養護施設を舞台とするおぞましいTVドラマを継続するという日本のメデイアを見ていると、弱者を嬲るのがサデイズムの一つの極致であることを思い起こさせる。弱者いじめほど、メデイアのサデイズムを満たすものはないのだろう。古来、日本にはサデイズムが文化として存在しているが、あらためてその強固な基盤を認識させられる。
そんなことを考えていたら、200年も前のバルザックの小説、谷間のゆりに示唆に富むくだりがあった。
弱者というものは・・・この社会では容赦なく軽蔑されるのです。・・・自然も不完全なものは容赦なく殺してしまいます。・・・社会というものは母親よりむしろ継母に似ていますし、自分の虚栄心を喜ばす子供を何よりかわいがるのです。(岩波文庫、宮崎嶺雄訳)