グラントはハムの缶詰をあけ、薄くくさびの形に切って、メルバ・トーストの間に挟むと、この“美味なるオードヴル”にがぶりと食らいついた。
「おい、ハドレー?~シャドー81だ」
「こちらPGA81~どうぞ」
「機内の様子はどうだね? 乗客はおとなしくしているかな?」
ルシアン・ネイハム『シャドー81』訳/中野圭二 新潮文庫
これは75年に発表された、一寸変わったハイジャックの小説である。読後にスカッとすること間違いなしの傑作なのだ。ミステリーとか冒険小説が好きな御仁は、ぜひ読んでみることをオススメする。
さて、我がグラントは大変窮屈な状態でいる。これからジェット戦闘機の操縦席で食事を摂るところなのだ。操縦しながらの食事だから、こんな簡便なメニューなのである。
メルバ・トーストはスーパーマーケットで購入することが出来た。しかしハムの缶詰というのが何だか不明である。
方々を回ってみたが、輸入物のハムの缶詰というとSPAMかTULIP、あるいは三角型の大きなやつ(名前忘れた)ばかりだ。このうちSPAMは以前ご紹介したので却下、三角型は約500gもの容量なのでこれも却下した(物語上そんな大きいのを持ち込むはずない)。
残ったのはTULIPのポーク・ランチョンミートだ。
かくのごとし。
上記引用文に“美味なるオードヴル”とあるが、これは言うまでもなく揶揄である。それでもこうして小説の中に缶詰さんのシーンが出てくると美味そうに思えるから不思議だ。
メルバは乾燥したカリカリトーストで、ほんのりと自然な甘みがある。ランチョンミートは塩分が多めでSPAMよりは脂肪がずっと少ない。
お味の方は...みなさんのご想像にお任せするとしよう~こちらシャドー81。
内容量:200g
原材料名:豚肉、ポテトスターチ、乳タンパク質、食塩、香辛料、ポリリン酸Na、酸化防止剤(アスコルビン酸Na)、発色剤(亜硝酸Na)
原産国:デンマーク
私だけ知らない?
食パンを焦がさずにカリカリに焼いたような感じで、塩っ気が全くないみたい。ほんのり甘いんですな。まあよほど腹が減ってなければ食いたくないシロモノでした。
ここはグルメブログではないから「不味かった!」なんて書かないのだ。
日本人は、やっぱ米!こんなんじゃ、お腹いっぱいにゃならんぞなもし!
ホントにスナックでしたよう。米よこせ~ぞなもし。
便利なものがあったな」と思い出して
“シャドー81”でググってこちらにお邪魔しました
最初に読んで以来、30年間想像するだけだった
「グラント氏の美味なるオードブル」の実物の画像を
この眼で確かめることが出来て
感激いたしました
味の方は・・・・こちらは尚“想像するだけ”に留めて
置いた方が良さそうですね(笑)
僕も2年に1回くらいの割合で読んでます。
長年のご想像を具現化してしまった無粋をお許しください。
肝心のお味のほうはですね、それがまた...
いや、無粋を重ねてはいけませんな。
ぜひまたおいでください。