年の瀬であります。
激動の2011年も、間もなく終わってしまうのであります。
そんな折も折、筆者は取材に出掛けていった。静岡県清水区由比にある株式会社 由比缶詰所であります。
![1601 1601](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/1a/2d4664ea6e138107357a6182a9a0df29.jpg)
看板にも年季が入っている
ツナ缶や桜エビの瓶詰で知られる同社の創業は昭和8年(1933年)のこと。
日本で初めてツナ缶を商品化したSSK清水食品が昭和4年創業だから、その4年後のことだ。
由比缶詰所も老舗企業といっていいのであります。
現在は他社から生産を委託されているほか、自社ブランド[ホワイトシップ]でこだわりのツナ缶を製造している。
そのツナ缶がどれくらいこだわっているかというと、
①「自分たちで食べたいツナ缶を作ろう」と開発
②製造したら最低半年間は寝かせてから出荷
③ビンナガ(マグロ)を使用
④高級綿実油&イタリア産オリーブ油を使用
缶詰には食べ頃があって、とくにツナ缶油漬けは半年から1年過ぎてからが美味しい。
油とマグロの身が馴染んでいくからだ。
そのツナ缶のお味については、日をあらためてお伝えするとして...。
今回のレポートでは、日本で唯一の虹鱒を使った缶詰の製造現場をご紹介したい。
![2700 2700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/bc/6693e1e6ccb6154fa36079f6b2e6609f.jpg)
本社社屋前にて
道路を挟んで向かい側が工場だ
先ほど委託生産のことを書いたが、この虹鱒缶も同じく柿島養鱒という企業から製造を依頼されている。
商品名は鱒財缶(そんざいかん)。「鱒は財産」という語呂合わせだと推測するが、こういうネーミング、筆者はかなり好きであります。
![4700 4700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/7e/e649b9c4a650a9c51318bcf40cc77ec9.jpg)
いざ潜入! 省スペースで効率的な作業場だ
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切り分けた虹鱒の身を大釜に投入
水溶性たんぱく質の除去が目的なので
60秒で引き上げられる
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引き上げたらすぐに冷水へ
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水を切ったところ。皮目が美しい
身がまだピンク色なのがお分かりだろうか
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その切り身を手作業で詰めていく
ちなみに使用前の缶を空缶(くうかん)と呼ぶ
![9700 9700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/cd/37baf77cff82aa7a186b45aa5d13f112.jpg)
バジル液を注入。イタリア産オリーブ油が使われている
缶詰は工業製品というより、人の手で作られる製品だ
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今度はラインを流れていき...
![11700 11700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/22/8dc3e2fb4effa4c55ccf542471aa1f1f.jpg)
食塩水を注入
これで塩味が加わる
![12700 12700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/c0/e0de908268ed37d7418cae15ab788229.jpg)
このあと中の空気を抜きつつフタを締める
速すぎて被写体ブレしております
![13467 13467](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/51/c9a27d5aa075e58e044682efa09bc8b3.jpg)
密封された缶詰は別室(画像奥)へ向かう
![15467 15467](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/98/97fdf60feb47a81f89317c30eaade61d.jpg)
缶の外側を洗剤と熱湯で洗浄
よく水を切って...
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このあと専用のカゴに収まって加熱殺菌される
![3700 3700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cf/42f967ea7cc183be02017cdfff6f02f7.jpg)
このレトルト殺菌釜に缶詰がカゴごと入る
これは内部が回転する殺菌釜であります。ふふふ
![14700 14700](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/79/229d9817dab7760ebc9dff0c1d5752a4.jpg)
ずらりと並んだ空缶
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フタが規定通り巻締めてあるかチェック
缶詰工場はどこも職人集団が揃っている
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これが完成品の鱒財缶(そんざいかん)
こうなるまで数多くの行程と人手が必要なのだ
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敷地内にある直売所
取材中も地元の人が大勢買いに来ていた
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おまけ画像。昔は敷地内に浴場があった
かつて期間工がいた頃の名残りであります
今回の取材でとくに印象に残ったのは、工場で働くスタッフがみな若かったこと。
全員が日本人で、黙々とプロらしく仕事をこなしていたのだった。
地域の雇用を創出し、地元パワーで良質のものづくりを継続していく。まさに製造業の魅力を発揮しているのが由比缶詰所だったのであります。
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