缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

木の屋石巻水産のサバ缶が復活!

2012-12-07 15:02:37 | 魚介

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底抜けに明るい営業・鈴木氏(左)と広報・松友氏(右)
しかしあの3.11の大震災を生き延び、今も闘ってる2人だ



 宮城県は石巻市にある木の屋石巻水産
 金華さばを使ったサバ缶やクジラ須の子缶漢方牛大和煮缶などで人気だった缶詰企業だ。
 その社屋や工場は、一昨年の東日本大震災のときに、大津波で流されてしまった。
 やがて海水が引いた後には、石巻港から押し寄せた大量のヘドロ、泥、がれきが堆積していたが...。
 その合間に、きらりと光るものがあった。
 それが、在庫の缶詰だったのであります。




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震災後の5月の様子。強烈な臭気と刺激性ガスが発生していた



 このヘドロまみれの缶詰を掘り出し、丁寧に洗って、中身が無事なものを販売しようと提案したのは、世田谷区経堂の人々だった。
「どうして経堂なの?」
 こう思われる御仁も、いらっしゃると思う。
 実は、経堂北口の外食店の一部では、09年頃からサバ缶を使ったメニューを提供し、「サバ缶の町」として話題になっていたのだ。
 中でも木の屋の金華さば缶は、その味に心底惚れ込んだ店主や客が多かった。
 だから
「今まで木の屋さんにお世話になった。今度は我々が助ける番だ」
 この一念があったのであります。
 毎週、経堂と石巻を往復する車を手配し、ボランティアの人々が往復した。
 往路は冷蔵庫や水食料、ストーブなど寄付品を積み込んで。
 復路はヘドロまみれの缶詰を満載して。



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 こうして東京に持ち帰った缶詰は、試行錯誤して作った洗剤で洗いあげた。
 これは大変な作業だった。
 重油や海水が混じり合ったヘドロは容易に落ちず、しかも異臭を放っている。
「なるべく匂いが発散しないように...」
 周囲に気を配りながら、イベントカフェ[さばのゆ]を中心に洗浄を行った。
 また、洗いあげたのはいいが、紙巻きだったラベルはもちろん、剥がれ落ちている。
 ラベルには原材料名、販売者名などが書いてあり、これがないと商品として売ることは出来ない。
 そこで方便として
「復興義援金をいただければ、この缶詰を差し上げます」
 こういう形をとっての販売だった。
 缶詰を洗ったボランティアの延べ人数、およそ4,000人。
 この運動は、やがて「希望の缶詰」と呼ばれ、メディアでも話題になった。
 さばのゆ店主の須田泰成氏によって、同じタイトルの絵本としても出版されているのであります。



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ついに復活した木の屋さばみそ煮缶

 さて、そんな木の屋さんは現在、新工場の建設が進んでいる。来春には竣工予定だという。
 商品も少しずつ再販している。12月1日には、一番人気のあったさばみそ煮缶が販売されたのだ。
 ただし現段階では、自社工場がないため、同じ石巻の缶詰企業(サンヨー食品)に製造を委託しての販売であります。
 同じ缶詰企業同士、協力しあって前に進んでいるのだ。



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サバ缶復活を祝う[さばのゆ]のイベント
缶詰deゆる薬膳著者・池田陽子さんもやって来た

 今年は海水温が高かったこともあり、金華さばの水揚げがほとんどなかったという。
 だから今回は「石巻港水揚げ、脂の乗った旬さば使用」というみそ煮缶だ。



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 久しぶりに開缶!
 香ばしさと甘さを感じる味噌の匂いが立ち昇る。
 生サバを使い、高砂長寿味噌と喜界島粗糖で仕上げるなど、基本的な作り方は金華さば缶と同じだそうだ。



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かくのごとし。
缶汁を切って白髪ネギ、ゴマ油、白ゴマをトッピング



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 残った缶汁は、熱湯を注げば一人前の味噌汁になる。
 ネギを散らすだけでもウマい。サバの出汁と脂が溶け出ているからだ。




 かくのごとく...。
 木の屋さんは、少しずつではあるが立ち上がっている。
 その闘いはまだ続いている。しかし、まずは同社がサバ缶を再販できたことに快哉を叫ぼうではないか。




 固形量:120g
 内容総量:170g
 原材料名:さば、砂糖、味噌、食塩、でん粉
 生産国:日本(販売・宮城県石巻市/木の屋石巻水産 製造・宮城県石巻市/サンヨー食品