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知人からいただいたりんご缶。表面はきれいだ
缶詰は、理論的には100年経っても食べられる。
なぜなら、密封してから缶ごと加熱することで、中にいるかもしれない微生物や菌類をテッテイテキに殺菌するからだ。
しかし、たとえ食べられても、美味しいかどうかは別の問題であります。
例えば、賞味期限をかなり過ぎたフルーツ缶の場合...。
缶内で糖分とアミノ酸が反応し(糖-アミノ反応)、フルーツが褐色に変わったり、二酸化炭素が発生したりするらしい。
そうなったら、お味はどうなるのか。
今回は、その糖-アミノ反応が起こった缶詰を実食してみよう。
ご登場いただくのは、賞味期限が切れて2年10カ月経ったりんごシロップ漬け缶であります。
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フタが膨らんでいるのが分かるだろうか?
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缶底もかなり膨らんでいる
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このような缶を開けるときは、必ずビニール袋などで覆ってからにする。
そうでないと中身が飛び散ることがあるからだ。
筆者も一度、この対策を怠ったおかげで、台所の天井や壁が缶汁に染まった経験がある。
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無事に開缶! リンゴが褐色になってるぞ
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かくのごとし。
まず匂いだが、金属臭が強まっている。これだけで
(できれば食べたくないなァ…)
食欲を減退させる。
勇気を出して、ひと口頬張ってみると…。
やっ、食感が変だ。
瑞々しさがなく、繊維質だけが残っている。まるでスポンジのようであります。
それに、果汁も抜けている。
長期間シロップに浸かっていたことで、シロップが浸透しすぎてしまい、逆に果汁が抜けてしまったのかもしれぬ。
食べられないことはないが、けっしてウマいものではない。
結論。
フルーツ缶は食べたいときにさっさと食べたほうがよろし。
重要事項
ここでは実験用に試食したが、一般には膨らんだ缶詰は食べてはならぬ。
今回は糖-アミノ反応による二酸化炭素ガスの発生で缶が膨張していたが、ほかに菌や微生物類が侵入して中身が腐敗し、缶が膨らむこともあるのだ。
そんな缶詰を食べたら腹をこわし、場合によっては死に至ることもある。
マネしてはいけませんよ。