缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

缶詰のある風景 『ユーコン漂流』

2006-06-08 12:26:58 | 連載もの 缶詰のある風景
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 カヌーに積んだ缶詰は水浸しになって波にもまれ、みんなラベルがとれてしまった。食事の時、缶を開けるまで、中身が何であるか判らない。ベーコンだろうと見当をつけて開けると豆が出てきたりして、これは激流を行くよりスリルがあった。
 野田知佑『ユーコン漂流』 文春文庫


 我が缶詰さんたちに最も似合う風景というのは、やはり野外である。それも“荒野”とか“海上”という、出来るだけ荒っぽい風景。
 開けた缶詰は、皿によそったりせずに、缶から直に食う。手を休めて置くときも、草の上とか木の上に、直に置く。

 粗野。無骨。率直。虚飾を知らず、澄明。

 嗚呼、我が缶詰さん瓶詰さんこそ、くだらないグルメブームに真っ向から立ち向かう戦士たちなのである。

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 前回の『さんま塩焼』に引き続き、今回もニッスイ。『さば照焼』である。
 美味そうな調理見本の写真が印刷されていて、色合いもブルー主体で爽やか。我が国の缶詰さんは、パッケージも良く出来ているなと思わせるのである。
 一方、海外の缶詰さんは、ラベルが紙製であることが多い。冒頭でご紹介させていただいた、カヌーイスト野田知佑氏の経験したようなことは、しょっちゅう起こりうることだ。
 同様のことが、別の冒険家の手によって書かれている。そちらもここで、ぜひご紹介させていただきたい。

 この紙のレッテルは、ぬれたとたんにはげてしまうし~中略~どの罐詰も見分けがつかなくなり、肉罐一つがほしいのに、ロシヤ・ルーレットよろしく大騒ぎをやらかす羽目になる。
 R・ノックス=ジョンストン『スハイリ号の孤独な冒険』草思社

 
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 そうして、今回の『さば照焼』であるが。
 なんとも凡庸な味なのである。食感が、焼き魚というよりも水煮に近い。
『さんま塩焼』が素晴らしかったので、過剰な期待をもって臨んだ姿勢がいけなかったのかも知れぬ。

「ふっくらとしていない...」咀嚼しつつ、追求する。
「骨は固めか。そこは水煮と違うな」細かく分析する。
「タレも平凡ではないか」くどくど言い続ける。

 ここで私は、はっと気づくのである。
 これでは私もグルメ野郎ではなひか。

 嗚呼、読者諸賢よ。荒野は遙か遠いなあ。


 原材料名:さば、砂糖、醤油、みりん、清酒、食塩、増粘剤(グァー)、調味料(アミノ酸)、(原材料の一部に小麦粉を含む)
 固形量:70g
 内容総量:100g