼の姉が持ち帰って埋葬した教会。教会そのものは特に巨大なものではなかったが、もともとショパンが好きなこととたまたま熱い日差しの中ワジンスキー公園でショパンの銅像を見ての後だったこともあり、強く印象に残っている。
また、ロンドンに駐在していた1980年代初は、日本からの訪問者をセントポールカセドラルやウエストミンスターアビーに毎週のように案内したものだ。その時分、これらの英国の教会は特に入場料を徴収していなかったがその後、有料になってしまった。ここ数年は東南アジアを訪れることが多くなったが、たとえば、バンコクでは今は一時閉鎖となっているようだが、ワット・アルン(暁の寺)にはこの街に行くたびに必ずお参りをしている。
教会や寺院はまずもって宗教的な施設なのだが、同時にその国と国民の歴史・文化を体現しているものだ。そしてどんな事情があってもその国と国民に対する敬意を忘れてはいけない。
そのようなことだから東京では、明治神宮には散歩を兼ねてよく参拝するし、靖国神社も例大祭のような時期は外して、何度も参拝した。そういえば数年前のこの時期に靖国神社に夕刻参拝し、帰りに駐車場に戻ったら初老のご夫婦が植え込みでぎんなんを拾っておられたのを思い出す。