「何やるんだか、分かったもんでねえな。」
「俺達の作った罐詰ば、まるで糞紙よりも粗末にしやがる!」
「然しな...」中年を過ぎかけている、左手の指が三本よりない漁夫だった。「こんな処まで来て、ワザワザ俺達ば守っててけるんだもの、ええさーーな。」
ーーその夕方、駆逐艦が、知らないうちにムクムクと煙突から煙を出し初めた。デッキを忙しく水兵が行ったり来たりし出した。(原文のママ)
小林多喜二『蟹工船』
最近人気が出て、映画化もされた、小林多喜二のプロレタリア文学『蟹工船』の一文だ。
舞台は1920年代の終わり。
ソビエト領に侵入して蟹漁を行い、船内でカニ缶詰に加工するのが“蟹工船”。
しかしその労働環境はあまりにも過酷で、監督は労働者への搾取と虐使を繰り返し行っていた。
ついに耐えかねた労働者が立ち上がり、サボタージュとストライキを敢行するという話なのだが...。
ご興味のある方は一度読んでみてもいいと思う。
さて、本日の缶詰はその名も「大人のカニカマ」である。
しかも、“映画蟹工船に出演”と銘打ってある。
これは缶詰仲間のこばさんが見つけて、送ってくれたもの。感謝多謝であります。
さあ、パカッと開缶!
何と、本物のカニ缶のように、硫酸紙様の紙に包まれている。
そして周囲には、カニエキス風のかほりが漂ってきた。
かくのごとし。
添え物は七味唐辛子をかけたマヨネーズとした。
では、失敬して、一口...。
ええっと。
これは紛うかたなきカニカマです。
カニというには歯応えが柔らかすぎで、しかも、どこを噛んでも均質。
噛みしめるとかまぼこ的な魚肉の旨味がにじみ出てくる。
しかし、これはカニカマなのだ。
何の恥ずべきところもない、真正のカニカマなのだ。
だからこそ、七味唐辛子マヨが活きてくる。
そいつをたっぷりとカニ、じゃなかったカニカマになすりつけて頬張るのが、正しい食べ方といえましょう。
内容量:100g
原材料名:魚肉(たら、いとよりだい)、卵白、風味原料[かにエキス、調味料(有機酸等)]、でん粉、食塩、醗酵調味液、トレハロース、鶏卵、大豆油、香料、トマト色素、パプリカ色素
原産国:日本(製造:青森県、宝幸 販売:石川県、スギヨ)
確かに見た目はカニそのもの。
そういう使い方もあるんですねぇ。感心。
面白い缶詰でした。いつもありがとうござります!
(私台湾在住なので^^)
いつか、オススメ缶詰の詰め合わせでもお送りしましょう。